分岐
鬱展開ありません。
放った弾丸は眼を貫き炸裂する。画面からの映像で確認すると、龍の左目は完全に潰れていて、ふらつき倒れこんだ。倒れた衝撃で揺れ、高い波が起こるが、ここまではまだ波は来ないようだった。
「殺してしまったのか。俺は。」
今さらながらやってしまったと思った。助けられたかもしれないのに。倒れて伏したままの龍を見て、背中から急に冷えていく感じがした。
『核の反応は弱まっていますが、活動継続しています。マヤが再転送を試みていますが、蹴斗さん、メグさんの転送ができません。邪魔されているようです。』
「良かった。殺してなかった。」
まだ手はある。斬ったり撃ったりしても、そう簡単に死なないと分かっていても、動かなくなったら恐いな。
『………あの剣で斬った時にかけられた言葉を覚えていますか。彼女はもう助かりません。殺さないと止められませんよ。』
蹴斗達の下へ行こうとしていた足が止まる。
「まだ分からないだろ。先輩の時みたいにうまく行くかもしれないし。」
足元がぐらつく。走れないほどではないが地面はまだ揺れているようだ。
『あれは、無理矢理オープに取り込まれかけ、さらに、拒絶が強かったため同化率5%未満でリスクがほぼ0で済んだレアケースです。今回は騙されたかどうか分かりませんが、同化率が95%を越えています。奇跡を起こして精神を助けられたとしても、異界の消滅と共に肉体が消失します。』
「ほら、よくあるだろ。愛とか友情の力で復活みたいな。」
蹴斗とメグの力で何とかならないかな。友情が芽生えたりとかでうまくいかないのか。
『以前の戦いではありませんでした。それに今までも、躊躇なく斬り捨てたり、打ち抜いてきたのに何故今さら躊躇するんですか。』
「やらなきゃやられるって思って、頭が真っ白の時はいけるけど、相手が死ぬと分かって攻撃するのは、別だ。斬っても復活する、人じゃないなら多分大丈夫だけど。」
考えがまとまらずに、思いついたことをまんま喋っている。矛盾しているのも分かっているけど、敵を攻撃するのは良い、でも人が死ぬといわれるとちょっと……オープとかを剥がすための攻撃と一緒にしてもらってもな……
『敵が起き上がりました。こちらに向かって進行中です。覚悟が決まらなければ戻りますか。』
「撤退はしない。何とか道を探すさ。Style change Hero CODE seeker 」
白いコートに着替え家がもっと集まっているところへ移動する。
「キー、蹴斗達に居場所を伝えてくれ。画面の映像は上から映す様にして、小さく右端に移動させてくれ。」
『了解しました。戦闘になると転送は難しくなります。Lastシリーズを持った者は、1度核などと闘うと終わるまで闘い続けることになると思いますが、本当によろしいですね。』
「くどい。なんとか助けてみせる。」
移動しながら、そう意気込んだ。
視界にあの龍が入ってきた。見つからないように、龍の左へと移動を続ける。
『回復させないよう毒を仕込むとは、どこだ神郷』
地鳴りを伴わせるような、大声が響き、龍が住宅を破壊しながら進む。しかし、龍は俺をすでに通り過ぎている。
「キー、敵に取り憑かれると人格が変わったりするのか。」
龍を追いかけながら聞いてみる。
『歪み膨らんだ想いのため、口調や思考が極端に変化するそうです。ただ、制御できていればいつもと変わらないようです』
助けるヒントにはならなそうだった。龍は立ち止まり辺りを見回し、どこだなどと叫びながら探して居る。
『蹴斗さん達が来ます。後方からです。』
キーに言われて後ろを見ると、2人が水面ギリギリを飛んでいた。
「……飛んでる。」驚いて二度見してしまった。
「創志、今度は白くなってるな。それよりもう体大丈夫なのか。」
「ソウ君良かった。無事だったんだね。」
2人は怪我無く、追いついて一緒に隠れた。
「体は大丈夫だ。それより、どうやって飛んでたんだ。」
蹴斗に直球で聞いてみるとメグの魔法だと聞かされた。
メグが首をかしげ、こっちをみながら尋ねてきた。
「ソウ君、雰囲気変わってない。昔みたいだよ。」
「そういえば、そうだな。何かあったのか。」
蹴斗も便乗して聞いてきたので、即答で返す。
「猫被るの辞めただけだ、それより今は早乙女をどうするかだ。」
2人ともキョトンとした顔をしている。何か変なことを言ったかな。
「紅先輩じゃないとは分かってたが、早乙女なのか。」
「えっ、早乙女さんなの。」
気付いてなかったのか、二人とも。とにかく作戦を決めよう。
作戦を立てる事で分かったことは、メグの能力が魔法で回復・補助ができることと、俺に補助が効きにくいことだった。結局俺一人飛べないので、2人が上から攻撃し俺が下から援護することになった。スタイルをスナイパーに変更して距離を取る。
「お前、これからはマヤとキーでサポートするからな。マヤは全体を見るから蹴斗達に伝えたいことが出来れば、マヤを呼べばすぐ伝えられるぞ。あと、画面の解像度など上げておいたからな。」
Ⅵと書かれたマヤの媒体である小さな金属の箱が伝えてきたので、礼を返しておく。作戦開始の所定の位置に付く。
「お前は、Lastシリーズの使い手になったそうだな。キーが恐らくだが、甲斐甲斐しく世話したり、厳しいこと言うと思うが嫌いに成らないで欲しい。愚痴はいつでも聞いてやるからな。」
「急に優しくなって、何か変だぞ。Last何とかは呪われた武器だったりするのか。」
「呪われていると言うか、呪われる武器だな。使えば使うほどに。まあ、キーに内緒で愚痴りたいことがあればこのアイコンを選べばいいぞ。そうだ、今画面に出ているものを自分で操作できるようにもしておいた、画面のことを考えながら手をかざすと反応するぞ。戦闘時はキーに頼むんだな。」
一気に便利になって凄くありがたかった。マヤに再度礼を言うと、さっきの会話はキーに聴かれてないが、説明はしてあると告げられた。後、今度から創志と呼ぶらしい。態度の急変が引っかかるが目の前の事に集中しよう。蹴斗達と一緒なら助けられるはずだ。
「創志、そろそろ時間だぞ。開始まで10・9・8・7・6・5・4・3・2・開始」
蹴斗が側面から散発的に攻撃する。エネルギー弾を曲げて当てるので位置の特定が難しそうだ。龍はイライラしてきている。俺は遠隔でいつでも銃を撃てるようにポイント確認していく。俺の役目は龍の右目を潰すことだ。5箇所に設置した銃で狙いをつける。メグが龍の視界に入る。
『見つけたぞ、天地。殺してやる。』
龍は熱くなっているのか、魔法を使わず直接攻撃しにいく。迫る鰓を寸前で回避して、3番のポイントへ誘い込んでいく。三番の銃を操作して狙いを定める。その時、蹴斗が放ったエネルギー弾が、顎を下から跳ね上げる。ホップとかどうやってさせるんだよという雑念を頭の隅に送りながら、眼を狙う。頭が上がりきる瞬間を狙って撃つ。銃弾は寸分違わず命中し、左と同じ様に右を潰した。
『ぐぎゃああああ、眼が…私の目がぁ。神郷、貴様』
龍の周りから白い靄が立ち込め、靄が霧となり恐ろしく速く辺りを包んでいく。俺は顔を覆う画面で敵が見えるが、蹴斗達はどうなんだろう。キーに尋ねてみると、見えないそうでマヤに導かれつつ距離をいったん取るそうだ。攻撃力が低そうなメグと合流すべく、キーにナビを頼もうとすると龍が見つけたと叫んだ。
『神郷、貴様だけは噛み殺してやる。その前に…蹴斗、見ーつけた。』
目がないのにどうやって見つけたんだ。頭は蹴斗の方を向いているし見つけていることに間違いはなさそうだ。
蹴斗の周りの霧が集まり幾つもの円が出来重なる。出ようとしているが、弾かれ中央に戻されている。霧が水、水が氷となり氷の牢獄が完成した。
『雌狐…お前も見つけたぞ。お前は死ぬが良い。』
メグの周りには高く渦巻く水柱が何本も出来ていく、最初の方はうまくかわし続けていたけれど、数が多くなって囲まれてしまった。
「マヤ、転送させろ。速く」
「もう、やっているぞ。しかし、邪魔が入って出来ない。」
メグは渦に弾かれ、ピンポン玉のように何度もバウンドして地に落とされた。
「早乙女、頼む。辞めてくれ。メグを殺さないでくれ。」
蹴斗が龍に懇願する。
メグを包むように水が集まり、メグを中心として水球が出来上がった。
『蹴斗の頼みでも、私は両目を穿たれたからな。天地か神郷のどちらかは殺す。必ず殺す。蹴斗…どっちが良い。どちらを殺して欲しい。ふふっ、早く決めないと、天地溺れちゃうわね。』
龍が醜悪な笑みを浮かべつつ蹴斗に囁く。
俺はメグを助けるためにサムライにスタイルを替え、水球の魔法を斬りに向かった。
「メグを…メグを助けてくれ。」
画面から蹴斗の声が聞こえた。
『そんなに大事なんだ、天地が…消えてもらおう。天地には…この世界から』
「そんな、約束が違うぞ。」
画面の蹴斗が血相を変えて龍に訴える。
『約束は守るよ、蹴斗君。天地はむこうに返す。そして、蹴斗君。あなたは私とこの世界で一生を共に過ごすの。』
メグの目の前に到着するのと同時に水球が、ただの水に還る。意識無く倒れてくるメグを支え、振り返って龍を睨む。やるしかないか。
「マヤ、メグを頼むよ。キー、サポートよろしく。」
『今なら天地さんと共に向こうに逃げれますが、どうしますか。ここがターニングポイントになりますよ。ここで退かなければ、戦い続けるしかなくなりますよ。』
「向こうが指名したしやるしかないだろ。」
戦うと決めた時体が震えたが、武者震いと決め付け龍から視線を外さない。メグが転送されていく。スタイルをHeroに替え構える。
『蹴斗、少し待っていてね。アレを殺したら、二人だけの暮らしが待っているわ。謝る必要はないわ。私は寛大だから、一時の迷いなんて気にしないわ。』
龍は都合の良い耳を持っているようだ。
「蹴斗、気にしなくて良い。誰だって、男なら彼女を助けるさ。どんな手を使っても。」
謝る蹴斗にそう返す。
『ジャミング復活しました。もうアレを殺すしか出れません。覚悟を決めてください。』
キーに何度言われても、まだ他に道はあるはずだ。信じれば何とか成る世界なんだ、蹴斗を助けて二人で何とかしよう。
別視点というか、片側みると良い人。でも裏があるってのは1人称で書きにくいですね。
文才が無く、3人称でないので、1人称の彼が見聞きしたことしか書けない。
もし、穴あきの部分(魔術師や騎士が仲間になるとか、マヤとキーの会話など)が見たい方は御一報ください。




