第5話
求人チラシの内容は、[映画の俳優募集]というものだった。僕は興味本位でそれを手にし帰宅した。
家に付き一息つくとショウから電話がかかってきた。
「ぉぃ!見たか!?」
「何をだよ?」
「何をってお前ー、チラシだよ。映画の俳優募集のチラシだよ」
「あぁー、ショウも見つけたんだ? 誰か有名な女優かなんかが来るのか?」
「まだ読んでないの? 今度、ここらの近所に住んでるってゆう映画監督志望の人が映画を撮るらしいんだ。それで募集してるんだよ。内容が俺らに最高なんだよーちょっと見てみ。」
僕はバックからさっき取ってきたチラシを取り出し、目を通した。
確かに僕らにぴったりの内容だった。
1. 15〜18歳の 男4人 女4人 を募集。
2. 映画完成時に1人20万円を支給。
3.撮影は6月からの約3ヶ月程度。
4.夏期には泊まりこみの撮影あり。
5.やる気のある方募集。俳優の経験は問いません。
とのことだった。
他にもなにやら色々と庶務的なことが書いてあった。
「すげー楽しそうじゃん! ってか俺らにぴったりんこだな!」
「だろだろ! まぁ映画の内容とか監督のこととかはほとんど何も書いてないんだけどな」
「ああ まぁ実際オーディションに行ってみればわかるでしょ なぁ行ってみようぜ?」
「無論!俺はそのつもりで電話したんだよ」
「じゃぁ決まりだな! 明日ナオキとマナブにも言おうぜ!!」
「わかった! じゃぁまた明日なー 良いタイミングでこんなのが見つかるなんて映画みたいな話だな」
「ホントだよ。じゃぁまた明日!」
本当にとても面白そうな内容だった。ショウも声から察するにかなりテンションがあがっていた。
僕とショウは同じ中学校出身で、その頃から毎日のように映画の話をしていた。一緒に映画館に行って色々な映画を見たし、DVDを借りて学校で見てたりしていた。 また僕ら2人はそれらの見た映画についてずっと議論を交わしていたりした。
それは2人とも同じ高校に進んだため、高校に入ってもその会話はよくあった。そんな話に食いついて仲良くなったのがナオキとマナブだ。
言ってしまえば僕ら4人は映画オタクだ。
4人で映画を作ろうかと言う話も一時期あがったが今の高校にはそういった部活がなく、また個人的に作ろうにも予算もないので、結局なにも起こさずに1年がたってしまった。また最近では見たい映画がほとんどなく映画について語り合うこともなくなり僕個人としてはもの寂しく思っていた。
明日は真剣にナオキとマナブに話してみようと思った。俳優の経験はないし、受かるかわからないがとりあえずやるだけやってみようと。