† 出発 †
出発の日。
生きるのも長くてあと4日~5日。僅かな荷物を持って21時に家を出た。
自転車に乗って駅まで。ラッキーさんご自由にどうぞ♪ とばかりに自転車の鍵はかけたままで乗り捨て★ ・・・・・・ごめんなさい。
初めての夜行高速バス。っていうか、プライベートの旅行すら初めてなのよね~。引きこもりのオ・タ・クだったから☆
ふう~~~・・・・・・やれやれ。危うくバスに乗れないところだったわ! 旅行も初めてバスも初めて。で、東京駅もそう言えば初めて駅の外に出たような・・・。いや~~~、迷っちゃったじゃない! あ~~危なかった!
『初めて』ってドキドキするわ★
・・・・・・たっぷり寝てました。気が付いた時には間もなく到着。
薄暗い車内。カーテンに頭を突っ込み外を見た。夜明け間際で少し明るい窓の向こう。
うわ~~~~~・・・山ばっかりだ! これなら『吊る』木も選び放題ね! いいじゃない♪ いいじゃな~~~い♪
そして到着。
バスから降りたときにはもう明るくて、う~ん。爽やか~。秋晴れって感じで気持ちいい~~~♪♪♪
いい感じに『自殺日和☆ 』
それにしても・・・・・・何もない所だ。県の名前の駅なのに。何もないとは・・・。
コンビニがポツンとあるだけ。とりあえずそのコンビニへ。ミネラルウォーターと何か食べ物・・・・・・と言ってもお腹は空いてない。ここ数日ほとんど何も食べてないのに、不思議な事にお腹が空かない。
『死ぬ』と決めたからだろうか? もう『食べる』必要がないと体も悟ったのだろうか? が、少々足がふらつく。何でもいいから何か胃には入れておかなければ。
死に場所を見つけるのも、見つけて決行するのにもまだ少しだけ体力は必要だから。
コンビニを出て駅へ。3泊の予約を入れているホテルにはどうやって行くのかな~?
全くの知らない土地。知り合いは勿論、この県出身の知り合いも一人も居ない。この県に来たのも生まれて初めて。
・・・・・ヤバい。テンション上がって来た! ワクワクしてきた!
・・・・・・落ち着け。静まれ。35歳。
「先月の台風の影響で電車が途中までしか動いてなくて・・・申し訳ないのですが、お手数でしょうが○駅で臨時のバスにお乗り換え下さい」
「分かりました」
渡されたのは電車用の切符と臨時バス用の切符。
台風の被害か・・・・・・。大変な時に来ちゃったかな~? もう少し調べてもよかったかな・・・・・・なんて、今更。私、死出への旅路の片道切符で来ましたから。
あら? エレベーターもエスカレーターもないなんて。・・・・・・持てるけど。まだ今日は重めなのよ! 生存日数長くて5日の荷物を抱えて階段を下りる。
この荷物が私の最後の荷物。全財産。あとは全部切り捨てて来ちゃった☆ 処分して来ちゃった☆ 失うものは何もない・・・なんてよく聞くけれどこんな感じかな? おお! こりゃ気楽だわ♪
聞いたことも見たこともない電車に乗り、寝る。
この『寝る』という行動。私は幼い頃から寝付けず困った・・・・・・なんて事が一度もない。本当に『いつでも』『何処でも』『どれくらいでも』眠る事が出来る。
二度寝三度寝当たり前。四度寝五度寝も余裕綽々。六度寝七度寝も通り越し八度寝九度寝そして十度寝まで。
アホですね~~~。寝すぎなのだろうが、これはこれでなかなか便利な特性だと思う。
で、目を覚ますと乗り換えの駅間近だった。寝過ごすところでした。
乗り換え駅に到着。ホームに出る。階段しかない。荷物を抱えて上がる。外に臨時バス。やはり階段しかない。荷物を抱えて下りる。バスに乗る時も当然荷物を抱えて・・・・・・・って! 後は死ぬだけなのに~~~!なんなの?! 最期の苦労?
これが巷で噂の『神の試練』ってやつなの?! もしもそうなら・・・くっそ~神め!!!
バスは進むよ山のなか。って、本当に山々山々山々山々山々山々・・・・・。行っても行っても山ばかり。
山から山へ。
おい、スゲーな! ・・・山しかないじゃん! ここの住人達はいったいどうやって生活してるの? っていうか人住んでるの?住めるの?
な~んて失礼かつ余計なお世話な事を考える一方で『木』選び放題! 『吊り』放題じゃ~ん! ヒャッホ~ウ♪
なんてことも思っていました。