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第1話落とされた天才

全てを持っていた男が、全てを奪われる」


この物語は、人生の頂点から一転して“底辺”に堕とされた元天才が、もう一度すべてを奪い返すために這い上がっていく下剋上ストーリーです。


1話では、主人公・神山隼人が“なぜ堕ちたのか”、その全てが描かれます。

彼の人生を壊したのは、かつての親友・伊織。そしてそこから始まる、復讐と再生の物語。

俺は「天才」って言葉が嫌いだ。

その言葉で、努力した人間の全てを雑にまとめてしまうこの社会が――心底ムカつく。


けど、俺はかつて“そう呼ばれる側”だった。


神山隼人、37歳。今はただの無職だが――

かつては、みんなのヒーローだった。


中学、高校。

ちょっと教科書を読めば、学年1位。

運動も喧嘩も、努力した記憶すらない。

ただ「やってみたら」勝てた。


教師は「君は本当に素晴らしい」と笑い、

クラスメイトは「マジで憧れる」と慕ってくれた。

後輩にはモテたし、男子には頼られた。

――それでも、俺は調子に乗らなかった。


俺は、どこかで“それが運”だと自覚していた。

だからこそ、困っている奴には手を差し伸べた。

いじめられっ子には声をかけ、

部活では後輩にコツを教え、

陰で泣く女子には黙ってティッシュを差し出した。


そう、俺は“いい奴”だった。

少なくとも、そう在ろうとした。


そんな俺の隣にいつもいたのが――伊織だった。


伊織は、地味で不器用で努力家。

でも、ずっと俺のそばにいた。

どんなに褒められても、伊織だけは冷静だった。


「隼人、お前って“全部”持ってるよな」

「……でも、それ全部、お前のもんである保証なんてどこにあるんだ?」


その時の言葉が、ずっと心に残ってた。

でも、当時の俺はただ笑って返した。


「バカ言え。俺は誰よりもお前を信じてる」


――それが、全ての間違いだった。


高校卒業後、俺は親の会社を継がず、伊織と組んで起業した。

俺の顔とコネ。伊織の人脈と営業。

最初は本当に順調だった。


……けど、違和感は少しずつ忍び寄っていた。


なぜか、俺に不穏な噂が立ち始めた。


「裏で女を風俗に流して金にしてるらしい」

「学生時代から人を利用してきたらしい」

「自分の成功は全部、伊織のものを盗んだんだってよ」


最初は冗談かと思ってた。

でも、それは伊織が“流した”ものだった。


裏で俺の名前で契約を偽造し、

勝手にLINEを使って女たちを操り、

俺の過去の写真を使って「証拠」として拡散した。


女たちは騙され、金は消え、

気づけば俺は「悪魔」扱いされていた。


会社でも仲間が去り、

SNSは炎上、家にはヤクザが来た。


「お前が風俗に売った女から金を取り立ててこいって、伊織さんに頼まれたんだよ」

そう言ってきたヤクザの目は、本気だった。


俺は、全てを奪われた。


伊織に問いただそうと電話したら、最後にこんなLINEが来た。


《“英雄が地に堕ちる姿”って、最高だと思わない?》


意味が分からなかった。

でも、橋の上で一人泣いていた俺の前に、伊織は現れた。


「やっと壊れたか、隼人」

「全部、お前が持ってて面白くなかったんだよ」

「お前から全部奪って、俺の手で“創り直す”。そのほうが面白いと思わない?」


伊織は全て演技してた頭も人脈もこいつは俺より何倍も持ってた。


「もし生まれ変わったらさ、今度は底辺から始めるってのはどう?」


そう言った伊織の目は、悪魔そのものだった。


――その瞬間、世界が歪んだ。


気づいた時、俺は赤ん坊になっていた。

だが、顔と名前はそのまま。

ただし、力も金も家も失っていた。



俺は目の前の非現実な状況を目の当たりにして言葉を失うと同時に全てを失った。

だが、心に一つだけ残っていた。


「――次は、全部取り返す。俺の人生は、俺のもんだ」


神山隼人、ここに生まれ直した。

そして今度こそ、俺は――


“全て”を壊してでも、笑って終わってやる。

ここまで読んでくれてありがとう。

この物語は「全てを失った元天才が、底辺から這い上がる物語」です。


第1話では、順風満帆だった人生が裏切りによって崩壊するところまでを描きました。

「信じていた親友にすべてを奪われる」なんて話は、現実にはそうそう起きないかもしれません。けれど、誰かの悪意によって人生が一変する――そんな理不尽さは、決してフィクションの中だけの話ではないとも思っています。


この先、隼人がどんな人生を歩むのか。

そして、“もう一度与えられた人生”を、彼がどう生き抜くのか。


第2話では、生まれ変わった世界と、新たな家族との出会いが描かれます。

過去とは真逆の“温もり”の中で、隼人は何を思い、どう変わっていくのか――


ぜひ、続きを読んでいただけたら嬉しいです。


次回、「生まれ変わった世界」でお会いしましょう。


――天野隼人


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