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お墓参りへ。

おばあちゃんと二人でお墓参りをした。


お墓を洗い、水を水入れに入れ花を供える。

お米を置き、線香をあげた。


おばあちゃんは目を閉じ手を合わせる。

私も手を合わせた。


「おじいちゃんも喜んでるね。 孫が来たんだもの」


柔なか日差しの中、おばあちゃんが微笑んだ。


「さて、 帰ろうか」


お墓を後にしようとした時、おばあちゃんがふと足をとめ 「こっちの方のお墓もお参りしようか……」


そう言うと、うちのお墓から少し離れたお墓へ歩き出した。


「おばあちゃん?」


私はおばあちゃんの後を追った。



「ここがあの方のお墓だよ…」


古い小さなお墓を見て呟いた。


「ここが……? うちと同じお寺さんだったの⁉︎ 知らなかったよ……。 おばあちゃん言わないから」


「言ってどうなる訳じゃないさ。 同じ街だし、 集落だからね。 皆同じお寺さんだよ」


「そっか……」



おじいちゃんと同じお寺のお墓に眠る、おばあちゃんの昔の想い人。

おばあちゃんはずっとお参りをしたかったんだね。


でもできなかった。


「昔の話。 もう過ぎた事。 今日は櫛を見つけてもらったからねぇ。 何と無くお参りしたくなって……」


小さなお墓へお線香を手向けた。



「帰ろう」


夕暮れ迫る山道を、おばあちゃんとゆっくり帰った。


何と無く? お墓が嬉しそうに見えたのは、気のせいだ。

そんな事ある筈ないし。


でも、良かったね。おばあちゃん。




「あの方のお墓へは、 何十年と行ってなかったから、 今日は良かったよ。 最後にお参りした時は、 もうおじいちゃんとの結婚が近くなった時でね。 何とも言えない気持ちだったさ。 忘れた人なのに、 忘れられない。 人間の不思議。 おじいちゃんも分かってくれたさ。 その上でおばあちゃんをもらってくれたんだよ」


「そっか……」


「ただね。 中々やっぱり忘れられんじゃん。 どんなに時が経っても、 春になると思い出す。 夏の灯籠流しで思い出す。 秋もあの丘の柿の木を見る度に……。 約束を思い出すじゃんね。 そんな事言っても仕方ないのに。 帰って来ない人を待つのはいなことじゃん。

だから忘れようとしたさ」



はちきれそうな切ない声でおばあちゃんは話した。


沢山の想いがあるんだね。


「無理しないでいいんじゃない? 忘れなくてもいいよ。 思い出としてずっと覚えているのも、 供養だよ? ね……」



「ありがとう……」


辛い思い出だけど、覚えているのもまた供養になる。

だって想い合っていたんだから。


「よっぽど素敵な人だったんだね。 その人」

「ああ。 素敵だったよ。 そうさねぇ……。 ご長男さんのお孫さんに似てるかな?」


へ? あの人?


何か嫌な感じだったけど……。


「ふーん……。 まあ血は繋がってるしね」


「あそこのお孫さん、 立派な方だよ? 彩葉ちゃんとあんまり変わらないんじゃない? 長男は街を離れて仕事してるけど、 いずれは帰るみたいだし」


「じゃあ次男さんか!」


ふふふと笑った。


そうか。あんな感じの人だったんだ。


血筋とは恐ろしい。



「さぁて、 今晩は何食べようか?」


「おいなりさん!」


「じゃあ作ろうかね」



おばあちゃんの想い人のお墓参り。

できて良かった。



色々話聞けたし、大満足だ。


私はおばあちゃんお手製のおいなりさんをほおばった。

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