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休息

今日は2話投稿です。(二話目)

これも甘いです。

5月2日 虎西公園


 目を覚ますと、公園に戻ってきていた。病院のお姉さんは、祭って言ったのか。また助けてもらったな。本当にあの人には助けられてばかりだな。思い出にふけっていると、野太い声が俺を引き戻した。


「少年、良い顔になったな。悩みは少しは晴れたか。」


はい、と頷き立とうとすると、足に力が入らず尻餅をついてしまった。キーが心配してくるのが恥かしい。

『創、彼の空間では肉体言語という随分物騒な物が主軸に置かれているので、ダメージが残るようです。』

珍しくキーの声に険がある。


「はっはっはっ、すねてはいけないぞ。守護する者よ。これからは、2人でまた険しき正義の道をゆくのだ。今後しっかりサポートするが良い。そうだ、最期に1つ。最期の一撃、あの一撃は見事だった。もしあの時、このジャスティスホワイトに悪の心がほんの少しでもあれば、両断されていたぞ。」

あの一撃は届いていたのか。少し安心すると、キーが騒ぎ始めた。


『創、刀を変えていなかったのですか。一撃入れたかったのに、切れない刀を使うなんて、何考えているのですか。』

悪意があいつにあれば切れるようにするためと説明したが、キーは納得できないとむくれてしまった。


「少年、最期と言ったが後二つある。1つ目は、私の存在についてだ。私はドリムという危険な存在だと、守護するものから聞いた。そんなことあるはずないと思うが、私が悪の道に堕ちてしまったら迷わず斬って欲しい。私は人の意志で出来ているが、私を切ったところで元の人には影響は出ないからな。安心して斬ってくれ。」

了解の旨を伝える。


「二つ目だ。少年の戦いに参加させて欲しい。少年達は今厳しい戦いの最中に居るとも聞いた。良ければこの私、ジャスティスホワイトに助太刀させてほしい。」

ありがたい提案にキーと相談して、協力してもらうことを決めた。



「創志さん、大丈夫ですか。」

正義が1人でこちらに向かってくる。2人はもう帰れたのだろうか。

「創志さん、怪我は無いですか。」

「見ての通りだ。ただ、肩貸してくれないか。」

正義の手を借りて立てたが、まだ歩けなかったので肩を借りる。


「うわっ、噂のヒーローじゃないですか。助けに来てくれたんですか。」

目をキラキラさせながら俺と、ジャスティスを見てきた。

「いや、彼と私で拳の高めあいをしていたんだ。あわやこのジャスティスホワイトが敗れかけたからね。いい訓練だったよ。」

「創志さん、ヒーローを追い詰めたんですか。(すげ)え。」

「いや、少年。彼とは引き分けだよ。おっと、また誰かが助けを求めている。さらばだ、少年達。」

ヒーローは嵐のように去っていった。


 まだふらふらしたのでベンチに座って時間を回復を待っていると、正義がジュースを買ってきた。

「創志さんが恐い顔してたからやばいやつと戦うと思って、あの2人を急いで逃がして来てみたら、噂のヒーローと戦ったなんて、別に見てても良かったんじゃないですか。」

「いや、どんなやつか知らなかったからな。もし次があったら見せてやるよ。」

たぶん次が有ったとしても見せれないけどな。


「創志さん、使わなかったんでお金返しときますね。」

正義はそう言うと、お金を置いて走って立ち去ろうとした。

「暇があったら、また見に来てくださいね。あいつらも喜びますから。」

公園の出口付近で振り返り、そう言ってまたかけていった。



同日 午後2時 自宅前


 だいぶ良くなって来たので自宅まで歩いて戻ってくると、自宅前のドアに誰かが居る。学校関係者なら、ここ3日位サボっているのでうまくはぐらかそうと思い考えを巡らせていると、向こうがこっちに気付き近付いてくる。俺は手を振って答えた。


「創志…兄さん、今帰ったの。」

(かなで)か、ただいま。今、鍵開けるよ。」

鍵を開けようとすると、リスみたいに膨らました顔での奏に手を掴まれ止められた。


「どうして返事してくれなかったの。」

「メールか、すまん。バタバタしてて後で返そうと思ってたけど忘れてた。ごめんな。」

平謝りに謝ると、むくれたまま明日付き合えと言われた。蹴斗達に会わずにすむ口実ができて凄く助かった。


 とりあえず、鍵を開け部屋に招く。

GW(ゴールデンウィーク)中に、創志…兄さんは帰ってくるの。」

「行くつもりは無いよ。」

「すみれ母さんも、会いたがってたよ。」

「そんなことより、飯食いに行かないか。シャワー浴びてからだけど。」

会話を断ち切るように提案する。

「いいよ、その代わり私が作ろうか。」

魅力的な提案だが残念だ。

「冷蔵庫には何にも入ってないぞ。もしかして、帰りにもう食ってたか。」

「軽くね。ただ、創志…兄さんが行くなら、着いてく。」

「了解、ちょっと待っててくれ。」


 着替えを持ってシャワールームに入る。温めのシャワーで汗を流しつつ家族のことを考える。本当の親父は小3で事故死した。新しい父さんは父さんの昔からの友人で、向こうの母は奏達を生んだ時に亡くなっている。俺が高1の時に再婚をして今に至るわけだが、向こうの家に何故か居辛い。


 向こうに行けば、奏の双子の姉の麗とも顔をあわせるだろうし気が進まないな。小学生までは俺の後ろをずっと着いてきてたんだけどな。原因はまあ、分かっているがどうすればいいかが分からない。


「創志…兄さん、大丈夫。結構時間経ってるけど。」

奏の声に思考を中断する。

「ああ、大丈夫だ。今出るから、外に行く準備をしといてくれ。」

「私はそのままでいいから、リビングで待ってるね。」

シャワーを止めて別のジャージに着替えた。


 2人で家を出て、近くのファミレスに向かう。全国チェーンの何の変哲もないファミレスに着くまで、奏の話をずっと聞いていた。九郎おじさんもすみれ母さんも元気で居るようだ。姉の麗は俺と同じでなかなか帰ってこないが、電話で話す限り元気にインハイに向け頑張っているようだ。


 ファミレスに着いて、禁煙席に座る。奏はチョコレートパフェを、俺は豆腐グラタンとチキンステーキ定食を頼んだ。料理を待っていると、話しかけられた。

「創志…兄さんは何か話すことないの、私が話してるばっかりだけど。」

「いや、俺は奏の話を聞いてるだけでも楽しいよ。」

「むー、明日は創く…兄さんにもはなしてもらうからね。」

苦笑いで誤魔化してると、豆腐グラタンからやって来た。おいしそうだ。


 食べていると前からチラチラと視線を感じたので、スプーンですくって口の前に出してやる。

「食べたいのか。ほら。」

湯気が出ているグラタンをじっと見つめていたので、フーと2回冷やしてまた前に出した。

「食べないのか。食べないなら食べるぞ。」

そう言って引っ込めようとすると、スプーンに勢い良く食いついた。

「熱ッ、はふい。」

そんなに熱かったか、とりあえず熱そうだったので水をやる。

「パフタふぁんだら、ふぁふい。」

「悪い、悪い。ほら、パフェがきたからこれで冷やしとけ。」

奏はパフェに乗っていたアイスを頬張った。


 定食を食べ終わると、奏がパフェ食べるかと聞いてきたが、生クリームが苦手なので遠慮した。そこから奏はちょっとむくれて、ハイペースでパフェを食べきった。会計を済ませて店を出る。


「駅まで送っていくよ。」

店から出て、奏を送っていると英雄君に遭遇した。


「あっ、師匠の兄ちゃん、こんにちは。もしかして、デート。」

最近の子供はませてるんだな。


「違うよ、こいつは奏。妹だよ。」

「創志…兄さん。この子は。」

振り返って説明する。

「この子は、英雄君。公園で知り合ったんだ。いじめられっこを守る格好良いヒーローだ。」

「こんにちは、かなでさん。」

「こんにちは、英雄君。守ってるなんて偉いね。」

奏がしゃがんで、目線を合わせて頭を撫でながら褒めると、英雄君は顔を赤く染めて照れていた。


「照れてるな。聖菜ちゃんに言いつけといてやろうか。」

「うっ…駄目。そんなのじゃないし、絶対言うなよ。」

しっかり意識してるけど、これ以上からかうのは駄目だな。隣からの視線が痛いし。

「言わない、言わない。それにしても何か用事なのか。」

「そうだった。おつかいの途中だった。師匠の兄ちゃん、奏さん、じゃーねー。」

そう言うと、英雄君は元気良くお使いに戻っていった。


「ね、師匠ってなんなの。何かあの小学生に教えているの。」

ニコニコしながら、尋ねてきた。

「いや、教えてるのは俺じゃないよ。友達が教えてるんだよ。」

「ふーん、んっ、メールだ。」

携帯を取り出してメールを読んでいると、眉根を寄せて唸りだした。


「奏、何かあったか。」

結構悩んでいるようだったので声をかけると、頭を下げて謝ってきた。

「ごめん。明日の約束だけど、5日にしてもらって良いかな。」

「いいけど、デートでも入ったのか。」

冗談で聞いてみると、違うとむくれてしまった。予想はしていた反応と全く違わないとは、分かりやすいやつだな。


「ほら、一応“義兄(あにき)”として、“義妹(いもうと)”を任せられるか確かめたいからな。こそっと影からチェックしたいと思ってな。」

我ながら女々しいとは思いつつ、言葉を吐く。近い繋がりの離し方が分からない。傷付かない距離の取り方をしたいが、どうすれば良いんだろう。


「創君はやっぱり、妹としてしか見てくれないんだね。それに今のはパパだよ。本当にG.W.は帰ってこないの。麗姉は帰ってこないよ。やっぱり…帰って来ない。」

距離の取り方を間違えたかな。奏は真顔で聞いてきた。


「悪いが、こっちもいろいろやることがあるからな。5日は空けとくから。」

奏は、ハァと一度ため息をついて、分かったと言ってくれた。


 そこから2人とも話さず駅に到着した。

「ねぇ、本当に来ない。」

別れて帰ろうとすると、裾を掴まれて言われた。

「いや忘れて、それより5日はよろしくね。詳細は3日か4日にメールするから。それじゃあ。」

そう言って奏は、ホームの方へ駆けていった。




 駅から帰っていると、携帯が震えた。キーだ。

「どうした。」

『創、反応が出ました。ドリムが対峙中です。そして、英雄君の反応もあります。急ぎましょう。』

人気のない路地に入り転送を待つ。

「ジャスティスは何と戦っているんだ。」

『分かりません。データにない敵です。準備できました、開始します。』

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