表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

第2話「生まれ変わった世界」

もしやり直せるとしたら、あなたは何を変えますか?


これは、“すべてを失った少年”がもう一度人生をやり直し、何かを守ろうとする物語。


第2話では、彼が目を覚ました先の世界と、そこで出会った“本物の愛”を描いています。


けれど、幸せは長くは続きません。


それでも、彼がこの世界で何を選び、どう生きるか。その始まりを、ぜひ見届けてください。



目を覚ますと、天井がやけに遠く見えた。


いや、違う。自分の身体が小さくなっていた。


声も出ず、指も動かせない。けれど脳だけは冴えていた。


(まさか……生まれ変わったのか? いや、違う……これは……)


視界に入った女性の顔。涙を浮かべながらも微笑むその人は、かつての“母”だった。


けれど、あの頃とは違う。


化粧っ気もない素朴な顔。節約を感じさせる服。手には小さな傷がいくつもあった。


横にいた父も同じだった。背広ではなく、作業服。真面目そうな目に、かすかな疲労と優しさが滲んでいた。


「……隼人。無事でよかったな」


「私たちのところに来てくれて、ありがとう」


そう言ってくれた二人は、かつての冷たく誇り高かった“親”とは別人のようだった。


名前も顔も同じ。でも――この世界の二人は、あまりに優しかった。



時間が経ち、身体が少しずつ動かせるようになる頃。


俺はようやく理解した。


ここは、現実とよく似ているけど、まったく違う世界。


この世界には転生にありがちな異能もモンスターも存在しない。

けれど、格差はより極端に広がっていた。


親の学歴、出生地、資産、血筋。そういったものが、あからさまに“序列”を決める社会。


俺の家は、最底辺だった。


家は古い団地。壁は薄く、隣の声が聞こえる。冷蔵庫の中身も常にギリギリだった。


けれど、家の中はぬくもりに満ちていた。


父は、どんなに疲れていても必ず「おかえり」と言ってくれた。


母は、どんなにお金がなくても誕生日には手作りのケーキを用意してくれた。


ある夜、母がぽつりと呟いた。


「ごめんね、隼人……何もしてあげられなくて。でも、あなたの笑顔を守るためなら、私は何だってする」


(――この人たちは、本物だ)


過去の人生。裏切り、嘘、建前ばかりだった俺の周囲とは違う。


この家の中にだけ、本物の愛があった。


俺は、だんだんと復讐を忘れかけていた。


“今”の生活が、かけがえのないものに思えていた。



だけど――その幸せは、ある日突然、終わった。


7歳の冬のある日。


父が会社の先輩に「儲け話がある」と誘われ、怪しい連帯保証人の契約にサインさせられた。


数日後、借金取りが家に現れ、俺を連れていこうとした。


「やめろッ……! 隼人に手を出すな!!」


父は叫びながら俺を庇い、借金取りが手に持ってた刃を受けた。


母の悲鳴と、父の温かい手の感触と、冷たい血の匂い。


あの光景は、脳裏に焼き付いて離れない。


借金取りはその場から逃げたが、後日捕まり、借金も無効になった。


けれど――父はもう帰ってこなかった。


母は、俺を抱きしめながら呟いた。


「隼人……もう、誰も簡単に信じたらダメ。父さんは優しすぎた。でもあなたには、生きて、強くなってほしい」


俺は、母の震える背中に手を伸ばしながら、心に誓った。


(俺が間違っていた。信じることは美しい。けど、それだけじゃ……守れない)


優しさを守るには、力がいる。知識がいる。戦略がいる。


信じるべき人を見極める眼が必要だ。


過去の俺はそれを持たなかった。


――だから騙され、裏切られ、すべてを失った。


もう二度と、同じ失敗は繰り返さない。


復讐だけが目的じゃない。


この世界で、俺は“守れる人間”になる。


父が最期に見せてくれた背中を、俺は決して忘れない。


読んでくださってありがとうございます。


第2話は、転生した隼人が「優しさに触れる」大切な回でした。

彼がなぜ戦うのか。何を守りたいのか。

その原点がここにあります。


次回以降、彼の生き方が少しずつ形になっていきます。

どんな結末に向かっていくのか、ぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。


感想やご意見など、いただけると励みになります!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ