第3話
始まった…とは言ったものの旅行にいくまでに悩むべきことが僕らにはたくさんあった。行く場所、お金のこと、日程のこと、もちろん勉強のことなど色々だ。
そんな議論を交わしているときに始業のチャイムが鳴った。今日僕らが4人とも同じ授業の時間はこれが最後なのですべての授業が終了したらいつものように学校から歩いてすぐのハンバーガー屋[J'sBar]に集合しよう、と約束をして別れた。 曽根さんの授業が朝から2時間も続いているのもあったせいか今日は授業に集中できなさそうだった。
僕は渋々ながら席につき、先程のような格好で曽根さんの授業を受けた。
こうして授業を終えていった。
今日は最後の6限目の日本史の授業が終わるのが少し遅れてしまったが、僕は約束通り皆が待つJ'sBarへ向かった。
5月なのに真夏のように暑い日だった。
J'sBarへ着くとすでに3人とも来ていた。
「おつかれー。俺らも今来たところやよ」
額の汗を拭いながらショウが言った。
僕らはいつも通りカフェオレを頼み席へ向かった。
「Caffe quattro!!」
「Bene!!」
おなしみの注文のやりとりだ。
このJ'sBarは去年僕らの入学と同時に出来た店だ。店主は中田英寿に喋り方が似ていることから[ヒデ]と僕らが呼んでいる人で…本名は誰も知らない…彼は実業家を志し、早稲由大学まで出た人間だったらしいが経済運に恵まれずこうしてハンバーガー屋を営んでいる、とのことである。この店はワンフロアとカウンターだけの店で、カウンターの椅子以外には4人掛けのソファーが机を囲んで向かうように4つ置いてある。ヒデが言うには来てもらったお客同士で交流をするためだそうだ。 他の時間は知らないが僕らがくるときは大抵客がいないため、ここは僕らの隠れ家的な場所になっている。
1人ずつ四方のソファーに座ると僕はまずカフェオレを一口飲み、3人になんの話をしていたのか尋ねた。