協騒淫学校
更新遅れて申し訳ないです。
5月5日午後8時 自宅
回復の途中で起こされたようで、時間もそれ程経っていないようだ。体はまだ本調子にはまだまだ遠くだるい。
「途中みたいだけど、何かあったのか。」
扉を開けて質問すると、すぐに答えが返ってきた。
「蹴斗君達が学校で戦っていて、助けて欲しいって。」
奏が出てきてさらにまくし立てて来る。
「蹴斗君達も、強いんでしょ。創志…創君はまだ怪我が完治してないんだから、まだ行かないよね。」
首を振って答え、キーに問う。
「ジャスティスに応援頼めるか。」
『可能です。それより奏さんはどうしますか。』
自分が行かせないと言う前に割り込んで、着いていくと言い切った。
少し考えて代替案を提案する。
「奏、お前には別で頼みがあるんだ。この部屋で英雄君を見守って欲しいんだ。何かあったら、連絡してくれないか。」
「でも…私も変身すれば、ちょっとは役に…」
「変身セットはもうないんだ。それにキーに戦闘のアシストに専念してもらえるから、効率が良い。頼まれてくれないか。」
そう言うと、本当にしぶしぶと言った感じで頷いてくれた。連絡の仕方と、映像の切り替え方を教えておく。
蹴斗にこちらから連絡を取ろうとすると、繋がらなかった。
「蹴斗から連絡があったのはいつだ。」
キーに聞くと、奏が答えてくれた。
「4時過ぎ位かな。創君と戻ってきたくらいに鳴って、蹴斗君だから出たの。体力がほとんど残ってないようだったから、回復してからって一応伝えたけど…」
「そっか、ありがと。それより、これからは創君呼びか。」
「うん、これからはそう呼ぶ。」
奏に近付いて頭をくしゃくしゃと撫で、
「そうか、分かった。じゃあ、頼んだぞ。行ってくる。」
そう言って転送装置にむかった。
『ジャスティスは先に向かっていて逆にこちらを呼ぼうとしていたみたいです。急ぎますね。』
転送が始まった。少し恥かしかったが奏に向かってサムズアップしてみた。クスッと小さな笑いが返って来た。
校門の前に転送されると、ジャスティスがスタンバイしていた。
「もう、回復したのか。」
元気に準備運動しているジャスティスに気になって聞いてみた。
「いや、良くて7割位だ。ただ、正義を求める…いや、助けを求める声が聞こえる以上、私はどんな状態でも駆けつけなければならない。」
サムズアップとバイザーがきらりと光るおまけ付きで返してきた。
校門から入ろうとしたが、見えない壁のようなものが邪魔をする。学校内への転送も出来ないようだ。
「どうする。」
ジャスティスに向かって言うとまかせろと親指を立て決めポーズを返してきた。
「ロードトゥージャスティーーース。」
助走を取って突っ込んでいくジャスティスが、錐揉み回転し赤い螺旋を身にまとう蹴りを繰り出し、壁をドリルのように抉り出し穴を開けた。
目の前で起こった事に唖然としていると、ピンクの瘴気が漏れ出す穴からジャスティスが早く来いと急かしているのが見えた。スタイル:サムライを起動し、すでに修復が始まっている壁を越えて中に入る。靄の向こうには、何か淫靡な感じがする校舎がたたずんでいる。
校舎の隅から何かが走って向かってきている。敵でも良いように戦闘態勢を取ったが、隣のジャスティスは走って影に近付いていく。
「ジャスティス、不用意に近付いちゃ」
『創、あれは人です。救援対象ですよ。後ろから追ってきているものがいますね。オープ…いや、操られているようですね。状態異常魅了でしょうか。』
「分かった。ジャスティス後ろのやつは任せろ。」
ジャスティスを追い越しぎわに言い駆け抜けていく。
靄の中から出てきたやつは、着崩したレベルじゃ済まされない女生徒が虚ろな目をして、ふらふら追ってきていた。あーとか、うーとか言っていてホラーで気味が悪い。
突っ込んでいって、鞘で腹を突き、さらに右手で柄の底を押し出す。女性とはよろめき倒れたが、まだ立ち上がりそうだ。感触的にはいけたと思ったが、駄目だった様だ。
「キー、対処法は。どうすれば良い。」
『刀で切りつけるだけで大丈夫です。』
呻き立ち上がろうとするゾンビを軽く斬りつけるとおとなしくなった。傷はやはり残らない。
「オープに取り変わられたのか。」
『いえ、ウイシュかデザイアに操られているようです。その刀で祓えるようですが、どうしましょう。』
とりあえず、ジャスティスのもとへ戻ると声がグラウンドの方からした。
2人をジャスティスに任せ、先行して様子を窺うと、蹴斗達がゾンビの様になった生徒達から逃げていた。
「ジャスティス向こうの助太刀に入る。戦闘終了後に合わせて合流してくれ。」
キーを使って連絡を取ると同時に駆け出す。5人位か、こちらに気付く前に二人を斬る。倒れた音に振り返った1体に斬りかかると、金の騎士が割って入って来た。
「彼らはまだ助けられる。奪うことしか出来ないものはただ見ておけ。」
「斬った所で傷は付かない。お前こそ邪魔するな。」
言い返していると急に地面が白く光り出した。
「ホーリーケア」
まぶたを貫通するような白い光の後には、倒れた生徒達とガッツポーズしている蹴斗達が立っていた。
ジャスティスが近付いてくると、機械の猫が警戒をうながした。
「何故ドリムが、新手か。」
猫の声に蹴斗達は、倒れた生徒達を庇いつつ臨戦態勢を取ってきた。
「良き正義の光だったな。」
しかし、当のジャスティスは何も気にすることなく近付いて話しかけてきた。
ジャスティスの敵としての疑いが晴れていないようなので、少し間に入って見る。
「たしかにジャスティスはドリムだが、敵じゃない。汚染度だったか、侵食度だったか忘れたが、それは0だ。それに俺の協力者だ。」
『創、汚染度です。』
金鎧の騎士の目線が少し険しくなったが、蹴斗がニコニコしながら出て来た。
「創志の仲間なら、俺の仲間だな。よろしく。」
2人が固い握手をしている傍ら、機械の猫が寄って来た。近くで見ると大きい、腰位に背があり乗れそうだ。
「いったいどうなっている。ドリムを仲間に引き込むとは。」
猫が話しかけてきたが誰だか分からなかったので、猫にお前は誰だと聞くと、マヤだと返ってきた。
「誰かさんがこちらと協力しないからな、最終手段だ。しかし、これでも核は破壊できないんだぞ。連絡位は受け付けるようにキーに言っておけ。お前もアプリを削除するし。」
「自業自得だろ。信用を失くすような真似する方が悪い。」
冷たく猫に返すと、金の騎士が近付いてきた。猫はそっと離れていった。
「俺達も力をつけた。もうお前は力を使わず黙って見ておけば良い。それと、早乙女のことはどう責任を取るつもりなんだ。」
金騎士が俺を睨みつけながら尋ねてきた。
「ならどうすれば責任を果たせるのか。死体も何もないのに私が殺しましたと警察に駆け込めば良いのか。」
「お前、残された家族のことを考えないのか。」
尋ね返すと、胸倉を掴まれゆすられた。胸倉を掴む手を外し押し返す。
「早乙女に家族は居なかった。両親は小さい時に亡くなっていて、その後面倒を看ていてくれたおばあさんも去年の夏に亡くなっていた。どうすればいいと思う。ただ俺はこの騒動が終わってから良く考えることにしたよ。良い案があったら教えてくれよ。」
目を合わせることも出来ず、俯いて金騎士に答えた。
蹴斗が場の雰囲気を変えるためか、明るく生徒達を安全なところに移そうと提案してきた。金騎士は何か言いたげに見えたが、口をつぐんで倒れている生徒の下へ向かっていった。
「誰か、教えてくれよ。」
ポツリと呟いた言葉は誰にも聞かれてないと思っていたが、届いていたようでジャスティスが肩を軽く叩いてきた。
「悩んで、悩んで答えを見つければ良い。自分で選んだ答えでないと、きっと納得できない。それにちゃんと向き合うことが大切なのだ。そして今後に生かせば良い。」
『そうです。もとはと言えば、私が私達の戦いに巻き込んだせいです。記憶を消したい、戦いたくないのなら私は創の意志を尊重します。』
ジャスティスは空いている右手でサムズアップしながら、キーは優しく1つの方法を示してくれた。俺は、俺のしたことからもう目を逸らしたくないので、やることを済ませてからより向き合おうと決めた。
校舎の方から生ぬるい風が吹いてきた。魔導師が黒いローブを翻しながら指差し叫んだ。
「カーリーが来た。一旦逃げないと。」
指差す方を見ると、青黒い肌で4本の腕を持つ怪物が近付いてきていた。自販機位の大きさで、2本の曲刀が鈍く光る。むこうもこちらに気付いたようで駆け出してきた。
「あれが、今回の核なのか。」
猫に聞くと、違うと返された。
「迷える2つの魂を感じる。ここは私に任せてもらおう。」
ジャスティスが立候補したので俺も残ると告げた。
「核はこのピンク空間を作っているやつだぞ。そいつは、私達が相手をしてやるから、早く済ませてこっちに来るんだぞ。」
「待て、まさかあいつを殺す気なのか。」
金騎士がまた割って入ってくる。
「それは、最期の手段だ。」
「私が救って見せよう。」
ジャスティスと2人で答える。
「東条、お前は私達のアタッカーだ。お前が居ないとこちらが攻められないぞ。」
「殺すしかなくなったら、俺達が戻ってくるのを待っていろ。絶対殺すんじゃない。」
猫の声にしぶしぶ引き下がりつつ、言い残していきやがった。
的井や蹴斗が生徒達を背負い魔導師達が周りを警戒しつつ離れていく。俺とジャスティスはカーリーと呼ばれた魔人の前に立ち塞がった。邪魔だと言わんばかりに振り下ろされる曲刀を刀で受け止めようとしたが、勢いを殺せず弾き飛ばされる。ちょっと面倒かもしれないが、やれることをとにかくやろう。もう1体居ること考える余裕ないな。カーリーも立ち止まってこちらを警戒しているのか、じっと睨んできている。
「Style change Hero CODE seeker 」
白服に着替えて構えなおす。距離を詰めようとすると相手が先に動いた。
対峙するカーリーは、曲刀を自分の首にあて、引き抜いた。噴出する赤い血がグランドを濡らしていく。いったい何をしたいんだ。何が目的なのか分からず二人で様子を窺っていると、カーリーは腰にある首を1つ取り、掲げ上げた。
「ウゴッ、ガアァァ、グゴオゥ」
くぐもって聞き取りづらい雄たけびを上げると、血が滴ったグランドが盛り上がってきた。




