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2026年の数行詩集(1~5 Line)

作者: イプシロン
掲載日:2026/09/21


  深夜に雪がしんしんと降る

  今夜は雪がこんこんと降る

  太陽の愛がさんさんと降る


  夜半(よは)の夜に雪はしづかに降りける

  今宵は雪のしきりに降りける

  日の御愛(みめぐみ)は降りそそぎけり



  荒れた遺跡に小さきお骨

  悍ましくも怖ろしげな歌

  眠れぬ夜を掘り崩しつつ

  露わなりしは真白きお骨

  細き腕こそ守りこし骨歌



  赤く錆びた糸鋸の尾を垂らし

  上天気に遊ぶ草花や蝶を追い

  舞はぬ埃は光の筋に煌めかず

  のっぺらぼうが掃き清めてた



  夜の街、行先を告げずに流星がひた走った

  エンジンブレーキが三度、道草を歌い

  重力を失った天の川に、願いの短冊が浮いていた

  君は君に逗まり、静止した明るさを連れ

  星を巡らし、エーテルを憧れさせていた



  丁寧に切り揃えられた爪

  白い半月と桜貝と鱒が遊んでいる

  波打ち際にまっすぐ歩かない、苔むした蟹

  「出来た、出来た」と、君は得意げに振り向く

  鼻の下で緑色の髭がまるごと祝福していた



  夜空の星が煌めいて囁いた

  「沙翁って知ってる?」「もちろん」

  「会ったことは?」「あるわけない」

  「君、亡くなったお母さんのこと知ってる?」

  僕は、星が煌めき囁いたのを疑った



  切妻のうえで語らう星ふたつ

  赤い星と青い星のかわす吐息の怪訝さ

  気づかぬまま進めた歩みが吐息を呑み

  切妻のしたに赤い星は消えていた

  群ら咲く人もやがて呑みこまれ消えるのだろう



  明け方の繁華街で愛を殺した

  昼盛りの緑園で愛は殺された

  はじまりも終わりもこうだと

  知れればよかったのだろうか

  知らぬまま幻想を見るほうが?



  運命の出逢いや劇的な再会は光

  網膜は偽らず心は嘘つき

  宇宙(ソラ)は光の方舟

  荷物も宛先もない

  光は詩(うた)わない



  白い蛇が脱皮した

  柔らかな淡桃色になった

  空風が殻を転がしていった

  這いずった波紋がのこっていた

  物語の蜉蝣が羽まかせに飛びたった



  双眸にうつる色褪せた世界は

  豊かな緑の草原、赤い天鵞絨の絨毯

  輩はのろ鹿と鹿、野兎に家兎

  鳥は歌えども歌わない。――いざや

  黄金を詩たえ! 薔薇を咲かせろ!



  高いとこから盥が転がってきたら

  どうも泥だらけでどこへでも

  出前する出会い系のデマだった

  そんな想起をそっとした君こそを

  詩の天才にしたいと信じている



  しとしと 雨が降る

  くとくと 飴を嘗め

  じっとしていられない

  胸で銀の針が

  ぢくぢく痛む



  目の前に完成間近の女神像画

  まるごと君にはあげられない

  そっと一刀 掌へ措く

  大切にして欲しい欠片 少し

  でも いつまでも持っていないで



  眠れない夜に泳ぐ熱帯魚

  逆鱗に開鑿された艱苦が泳ぐ

  おお、深海の潮(うしお)よ静まれ

  蛍火(けいか)、夜光虫、詩歌や

  海底(うなぞこ)に根を張り巡らせる文(あや)

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