~ 100 ~
マリアンの希望により大教会へ向かうことを決めたレイヴァンたち一行は村の入口へと足を向けていた。
彼らには教会に向かう前にやるべき事がある。
前を行く少年ノア。
彼の手助けをすることだ。
彼は精霊術学校に通う学生で、卒業のため試験に臨んでいた。
課題は溶岩ミミズと呼ばれる悪魔ラヴァワームを封印すること。
戦闘経験の浅い学生にとって、その課題は極めて難易度が高かった。
その事を知ったブライトが援助を申し出たのだが、卒業試験であるため同じ学校に通う生徒以外の助力は認められていなかった。
そこでレイヴァンは獲物を横取りするという名目で彼に同行し、戦闘後には悪魔の封印を意図的に怠ることで彼に封印の機会を与えられるように一計をめぐらせた。
その行いが良心に恥じることなく正しいのかと問われれば肯定することは難しいかもしれない。
現に彼の妹で旅に同行するリノも、それは屁理屈だと騒ぎ立てている。
しかしながら、何が何でも卒業したいと望む少年は、レイヴァンにとって恩師であるクロノスの孫にあたった。
この広い大陸でノアに出会ったのは何かの縁としか言いようがないと考えた彼はノアが望む限り協力をしようと心に誓っていた。




