† 大部屋 : 七十七日目 †
七十七日目
十二月三十日。朝食後。サイレンが響く。
サイレンと言っても本物ではなく『TG(♀)』という患者の声だ。
「アーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」
非常に長く大きな叫び? 声。七十歳は過ぎていそうな婆さん。
しかしなんたる声量!!! なんたる肺活量!!! ここまで凄いといっそ素晴らしい!!!
『観察室』から響き渡るサイレン。
米兵でも来るのかい? B:29の襲撃かい? ベトコンの襲来かい?
厄介な事に『TG』元気いっぱいに動けるのだ。暴れてドアを叩きまくり、気がつきゃ腕骨折☆
かなり前から思っていた私の疑惑・・・・・・「ここは地獄なのでは~?」説を『メリット』に話してみた。
私はあの日あの時、実はちゃんと死ねていて・・・・・・ここは地獄でみんな実は地獄の鬼や悪魔たちで、台本か何かあって役とかも決まっていて・・・・・・私はまだ死んでいないって、思い込ませて・・・・・・・・・・・・・・・みたいな☆
「仮名さんそれ何て言う地獄ですか?」
「ん~~~・・・・・・『ぬるま湯地獄』かな・・・・・」
『メリット』は笑った。
彼女は二月に逝きたいと言った。私はとっくに逝っているハズだと言った。お互い笑う。そうして私は『メリット』に言う。
「十五年生きろ!」
「えぇ~~~ひど~い! 仮名さんも『生きろ教』だなんて~~~・・・・・・だいたいどうして十五年なんですか~?」
「ん? だって悔しいじゃな~い。私も二十歳頃の時にも死のうかな・・・・・・とか思ったけど、気が付いたら三十五・・・・・・三十六になってさ~~~。だから、十五年生きろ! 小娘!!!」
「ひど~~~~~い! 仮名さんのただの我が儘じゃないですか~~~!」
「うん。そう! わたくしの完全なる嫉妬、逆恨み? みたいなものですが? それが何か? 十五年生きろ!!! 十五年後に死になさい! そして失敗してぶち込まれてしまいなさ~い♪」
「ひど~~~~~~~い! じゃあ仮名さんも十五年生きてくださいよ!」
「いやいや私はもう・・・・・・・・・勘弁して下さい☆」
『メリット』とはこんな感じ。死にたいだのお互いに自分の事は棚に上げて生きろだの・・・・・・これがどうして・・・・・・なかなか・・・・・・♪




