表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/22

噂の白いヒーロー

短いです。

5月1日 異界1層


 そこは病的なほど白く、整理された空間だった。道は全て直線で、一定の間隔で縦横に敷かれている。全く同じ家も同様に一定間隔で並んでいて、ナビが無ければ通ったのかどうかが分からなくなる。

 核の元を探して異界が発生してから探しているが、核どころかシンクさえも現れなかった。もしかしたら核はもう寄生していたりするのか。探すためにただただ走っていたが、ペースをさらに上げようとする。


『創、もしかすると今回の敵はドリムかイデールかもしれません。』

キーが発した聞きなれない単語を、詳しく聞こうとペースを上げずに走る。


『イデールはドリムの進化なので、ドリムについて話します。ドリムは人の夢から出現します。これらは、オープ達と違い、核の必要なしで行き来できます。そして、ベース(核となった者)の為に活動を開始していきます。』


「核を取り込んだり、殺してしまうようなことはないよな。」

今一番不安なことを聞いておく。


『いえ、ドリムは基本的にベースに危害を加えません。自殺や自傷の願望を持たない限りは…ですけれど。ただ、周りを傷つけることは多々報告があります。』

今度は核を殺さなくて良さそうで、ほんの少しだけ安堵した。


「そしたら、戦う場所が異界じゃない時はどうするんだ。」

『こちらで空間を異界化することが出来るので安心してください。』

「でも、向こうに行ってる間にこっちで襲われる人は居るんじゃないか。」

まだ1体も見つけていないが、念のため聞いておく。


『異界が出来て4日立ちますが、迷い人やシンク等の反応が出ない方が異常です。それに創は少し休むべきです。』


 創と呼ばれるようになって4日経った。キーから、マヤが俺の体を使って核を壊そうとしていたことを聞き、あの感情は貴方のものではないと言われた。マヤが信用できないので、私だけにサポートさせてほしいとも言われた。俺はキーを選択し、キーは俺を創と呼ぶようになった。


 でも、少なからずリリスを壊してやりたいと思う意志が、俺にはあったと思う。それ考えたくなくて、蓋をして、異界のことだけに奔走している。


『創、聴いていますか。』

「ごめん、聞いてなかった。もう一回お願い。」

ちょっとでも休むと、これだ。あれが思い返してくる。


『やはり、休んだ方が良いのでは。』

顔には出ていないと思い、大丈夫だと返事をする。


『それでは、一度外。現実を捜索しましょう。勿論、こちらで迷い人の反応が出れば教えますよ。』

「敵反応もだ。キー。」

もう、後手に回って手遅れになるつもりはない。



同日 午後5時前 住宅街西側


 異界から現実に戻って行く当ても無くただ歩く。2人組みの男女の小学生が横を通り過ぎていき、ほどなくして女の子のほうが倒れた。男の子が駆け寄って慰めて、泣くのを我慢して立ち上がりまた駆け出していった。


『創、気付きましたか。今の男の子は、あなたが、異界から助けた子ですよ。貴方は誇っていいのですよ。』

優しくキーに言われ、少し泣きそうになった。俺は奪うだけじゃなかった。ほんのちょっとだけ、ちょっとだけ許された気がした。今の顔を見られたくなくて、フードを深く被りなおして歩き出した。


 そのまま歩いていると、横から声をかけられた。

「創志さん、来てくれたんですね。」

声の方をむくと、公園から正義が手を振っていた。見つかった手前、無碍に出来ず公園に入る。

「すみません。あいつらはもう帰っちゃったんでいないんですよ。」

どうやら入れ違いになったらしい。


公園内の自販機でジュースを二本買って、オレンジジュースを正義に渡す。

「それより、誰と誰を鍛えてるんだ。」

「ありがとうございます。鍛えてるわけじゃないですよ。創志さんと一緒で、攻撃の受け方、いなし方を教えてるんですよ。」

そういえば、昔、喧嘩を教えてくれと正義につきまとわれて、結局攻撃の仕方は何も教えず、防御の仕方だけ自己流のやつを教えていたな。


「攻撃を教えてくれとは言わなかったんだ。」

感心しながら正義に尋ねる。


「そうなんですよ。英雄(ひでお)って言うんですけど、『闘うのは駄目だから、守れるようになりたい。』って言って攻撃をしようとしないんですよ。闘うのはほんと最後の手段みたいで、俺が見つけたときも、聖菜(せな)の盾になりながらボコボコにされてましたからね。助けたら、懐かれちゃって今に至るんですよ。」

「その英雄君はすごいやつだな。それにしても闘うのは駄目か…誰かさんとは大違いだな。」

笑いながら隣の肩を何度も叩く。


「そんな面倒なやつに教えてくれた、創志さんには感謝してますよ。明日は10時位から始めるんですけど、創志さん、良ければ来て貰えませんか。」

携帯で予定を確認しようとすると、メールが何通も溜まっていた。

奏・蹴斗・蹴斗・紅・・・メール画面を閉じた。

着歴は奏だけ、後で良いか。

「10時か…良いよ。正義先生がどう教えてるか気になるしな。」

一応午前中は学校があるが、行く気になれないのでサボってしまおう。


 礼を言う正義と別れて、探索を再開する。

「キー、今思ったんだが、手がかりとかそういうのはないの。」

期待せずに取りあえず質問する。

『データが不足しているので、反応待ちですね。私も思ったのですが、無駄に歩き回っても体力を消費して無駄じゃないですか。』


「……いや、ウォームアップだと思えば。」

何も考えないですむように走り回っていたとは言えない。

「今日は帰るか。キーは索敵よろしく。」

誤魔化すように提案した。

『何かあれば伝えるので、気にせず、気を付けて帰ってください。』

分かってるよと呟いて帰路に着いた。



 帰り道の交差点に野次馬が集まっていた。どうも事故があったらしいが、被害はトラックの正面が凹んだだけですんだようだ。白い戦隊ヒーローのような人が、突っ込んできたトラックを素手で止めて、大事に至らなかったと、聞こえてきた。そのヒーロー“ジャスティスホワイト”は、怪我人が居ないことを確認し、トラック運転手に注意した後、『助けを呼ぶ声が聞こえる。』と言って去って言ったらしい。


『あの、反応が検出されました。』

キーの声が、どうでも良い噂から引き戻した。人ごみ溢れる交差点から離れ、人の少ない路地へ行く。

「異界か、転送はいつでもしていい。」

辺りを確認して伝える。


『消えました。ドリムですが…現存する級分けで判断できません。そして、シンクの反応が検出されると、ドリムがむかいすぐ駆逐したようです。』

「とりあえず異界に行ってみようか。」

キーに転送してもらい、シンクが現れたところに向かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ