プロローグ 邂逅
ゲームでいえばチュートリアル部分ですね。
よろしくお願いします。
自分は特別な人間じゃなくなった。何でも出来ると思ってたあの時は終わり、能力と運を持つ人が残ってく。自分は駄目だったし、せめて選ばれたあの人をそばで見れていたらと思っていた。
4月13日月曜 私立龍門高校 生徒下駄箱前
学級日誌の提出という日直の最後の雑務を終えて下駄箱まで来ると、幼馴染の一人海山 蹴斗に出会った。1年の頃からサッカー部のレギュラーで、プロからも誘いが来ている。自分のやりたい事があって、本当うらやましい思う。そんな蹴斗が190後半という自分よりだいたい頭一つ高い所から声をかけてきた。
「おっ、創志じゃん。今日部活ミーティングで終わったから、今から帰るんなら一緒に帰ろうぜ。それに、ちょっと頼みがあるんだよ。」
「いいけど、頼みってなに?」
蹴斗は鼻をかきながら、
「いや、もうすぐメグの誕生日だろ、それとなくほしいものを聞き出してほしいなと…、駄目か?」
もう一人の幼馴染で蹴斗の彼女の天地恵美の誕生日は確か3週間程先のはずだけど、もう準備するのかと感心つつ、彼女いると大変なんだな。
「それなら、天地と一緒にいる深波か羽鳥に聞けばいいんじゃないかな?」
などと、のろけ話を聞いたりこの前の合宿の話を聞いたりして、正直のろけ話には、若干イラッとした。
同日 帰り道 住宅街
帰り道でどうでもいい話をしていると、ちょっと前にニュースになったことを蹴斗が聞いてきた。
「そういえば創志、春休み中に俺らが住んでる地区で隕石騒動があったけどさ結局どうなったんだ?TV局とかも来てたみたいだけど、今は全然聞かないから気になってさ。」
「隕石騒動?あぁ、何か映像撮った人はいらしいたけど、肝心の隕石は見つからなかったみたいで、UFOとか言い出す人もいたけよ。確か、平さんの畑に落ちてるはずって偉い人達が探してたよ。」
「ちょっと行ってみようぜ。」
こうなった蹴斗はとめられない。遠回りになって正直面倒臭いと思いつつ畑の方に進路をかえる、住宅街から離れるにつれて人通りも少なくなっていった。
ベチャ…ドチャ…ズル…ベチャズル
曲がり角の先から奇妙な音が聞こえてくる。引き摺るような気持ち悪い音。蹴斗は聞こえてないのか、気にしてないのかそのまま進んでいく。声をかけようとしたら、それが居たんだ。
絵の具を足しすぎて出来た汚い紫と緑の中間みたいな色の、自分より少し小さいヘドロの塊みたいなのが、ゆっくり近付いてくる。訳が分からない物を見て、二人して呆然としていると、ヘドロが触手みたいに塊を伸ばして蹴斗の腕に巻きついた。
蹴斗は顔をしかめつつ振りほどこうと腕を振り回している。
自分もスクールバッグを叩きつけるけど1度変形し戻るだけで効果はなさそうだ。さらに、ヘドロの塊が近付いてくる。
後2m位の所でヘドロの真ん中辺りが盛り上がって女の顔が出てくる。瞼を開くと虚ろで気味が悪かった。そして、自分と目が合った瞬間顔がニヤリと笑う。その不気味な笑いを見て、背筋に悪寒が走るとともに思わず手を出してしまった。感触は最悪だったが左頬にクリーンヒットした。それでも、顔はニタニタと笑っていて、まだこっちを見ている。あまりの気持ち悪さにもう一発叩きこもうとしたら、急に後ろから引っ張られた。
「触手が離れた。創始逃げるぞ。」
そして蹴斗と二人踵を返して逃げた。人通りのある大通りの方へ出ると人が1人もいない。それどころか街の様子が何かおかしい。独り止まって様子を見る。
ガサガサ
ズルズル
辺りから音が聞こえる。見回すと排水溝からあのヘドロが出ようとしていた。ポストの穴からも零れてきている。そして、気付くと蹴斗がいつの間にか3ブロック程先に行っていた。いつの間に…
後を追おうとしたら、角からあの顔の塊が出てきた。
「あぁぁぁぁぁ」
呻き声をあげ、目が不気味に光らせ、触手ではなく手をこちらに伸ばしてきている。不気味すぎる。
1歩、2歩……後ずさりして、自分は逃げ出してしまった。
ズルズル・・・ボトボト・・・ビチャビチャ・・・
逃げても逃げても周りから音が聞こえる。自分は音のしない方へ一心不乱に逃げた。自分でも気付かないうちに平さんの畑に来ていた。
「うがあぁぁぁぁぁぁぁ!」
後ろで耳が壊れそうな程の音がして振り返ると、変形しかけの塊がいた。顔が塊から出ていて髪みたいなものを作っている。胴体見たいな所が膨らんだり縮んだりして、ドレスを纏っていようになった。
そして、ドロドロの汚い花嫁みたいになった塊が自分に近づいてくる。
塊の変形が終わってから、塊のことをあまり怖く思えなくなった。何であんなちょっと不気味なだけの物から、必死こいて逃げていたんだろうと、イライラしてきた。
『攻撃しないといけない』そう思って、1歩踏み出すと、目の前が真っ白になる。
「そ野ままDEは、殿、ダイしますよ。スてータスバッド?アングリです。」
何が起こったのかと、見回すと白い部屋の中にいて、部屋の真ん中のディスプレイから、声が聞こえる。
「No時間なので、ちかあを献上。これで、Fight えいブル」
何のことか全く分からないが、イライラが収まって体が軽い。そして また、眩しくなったと思ったら畑に戻っていた。目の前に汚いドレスが居る。
とにかくやるしかないと考えて間合いを詰めようとすると、思った以上に体が動く。
簡単に後ろを取って、右足を引きためを作る。
そして、振り向きかけた人型の塊の右を蹴りあげる。
ヒットした瞬間塊の上半身がはじけ飛んだ。
「えっ、ちょっ…弱」
一応警戒して間合いを取ったけど、下半身だけになったそれは2、3歩歩いて倒れると、蒸発するように消えていった。なんだったんだ。
「終わったのか。」
「Yえs。まず、倒しますた。殿ちょっとかモン。お願いぷぃーず。」
畑の端っこに白い扉ができる。自分を助けてくれたみたいで、敵じゃないと思い扉を開ける。戦う前に居た白い部屋があった。ディスプレイが声を発した。
「殿の端末ぷぃーず、置いテくださーい。NO時間。殿のフレンズあぶなーい。」
「おかしな日本語だな。フレンズ……蹴斗がやばいのか?助けないと。この力は後で返すから、ちょっと借りとくよ。」
助けに行こうと部屋を出ようとすると、扉が閉まった。もしかして、罠だったのか。
「Waitぷぃーず。フレンズうぇあー?I see.説明する。まず、端末ぷぃーず。」
急いでいるのにと思いながら、中央のディスプレイ近くの台座の上に携帯を置く。ピッ、と音がして解析中と出てきた。腕を組んで、右の人差し指で左肘を速いリズムで叩きながら待っている。イライラして待つ時の癖が出ていた。
「最低限の解析は終了。フレンドの近くまで送ります。向こうの壁にワープ装置が出現。装置に入ってください。詳しい説明はワープ後フレンドの所に行く時におこないます。」
携帯を取って迷わず装置に入る。
「準備できた。送ってくれ。」
半分夢だと思っていたけど、現実だった。ワープした所に段差があって、こけて痛かった。手に着いた泥を落としながら、辺りを見回す。蹴斗とはぐれた住宅街だった。
急に携帯が振動し音が聞こえた。ビクッとしながら耳に当てる。
「自己紹介もしていませんでしたね。私は護送船プリズナーのアシストシステムです。此度は私どもの失態により大変迷惑をかけ申し訳ありません。それでは、お友達の所までナビゲートします。」
「あの、助けてくれた人ですか?」
誰だろうと疑問に思いつつ尋ねてみた。
「いえ、私はあの部屋のサポートシステムです。搭乗員は全て死亡しています。貴殿の端末を解析して、円滑なコミュニケーションを取れるようになりました。お友達は商店街を南に逃走中です。できるだけ敵と遭遇しないようにナビゲートし、戦闘方法を伝えていきます。」
ゲームかマンガみたいだなと思いつつナビに従って走る。あの時の戦闘時までとはいかないけど体が軽い。
「それでも、助けてくれてありがとうございます。それと、敬語じゃなくていいですよ」
あらかた戦闘の仕方を教えてもらって、聞いてみた。
「いえ、こちらの落ち度で巻き込んでしまったので当然のことです。敬語というのは、また解析する機会があれば検討させていただきます。まずい、お友達は敵に追い詰められている模様、後20m程急いでください。」
マップを確認するとこの先は行き止まり、足にもっと力を込めて地面を蹴る。敵である塊が見えてきた。教えられたとおりに携帯のソフトを起動させる。口元に持って来て叫ぶ。
「Style change Samurai」
自分の周りが淡く光り、刀が出てきて左手で鞘を掴む。
右手に持っていた携帯はいつの間にかに消えていて、空いた右手で柄を握る。
右足で踏みこみ体制を低くして、止められなかった勢いのまま切りかかる。
塊は右側の壁にビタンと音を立ててぶち当たった。敵と距離が出来たので間に入った。
「創志か、何で刀とか持ってんの?」
後ろから声をかけられ一瞥する。蹴斗は服が汚れているが怪我はなさそうで安心した。
「敵は斬撃に耐性を持っていると説明したはずです。銃に切り替えてください。」
敵の塊を見ると弓道の的みたいなのが所々に付いている。狙えといっているんだろうか。腰にもう一本さしている小太刀を的に投げつけてみた。左肩の的にクリーンヒットしたが効果はなさそうだった。右手を開いて口元に近づけると携帯が出てきて、
「Style change Gunner」
淡い光と共に刀が銃に変わる。手に取ると思った以上に重い。そのまま的を狙って撃とうとするが弾が出ない。まず引き金が引けない。硬い。かなり恥ずかしいし、焦る。敵はズルズル近付いてくる。
「えっと、蹴斗逃げよう。銃の使い方が分からないんで、教えてください。」
二人して走り出す。
「創志、誰と話してるのかは分からないけど、無事でよかった。それと、ありがと助かったよ。」
「いや、まだあれを倒さないと出れないらしいんだよね。あっ、そうだ。蹴斗、はい」
サポートシステムから言われていたので、腕時計みたいなのを渡す。
「それ着けておくと、攻撃も防御も出来るようになるらしいよ。」
蹴斗は受け取ってすぐ着けていた。
「着けた?『realize』って言えば戦「リアライズ」るようにな」
はやいよ、説明したかった。
蹴斗は紺色で脇に二匹の赤い竜が昇って行くデザイン・胸のD.G.H.S.の刺繍…高校のユニフォームを着ていた。サポートシステムからは攻撃しようとするとボール状のエネルギー弾をうてると聞いたので、そのまま伝える。後ろから塊が見え始めた。蹴斗と一緒に細い路地に入る。
「二人で協力するのは久しぶりだな。小学校以来かな。」
蹴斗が光るボールでリフティングしながら話しかけてきた。自分はサポートシステムに言われた通りに大きい銃を撃てるようにしながら、
「そうかな。」と返した。
「二人で本気で取り組むのは、小学以来だ。もし、出れたらまた……いや、いいや。敵も来たみたいだし、集中集中」
スコープ越しに敵を見る。路地を埋め尽くして周りの壁を削りながら進んでくる。的もいくつか壊れている。もしかして、自滅してないか。トリガーを引く。ドスンと鈍く乾いた音が響き、耳鳴りが鳴り止まない。的のあった所には大穴が開いている。
横を見ると蹴斗がシュートのモーションに入っている。右足から放たれたボールはきれいな孤を描きながら、最後の横を向いていた的に吸い込まれていった。いつみてもきれいだ。これは決まったな。
バキッ 最後の的が壊れる。塊は倒れて消えていった。
読んでくれてありがとうございます。
まだまだ機能が使いこなせてない作者ですが、日々精進していくので暖かい目で見守ってください。
誤字脱字文法のミスがあれば御一報下さい。




