第31話 天敵に会っちゃった
閑話を書いてみましたが自分で読んでもなんだコレ?って出来だったので追加で一話投稿します。
「そう言えばここにもダンジョンがあるんだよね?どんなところなの?」
「グランディールにあるのは武甲迷宮ねー、武器とか防具が出る所で他の国からも人が来るほど人気なのよ~」
「一攫千金を求めて深く潜る奴とか、浅い階層でそれなりの装備で戦力を整える奴とかピンキリだな」
「へぇー」
あれから一日、トラウマから立ち直った俺は二人に質問をしていた。いや、ゴブリンを殺した後はマジで酷かったよ⋯。肉が食えなかった。フォークでブスッと刺す時にさ、感触が蘇ってまた吐いたよね。
後から姉達に謝られたけど、あの場はナイフで刺し殺すしか無かったってんでお互い納得はした。俺が使える魔法は音属性故に範囲が広かったり効果が大雑把だったりで、単体に使うには向いてないからしょうがないんだけどな。
例えばLv3の範囲攻撃魔法の爆音なんかは恐ろしいくらいの大音量で衝撃波を発生させる物理技だしな。耳栓がないと大砲をぶっ放したような音がして鼓膜が死ぬ。そんなもん洞窟で使おうもんなら崩落待った無しだぜ。
そして今日は待ちに待った俺本来のお仕事の日、ダンジョン攻略でぃーす。イェーイ行きたくねぇー!肉食ってゴロゴロしてぇー!でもあの邪神、放置すると怖いからやるしかねぇー!ゴブリン刺殺じゃなけりゃなんとかなるから頑張るしかないか⋯。ぐすん。
「私のミスリルの剣もちょっと乱戦じゃ使いづらいし、サブ武器で鋼鉄とか硬い鉱石で作られたショートソードでも出ればいいんだけどなー」
「少し浅い所でドロップでも狙いながら行く~?私達はダンジョンに挑むの初めてなんだしさ~」
「そうだな、そうしよう」
そういえばクリスは最近まで魔力が無かったから入ったことないのか。それに付き合ってたティナも同乗って感じね。話を聞いてるとダンジョンに挑戦することこそが冒険者の本分みたいだし、これで一人前ってところか。
「ねぇねぇ、ここのダンジョンって何が出るの?」
「そうねぇ、聞いた話だとネズミとかコウモリとかスライムとか?後はクリーナーとからしいわよ」
「下水道みたいな地形が組み合わさってるから迷いやすいんだけど、マッピング出来りゃ雑魚しか居ない入門用みたいなとこだって皆言ってたな」
「下水⋯くさそう」
迷路みたいな下水道かー、うちの姉にかかれば特定でまず迷うことはないからクソチョロだな。索敵も同時に行えるからまず食いっぱぐれん有能さが誇らしいぜ。雑談をしながら街の中で一際賑わっている場所を抜けると、門番の兵士が空間に空いた亀裂みたいな場所の前で冒険者達を捌いていた。
「お、あれだ!見るのは久々だけど不思議なもんだよなぁ」
「女神様が授けてくださった物らしいわよ~」
ダンジョンって言うから階段とか洞窟が町中にあるのかと思ったけど、次元のポータル?みたいなものを経由して行くらしいな。まぁこんな大勢の人が暮らしてる中に魔物が沸く場所があったら流石に危ないか。俺の記憶だとスタンピードだー!とか言って街が壊滅したりすんだよな。この世界の人間は屈強だから多少襲われたくらいじゃ住民総出で返り討ちにしそうだけど。ってそうこうしてる内に俺達の番が来たな。
「はい、次。⋯ん?子供じゃないか⋯大丈夫なのか?」
「こう見えて結構強いのよこの子。ゴブリンだって倒したんだから~」
寄生プレイでだけどな。俺一人だと入口からLv5の禁呪クラスをぶっぱして終わらせるくらいしか出来ないから⋯あんまり見んといて⋯⋯。
ちなみにその魔法は死の歌というもんで、詠唱は要らないが代わりに俺自身が歌う必要がある。効果は⋯歌が聞こえる範囲の敵味方問わずの耐性完全無視の即死だ。魔力が乗った歌声なので耳が聞こえなかろうが、そもそも耳がない生物だろうが関係ない。問答無用の必中範囲即死攻撃である。こえぇぇ!絶対使わねえよそんなもん!これ絶対ノリで作ったろ邪神め。
「そうか。ならば良いが、初めてなら深い階層までは行くんじゃないぞ」
「りょうか~い。さ、いきましょっか」
俺達はギルドプレートを謎の装置に差し込んでから亀裂に入った。たしかに下水道だな⋯煉瓦造の半円状の通路に、足場が水浸しの空間が続いてるな。臭いはしないが、実際に人が使ってるわけじゃないからか?水の匂いと少しの黴臭さだけだ。
「ここがダンジョンか⋯これからバリバリ稼いでやろうぜ!まずは特定っと」
「水場なら私の出番ね!」
「あたしは下がって見てるだけでいいんだよね?何もしないよ?」
俺はマジで何もやらない。一応腰にナイフだけ持ってるけど、また生き物を殺すなんて勘弁してくれ。さっき聞いたけどコウモリとかネズミなんて出てきても当てれる気がしないしな⋯。
「お、早速反応があったぞ。こりゃスライムだな、行くか」
スライムかぁ⋯それなら最悪ぶっ刺しても大丈夫かもしれん。生き物かどうかも知らんけど今のところ罪悪感はない。ぷるぷる!みたいな見た目だとアレだが、外で見る個体はただのでかいアメーバみたいな奴だし。
「水撃、水撃、水撃、終わったわね!」
「おいおい私の分も残しといてくれよ。せっかくの初ダンジョンなんだしさぁ?」
一戦目はティナ無双で終わった。まぁスライムの対して物理はあんまり有効ではなくて、核を的確に攻撃するか属性でゴリ押しが定番だからしゃあないっちゃしゃあないが。だが、今の騒ぎで次の獲物が釣れたようだ。
「おっと次は団体さんだぜ⋯こりゃクリーナーだな」
「こいつらは物理が通るから半々にしましょっか」
「いぎゃああああああ!!あばばばばば早く早く早く倒してよぉぉぉ!!!」
クリーナー。その見た目は黒くて触覚があって羽があってガサガサ走ってくるアレ。俺が最も苦手としている台所に出現する要注意生物。ゴ◯ブリだった。しかも普通のネズミくらいのサイズで結構な数で群れてこっちに向かってきてて嫌悪感パねぇ。絶対こっち来んなよ来たら死の歌ぶっ放すぞまじで!
「割と居るなぁ、一応短剣は抜いておけよー」
「水撃!水撃!ああもうキリがないわね」
「あああああ!ひぎゃああああ!!」
こっちくんなこっちくんな殺すぞ滅すぞ根絶やすぞ!あああもう無理誰か助けてくれぇぇぇ!
「アリス、暴れたら危ないぞ!」
「これで最後ね、水撃!」
ラストワンを倒したらしき報告を受けてホッと一息ついたが、頭の上にポトリと少し湿った感触がした。ソレはまだ息があるのか、少しカサカサと動いたかと思うと、俺のおでこを伝って目の前に移動してきた。それを認識した瞬間、俺の意識は飛んだ⋯⋯。
筆者もGが大嫌いです。




