表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
覇道の果てに、王座は泣いた  作者: 望蒼
序章 ──群雲の時代
16/65

第十六話 神代院攻略 霧中の戦略 第一部

白嶺海国との戦が終わったのは、十日前のことだった。


葛城軍は小規模ながら戦果を挙げ、港湾の一角を焼き払った。

だが白嶺軍もまた、沈着冷静な撤退と制海権の一部確保により、痛み分けの形で戦線は膠着。


戦が終わったと誰も言わなかった。


──始まりの、火種にすぎぬと。そして、その火は思わぬ方向へ飛び火した。


神代院かみしろいん──。


白嶺しらねと葛城の争いを「神の怒り」と説き、教主・天瀬あませの命により“布教文”が各地にばら撒かれた。


葛城領周辺では、村々に“神罰”の名目で神代院の密偵が潜入し、信仰を拒んだ民“異端”として消し去った。


「これは、宣戦布告だな」


斎はただ静かに地図を見つめた。

その目に宿るのは、怒りではなく──冷たい確信。


「“正しさ”の皮をかぶり、民を狩る者こそ……最も許されぬ」


そう言った斎の声に、沙耶さや稲生いのうはわずかに目を見開いた。

やがて斎は、沙耶へ視線を向けた。


「……潜ってくれ。神代院の内側を、この目で知りたい」


沙耶は短く頷いた。返事はそれだけだった。

だが、その瞳に宿る光は、明らかに“過去”を映していた。

◆――お読みいただき、ありがとうございます。


登場人物たちの言葉や生き様に、少しでも感じるものがあれば嬉しいです。

ご感想・ご意見など、お気軽にお寄せください。


次回も、どうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ