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拾った。

私は料理を作ることが大嫌い


俺は料理を作ることが大好きだ


私は料理を食べることは嫌いじゃない、けど見るのは嫌い


俺は料理を見るのは好きだが、食うのはそうでもねぇな食材は料理するためにあんだろうが


食事は皆で楽しむためにあると思う


食事なんて栄養を摂取するだけのもんだろ


・・・あの人とは


・・・あいつとは


           ない

絶対分かりあえ

           ねぇ


 

これは『私』と『俺』が食べ物を通して互いを認め合う物語。





あいつを拾ったのは梅雨に入ったばかりのころだった。


「タイナ、店の掃除終わったか?」

「えぇ、終わったわ。兄さんの方こそ料理の仕込み終わった?」

「あぁ、終わったぞ。」

「じゃあ、お店開けるわよ♪」

毎朝俺は店の仕込みを、妹のタイナは店の掃除をして店を開ける準備をする。

俺達兄弟は西の国々と東の国々間で料理屋をしている。

二人で、しかも国境の間でやっているため、最初は旅人しかやってこなかったが、今では近くの村や町にいる奴らもやってくるようになった。

まぁ、当たり前だな。俺の料理はそこら辺の料理とは格が違うからな。

「それじゃあ!か~いて~ん!」

妹のこの掛け声とともに料理屋「フォアワード」は開店する。

...正直この掛け声は恥ずかしいのだが、兄の俺が何度言っても変えてはくれなかった。


ガヤガヤ...ガヤガヤ......

「お~い、タイナちゃ~ん♪こっちに酒とイカのつまみくれ。」

「は~い♪」

「タ~イナちゃ~ん、こっちは日替わり定食二つね!」

「少々お待ちくださいね~♪」


「兄さん、イカのおつまみと日替わり定食二つお願い!」

「またあのオヤジ達来てんのかよ。」

「兄さん!お客さんのことをそういう風に言っちゃダメって何度言えば分かるの!」

「あ~はいはい、わかってるよ。」

「分かってないでしょ!」

「ちっ。」

「仕方ねぇだろ。あのオヤジ共基本的に俺の料理食わねぇし、食っても見た目気にせずガツガツ食ってくし。うちは居酒屋じゃねぇっての!」

タイナはこれをいうと怒るが、さっさと帰ってほしいというのが俺の本音だ。

「もう!全然反省してないじゃないの。」

「いいだろう、ほら、出来たぞ。とっとと持ってけよ。」

「兄さんたらそんなんじゃ目指してるものには近づけないわよ?」

「うっせぇな、いいんだよ俺は料理人なんだからうまい料理を作れりゃそれで。」

「はぁ・・・そうですかー、いいですよーだ。妹の意見を無下にする兄なんてもう知りませんー。」

呆れたようにそう言ってタイナは料理を運んでいった。

言われた俺はいつものことなので気にせず、ほかの注文された料理を作り始めた。

そんなこんなで今日も一日が過ぎるものだと思っていた。

あの時までは...


それは昼のピークを過ぎた時に起こった。

「た、大変っす!大変っす!大変っす!大変っす!大変っす!大変っす!大変っ「ちょっと!パープルさんたらどうしたの?」」

店に飛び込んできたのは、近くの何でも屋の店員のパープルだった。こいつも客の一人だ。

こいつが騒がしいのはいつものことだが、今日何があったんだ?

一応厨房から話を聞いておく。 

「そ、外!落ちてた!倒れてた!」

「パープルさん・・・落ち着いて話してくれなきゃ分からないわよ。」

「あっ、すまないっす。」

「それで?何があったの?」

「外に人が倒れてるっす。」

「何ではやく言わないの!落ち着いている場合じゃないでしょう!」

「えぇ~、落ち着いて話せって・・・」

「兄さん!ちょっと出てきて!話聞いてたでしょ?」

「ああ、聞いてたよ。(お前の理不尽な文句もな)」

「助けに行きましょう!ほら!パープルさんそこに案内して!行くわよ、兄さん!」

「はいっす!」

「おう。」


「ここっす!」

案内された先には、確かに人が倒れていた。

長くきれいな白い髪の女の子が。
















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