第4話
「さっきの旅行の話だけどさ、夏休みに行くことにしてそれまでみんなでバイトをして旅行費を貯めるってのはどうかな?それでたまったお金の範囲で行く場所を決めよう」
完全に答えがまとまっているかのようにマナブが言った。マナブは4人の中で最も[真面目]な人間でありいつも正しく的確な意見を出してくれる。
僕らはマナブの意見に賛成であったためその線で話をすすめた。
「バイトするって言っても俺ら4人をやとってくれるような景気の良い店今時あるかー?」
ナオキがiPodをいじりながら言った。
「確かに。まぁどちらにしろお前は雇ってもらえないがな!話にならない。死ねば良いのに。」
「マナブちゃん面白いなー!ナオキ、アイデンティティ崩壊、ずどん。」
マナブが素っ気なくナオキをからかったのをすかさずショウが突っ込む。…4人が笑う。
彼らが集まるとすぐ楽しい雰囲気になる。
僕はこの時間を忘れたくないからこそ高校卒業からの後、思い出としてしっかりと残しておくために[旅行]をしたいのかもしれない。きっと[旅行]自体を思い出すと、それについて今、こうして笑いながら話し合っていたことも青春としてリンクするのかもしれない、そう思う。僕はこの4人で居るときの雰囲気が大好きだ。造るわけでもなく、自然の笑いが湧き起こる。
「まったく…」
話は横にしか進まないがこうして4人で話していることがものすごく楽しかった。
高校を卒業したら僕らはいくら同じ大学に進むとはいえ今と同じように毎日会い、こんなにも長い時間を共有することは出来ないのだろう。そう考えると、とてつもなく悲しくなる。
…
気付いたらもう店の外は真っ暗になっていた。
「今日はもう帰りますかー、続きは明日決めようぜ、勉強したいし。」
マナブが言うと[勉強]が[ゲーム]のようなものだとゆう感覚になる。
「そうだなーまぁ何も決めてないけど、じゃぁみんな明日求人誌探して持ってこようぜ」
ショウが提案した。
「了解ーじゃぁまた明日ー」
ナオキが携帯をいじりながら返事をした。
「また明日なー ヒデちゃん今日もサンキュー!」
僕はヒデに挨拶をして店を出た。昼と比べると、とても涼しく気持ちの良い夜だった。僕はみんなに別れを告げ、家まで思いっ切り自転車を駆けて帰った。気分がとても良くなった。
帰りがけ家のすぐ近くで、とある求人チラシを見つけた…