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第2話 冒険者クリス

クリスのイメージはディノクライシスのレジーナ、ティナは艦これの蒼龍です。

 私はクリス、冒険者だ。冒険者っていうのはダンジョンに潜って魔物をぶっ殺してアイテムを回収したり、外を彷徨いてる魔物や野生生物を討伐したり、森や山で薬草を取ってきたり・・・まぁ便利屋だね。


 ダンジョンには様々な物資がある。武具だったり食材だったり薬だったり鉱石だったり、大凡人が暮らしていくのに必要な物がじゃんじゃん稼げる。まさに国の生命線と言える場所だ。


 でも私は実際にダンジョンに潜ったことも無ければ、外で魔物を倒したこともない、名ばかりの冒険者なんだけど。つまり冒険者の下っ端の中でも雑用くらいしか任されない、残念な立ち位置と言える。


 その理由は妖精が居ないからだ。妖精はどんな人間でも持っている神の加護みたいなもので、早ければ赤ん坊の内についてくれるらしい。


 妖精を連れている奴は魔法を使ったり、怪力を発揮したり、体の不調を齎す魔素を防いだりと様々な面で恩恵が受けられるらしい。魔素ってのは魔物を構成している霧のような黒いモヤの集まりなんだけど、魔物にトドメを刺した奴に吸収される。


 通常は体に入った直後に妖精がすぐ無害にしてくれるらしいんだが、私のような妖精なしは魔物を一体倒すと熱を出して吐き気に襲われ戦闘不能になる。つまり私はとんだ足手まといってことだね。やってられない。


 一応王都には売春やらなんやら、妖精を持ってない私のような女にも出来る仕事があるが、私はそんなのはゴメンだね。私は強い冒険者になって、死んだ父さんや、まだ生きてる母さんにでっかくなったって報告しにいくんだ。


 だが現実はそう甘くない。能力的に劣る奴に回す仕事はない。あっても清掃などの雑用や、頭数だけあればいい集団任務とか、駆け出しくらいしかやらないショボい仕事ばかり。それでもへこたれずに毎日剣を振り、体を鍛えてどうにか妖精抜きでゴブリン一体に勝てるくらいの実力は身についた。


 そんな私でも組んでくれる相棒が居るだけまだマシだった。それがこいつ、ティナだ。青髪で垂れ目、いかにも無害のように見える女がゆったりとした黒いローブを羽織って、椅子に座ってエールを飲んでいる。私は金が無いからこいつが魔法で出した水だっていうのに・・・


「ねーなんか他に面白い依頼なかったのー?こんな田舎じゃ暇すぎて干からびちゃうわよー」


 私達は、商人の護衛依頼で王都から遠く離れたレダ村に来ている。魔法が使えるティナなら一人で十分なのだが、私達は二人でも実質的な戦力は一人分。更に値段も一人分みたいなものなので、依頼人も特に文句を言わずこうして引っ付いてこれた。


 むしろ一人分の依頼料で二人雇えたから儲かったなどと言う始末だ。今は商人が村の商店へ品を卸した後に、王都で売る果実や薬草、肉、飼葉などを買い付けているので一日待機時間を貰い、宿屋の窓際で昼飯を食べている。


「私達が受けられる依頼って言ったら、田舎への護衛か野犬の討伐くらいだからしょうがねえだろ」


「アンタにも早く妖精がついてくれればねぇ」


 ティナは幼馴染で、村に生まれた時から親同士のつながりでずっと一緒に遊んでて、そのまま冒険者になったくらいの腐れ縁だ。男勝りな赤髪の私と、青髪で優しそうな見た目のティナ。二人は対象的だがなぜか私達は気が合った。こんな私とも今だに一緒に居てくれるのだからいつも感謝はしている。だがその一言は余計だ。妖精がつくかどうかは運任せでこればっかりはしょうがない。


「お前みたいにちっさい内に水の妖精がついてくれた奴には分からんだろうがな、これは助走って奴だよ。今まで苦労してた分すごい奴がついてくれるって私には分かるんだ」

「どう考えても早めのほうが良かったでしょ。いざついたのが普通の妖精だったらガッカリするから期待するのはよしなさいよ」


「期待くらいしてもいいだろ。今まで出来なかった、憧れてたモンが手に入るんだぜ?ゼロからプラスになるんだ。むしろ普通の妖精でも文句は言わないよ私は」


「それならいいけどねぇ⋯⋯ん?何アレ、空が光ってない?それになんだか近づいてきてるような」


「もう酔っ払ったのか?まだ昼だし程々にってホントに光ってるな。なんだありゃ?オイオイあっちは森の方向じゃねえか!?落ちるぞ!」


 慌てて表に出た私達は光を目で追っていたが、森の木々に阻まれて途中で見えなくなった。その瞬間とてつもない轟音と共に地が揺れた。村人達もその音に驚いて表に出てくるが、誰もが原因に思い当たらず困惑しているようだった。


「私ちょっと見てくるわ!ティナはここで待機しといてくれ!」


「ちょっと!アンタじゃ戦力にならないでしょ!?一人で行くなんて無茶よ!」


「斥候の真似事くらい出来るさ!大体、お前も行ったら誰がこの村を守るんだよ!?」


 私はそう言って腰に愛用の鉄剣を佩いて駆け出した。門番のおっちゃんにギルドプレートを見せながら、そのまま森へ直進していく。幸いあの音と衝撃で猪やゴブリンなどの厄介な奴らは逃げていったようだ。


 何が飛び出してきても良いように警戒しながら進んで行くと、そこはとてつもない破壊の跡だった。なにかが凄い勢いで叩きつけられたような有り様で、時間が経ってもまだ土埃が舞っている。


「ここに落ちたのか。あの光る物は」


 遠くから気取られないように観察していると、ふと耳元に子どもの泣き声が聞こえてきた。まさか巻き込まれたのか!泣くってことは致命傷ではないのか!?どこに居る!?


 居た!あんなに遠いところに倒れている!爆風で吹き飛ばされたのか?とりあえず手当をしないと!急いで駆け寄って土と葉っぱまみれになった女の子の手を取って話しかける。


「おい!大丈夫か!怪我は!」


「うえぇぇ、へっ?あ、あの、あなたは?」


「いいから!あぁ足がひどいな。こんなに傷だらけで⋯骨は折れていないようだ。捻挫でもしたのか?とりあえずこれを飲んで」


 立ち上がれそうにないので、なけなしのポーションを右足に振り掛けてから残った半分を飲ませてやる。応急処置が終わると、女の子は初めて見るように繁々と瓶と足を眺めている。そして私にニパッと笑いかけながら一言。


「あ、ありがとう、ございます」


「か」


「へ?」


「かわいい」


「なんて?」

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