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「マリーさんは、どうして教会に行きたいのですか?」
「ごめんなさい、リルさん。 それはお伝えする事ができません。 ですが、これから先、私が旅を続けるためにはどうしても行かなければならない場所なのです。 ですから、みなさんに同行頂けないのであれば一人で行くつもりです」
「マリーさん、一人で行っちゃうですか!? 一人で行くって事は、リルたちとはお別れって事ですよね!? リル、そんなの嫌です! 絶対に嫌です! だから、リルたちもその教会に行くです! ご主人様も行くですよね!?」
友人の突然の告白に驚き、慌てて主人の袖を掴むリル。
レイヴァンは騒ぐ彼女を宥めてから「そうだな」と答えた。
「何を考えているのか解らないが、あんた一人を行動させる訳にはいかない。 あんたは悪魔が狙う封印の楔という存在であり、メフィストフェレスをおびき出すための大切な囮なのだからな」
レイヴァンがマリアンを見据えながら言うと、彼女は「それでは一緒に行っていただけるのですか?」と返した。
「当然だ。 俺がロディニアに戻ろうとしているのは悪魔たちが口にする封印の楔という言葉の手がかりがロディニアにあると思ってのことで、期限のある仕事を請け負っている訳ではないからな。 関係のない事に関わるのは避けたいが、あんたがそこまで言う事は珍しいから余程の事なのだろう。 それを拒んでまで急いでロディニアに戻る必要はないと考えただけだ」
「ありがとうございます、レイヴァン」
マリアンが謝辞を述べると、近くにいたリルは「流石はご主人様です! 解ってるです!」と笑顔を見せ、彼女の隣にいたブライトは「相変わらず答え方が回りくどいから、正直別れるつもりかと思ったぜ」と言ってから安堵の息を吐いた。




