【百鬼の忍】昭和東京人別帖②《第二章キャラ解説》
【第二章】憂国精鬼のラプソディ の主要登場人物紹介です。
こちらは、本編のキャラクターのバックボーンや裏話を知りたい方向けのものとなっています。
本編のネタバレもありますので、閲覧は本編読了後にどうぞ。
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◆百月 綾夏
二十一歳女性。純喫茶ピオニィに勤める女性。
落ち着いたお姉さん店員で、ピオニィに勤める期間も長い看板娘。
正体は「鬼」の一種「精鬼」で、食人衝動や残虐性は全くない。
生家の百月家は、戦火の中で焼け落ち、長らく天涯孤独だった。
紆余曲折あり朱弘と打ち解けるが、本人は恋愛感情はないと断じている。
実は彼女目当ての男性客も多く、ピオニィの売り上げに貢献している。
朱弘が来るのは人の少ない時間だが、時々親しげな姿を見られピリつく。
剋因沌法「標」
:「魂の劣化と再生」で、強制的に巫力を「刻む」ことが出来る。
:「再生」では、浄忍のポテンシャルを最大限まで引き出すことができる。
:「劣化」では、敵の繰り出すあらゆる遁法&沌法を無効化できる。
:小規模なら壊れたものを補修したり、記憶喪失させたりもできる。
:何でもありだが、鍛錬は積んでおらず、本人はそこまで強くない。
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◆鉾田 賢作
四十歳男性。純喫茶ピオニィの店長。
穏やかだが、身長190㎝の熊のような体格をした屈強な男性。
美女給仕の多いピオニィで、狼藉を働く男が現れない最大の理由。
その正体は綾夏と同じ「精鬼」だが、言うタイミングを逃していた。
百月家の庇護下で暮らし、カフェーの小間使い・用心棒として働く。
給仕の「シズちゃん」と想い合うが、出征中に空襲で死別。
満州に派遣されていたが、戦中の話はあまりしたがらない。
復員後は帰る場所もなく、長らく日雇労働者として暮らしていた。
その後、旧カフェーのオーナーと再会し、仕事を手伝い信頼を得る。
調理技術や経理能力から、純喫茶の雇われ店長を任される。
戦前はザ・硬派といったタフガイで、結構モテたが全て断っていた。
戦後は、シズちゃんを失った寂しさから、女好きな一面も出るように。
(精鬼の性質上、性欲はあまり強くなく、おしゃべり好き程度のもの)
綾夏をスカウトした後、百月の息女と知った時は大分気まずかった。
そろそろ「お嬢様」呼びに直したいが、タイミングを逃したまま。
なんとも間の悪い男である。
剋因沌法「貫」
:打撃衝撃について、物体を貫通した後ろに伝えることが出来る。
:防御無効技で、その打撃面積は自由に調整でき、刃物も止められる。
:「空気」も貫通対象で、遠隔打撃はその応用。
:あくまで貫通可能な物は肉体による衝撃で、武器の貫通は不可。
:やろうと思えば、面積を絞り「打撃で貫通斬撃」の凶悪コンボも可。
:ただ、本人としては怨魔以外に沌法を使いたくないと思っている。
:戦中も沌法は固く封印し、人間性を守る最後の砦になっていた。
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◆鹿嶋 礼児
四十歳男性。南方で両足を失い、傷痍軍人として物乞いをしている。
髪は長らく切っておらず、真っ白な髪を腰まで伸ばしている。
ヤミ物資のヒロポンの常習者で、近隣住人からも避けられがちな存在。
かつては鉾田と同じ190㎝の巨漢で、地元では巨漢コンビの扱いだった。
硬派で理知的な鉾田に対し、鹿嶋はモテたがりの、愛国少年。
給仕の子の前でいいカッコしたくて、たびたびカフェーに来店していた。
当時やれやれ系だった鉾田との漫才的なやり取りは、名物になっていた。
シズちゃんがちょっと気になってたけど、鉾田が真剣なので道を譲る。
戦後、鉾田が軟派な一面も出てきたのは、鹿嶋を失った影響も大きい。
剋因沌法「鐸」
:物体を振動させる能力。対象は体に触れた物体。
:刃物に能力を使用すると極めて鋭い切れ味を発揮する。
:空気の共振を使った、不可視のバリアの展開も可能。
:ただし、バリアは範囲が極めて狭く、見切りが前提。
:鹿島は鉾田と違い、戦場でも沌法を使うことが多かった。
:ただ沌法では戦略的な影響を及ぼせるでもなく、些末な差だった。
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◆鳴嶋 功三
五十三歳男性。軍国主義者の老人で「将校さん」のあだ名を持つ。
1931年に実戦を経験、最終的な階級は曹長。大陸での戦闘に参加していた。
彼の経歴を話すとどうしても生々しくなってしまうので、詳細は割愛。
ただ「当時の一般的な帝国軍人」であった、とだけ。
戦前は数度、上官に連れられカフェーを訪れていたが、そこで鉾田と面識があり。
鹿嶋は常連と言えども客の側で、タイミングも合わず顔を合わせたことはない。
戦後は、焼け残りつつも閉店していたカフェーに落胆するも、鉾田と再会。
互いの生存を知ったこと、鉾田が純喫茶を開くことを知り、喜び合う。
反面で、農家の三男坊として実家にも帰れず、配偶者もない現状に鬱屈。
喫茶店店長として、戦後に順応し周囲に慕われる鉾田に、徐々に嫉妬心も募る。
加えて、自衛隊再編時に声もかからなかったことで、自意識がこじれてしまう。
以降は、金鵄勲章を誇示し、怒声をふりまく迷惑老人の道を進んでいく。
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◆来馬 千代(=弾丸婆)(=ターボババァ)
駄菓子屋のおばあちゃんだが、実年齢はそこまで歳は行っていない。
怨鬼は人間への擬態に優れ、資産を持つ老人を殺し、なり替わったとみられる。
駄菓子屋のおばちゃんは、実際その地域の地主が道楽でやってる店が多い。
(筆者も、実家近くのおばちゃんが地主一族で愕然とした経験がある)
車を追いかけては、屋根を引っぺがしたり窓を壊し、人を襲っていた。
効率悪すぎるが、最速の矜持と狩猟本能が抑えきれなかったのだろう。
怨災対策室も、車両事故起こされて隠蔽に苦労していてヘイトを買っていた。
在野の朱弘にも見つかったあたり、ちょっと調子に乗って遊び過ぎていた。
各所に睨まれていたこの怨鬼は、まあどうせすぐ狩られていただろう……。
剋因沌法「閃」
:自身の肉体を高速移動させる沌法。シンプルだが強い。
:だが、シンプル過ぎて、来ることがわかってると対策されやすい。
:突発奇襲が最適な使い方だが、ターボババァは走るのが好きすぎた。
:ちなみに、彼女は駄菓子屋で集会を開き怨鬼同士で沌法の共有をしていた。
:怨鬼同士で速さ自慢をしており、珍しく体系化した沌法で継承者も多い。
:マッハババァとか、ジェットババァとか、光速ババァとか……。
:きっと現代でも、高速老婆の怨鬼は存在することだろう……。
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