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レイヴァンたちが村から出ようとすると、入り口には朝市とは違う別の人集りができていた。
安全が確保されていない道では悪魔の襲撃に備え複数名で行動する事が望ましい。
しかし、多すぎても機動性が損なわれ支障が出る。
今集まっているのは間違いなく後者に当たる人数で、これだけの人が一斉に村から出立しようとしていたら最早事件だ。
これは何かが起きていると察したレイヴァンは従者のリルに向かって様子を見てくるように指示を出すと、彼女は「お任せあれです!」と快諾するや否や、一目散に人の輪へと向かっていった。
「……大丈夫なの?」
小さい身体なので群衆の中へと分け入るのに苦労するのではないかと思わず不安を口にする女学生のリノ。
そんな彼女の心配をよそ目にリルは直前で黒猫へと姿を変え、人々の足元を巧みにすり抜けて行く。
「そんな! ……嘘でしょう!?」
変身を目の当たりにした学生たちが各々に驚きの声を上げ、どんな精霊術なのかと話し合っている間に調査を終えた黒猫は主人の下へと戻ってきた。
「何があった?」
レイヴァンが早速尋ねると、リルは瞬く間に姿を人へと戻し質問に答える。
「大きい悪魔が暴れていて道を塞いでいるらしいです!」
「大きい悪魔だと?」
「何匹かいるらしくって必死に逃げてきたって、お兄さんが言っているです!」
彼女の報告を聞いたレイヴァンは「どうやら厄介な事が起きているようだ」と呟き群衆の輪へと近づいた。




