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「さあ、行こー!」
桜が元気よく歩きだす。
ガヤオも続いた。
城をグルッと囲む大きな堀に着く。
「ガヤオさん、泳げる?」
「え? ああ、まあ」
「アタシ、泳げないの。内緒よ」
桜が照れ笑う。
(もう詰んでるじゃん!)
結局、ガヤオが泳ぎ、桜が上に乗ることになった。
(けっこう重い!)
「やーん! ガヤオさん、しっかり泳いで! お気にの忍者服が濡れちゃう!」
「ぐがっ、ぐぼぼっ」
何とか溺れずに、石垣まで辿り着いた。
桜が石垣を登りだす。
ガヤオもスモールシールドを背にかけて、後に続いた。
中腹まで上がったところで「キャッ!」と桜が、滑り落ちてきた。
「わー!」
ガヤオの顔に桜の柔らかい尻が弾む。
「いやーっ! ガヤオさんのエッチ!」
フルスイングのビンタを食らい、ガヤオは堀の水に落ちた。
もう1度、石垣を登り、今度は2人で城内に忍び込む。
「こっちよ」
桜の先導で、廊下を進んだ。
先の角から、城兵たちが話す声が近づいてくる。
「隠れ身の術よ」
桜が壁に背を付け、懐から出した人の背丈ほどの布を両手で持ち広げ、全身を隠す。
「お、おい! 布がピンクだぞ!」
壁の色とまるで合っていない布の色に気付いたガヤオが慌てた。
「え!? 嘘! やだー!」
桜もパニクり、2人の城兵に見つかった。
「やや! 曲者め!」
腰の刀に手をかけた侍2人の頭を、ガヤオがスモールシールドで素早く叩き、気絶させる。
ガヤオと桜は天守閣に進んだ。
部屋の中央の台上に、巻物が1本置いてある。
「これだわ!」
桜が前に出た、瞬間。
床がパッカーンと開いた。
「キャー!」
「わー!」
ガヤオは落ちる桜の背を掴み、後ろに引っ張った。
しかし、その反動で、入れ替わりに自分が穴に落ちてしまう。
何とか四肢を突っ張り、穴の上にギリギリで踏ん張った。
大の字になったガヤオの背中の上を桜が走り、巻物を掴み取る。
「やったー! 巻物、いただき!」
「先に俺を助けろよ!」
巻物を手に入れた2人は来た道を戻り、スタート地点に帰ってきた。
「ガヤオ、ありがとう! これでアタシも中忍になれるよ!」
「良かったな。あと、実力は絶対に中忍レベルに達してないと思うぞ」
ガヤオの身体が半透明化し、ミョーン感覚が走る。
「お! 元の世界に戻れそうだ」
「ガヤオ、また上忍昇格試験の時に呼ぶわね」
「頼むから自力で受けろ!」
手を振るピンクくのいちが消え、ガヤオはカルナディアに戻った。
(ハッ! そうだ、ムッキータさんと戦ってる途中だった!)
しかし、彼女の姿はない。
「ムッキータさんは修行の旅に出たッスよ」
ホッとしているガヤオに、ネココが説明した。
「修行!?」
「そうッス。爆殺ムッキー拳を超える必殺技を習得して、第2回大会は必ずガヤオさんを倒すって言ってたッスよ」
「第2回大会あるの!?」
こうしてガヤオとネココは、今日もカルナディアの平和を守っている?
最後まで読んでいただき、ありがとうございます(*^^*)
大感謝でございます\(^o^)/




