番外編①
ユラとアンジェが庶民暮らしを満喫している頃、城の執務室では国王に報告がされていた。
「……という事でアンジェ様は不憫無く周囲にも恵まれて快適に過ごされております」
「そうか……」
国王は報告書を見ながら呟いた。
(活き活きとしているじゃないか、少なくとも城では見た事が無いな)
アンジェの笑顔の写真を見ながら国王はそんな事を思った。
最初、アンジェから公爵家への告発を聞いた時は驚いた。
彼女は先代国王の妹の血を継いでいる、謂わば準王家と言っても過言では無い。
だからこそ王太子の婚約者にしたのだ。
しかし、王妃教育の為に城を訪れるアンジェには笑顔が無かった。
無表情で王妃教育を受けるアンジェに心配があった。
それと無しに王太子にアンジェとの関係を聞いてみたが問題無いと言っていた、しかし具体的な話題が出てこない。
そこで王太子付きのメイドに聞いてみたら王太子はアンジェに興味が無くプレゼントもした事が無い、と知り驚いた。
婚約したのにプレゼントもした事がない、とは何事か。
国王は王太子を呼び出し叱責したが王太子は自分がなんで怒られているのか理解していなかった。
王太子は例えコミュニケーションを取っていなくても結婚するんだし問題無い、と思っていたのだ。
そんな事を言った王太子に国王は内心呆れていた。
いくら婚約していてもコミュニケーションを取りお互いを理解し愛情を育てるのが当たり前である。
最初から素っ気ない態度をとっていれば愛情なんて生まれる訳が無い。
これは一回考え直した方が良いんじゃないか、と思っていた矢先にアンジェから父親が浮気していて母親が亡くなったと同時に愛人と再婚しようとしている、と告発を受けた。
そこでアンジェが父親からも愛情を貰っていない事を初めて知った。
勿論、他家の事に介入する訳にはいかないがアンジェは準王族。
しかも浮気は法律で厳しく罰する事になっている。
「下手したら公爵家が無くなる事になるがそれでも良いか?」
「はい、私はお母様を裏切っていたお父様を許す事ができません、厳罰をお願いします」
「そうなると王太子との婚約も見直す事になるのだが」
「その件ですが私、貴族籍を返上して庶民になろうと思っております。ですので解消をお願いいたします」
「そうか……」
国王はアンジェの意見を尊重する事にした。
王太子は婚約解消に関して渋っていたが国王と王妃からのお説教で解消に応じた。
更に王太子の籍を一度剥奪、辺境で鍛えて貰う事にした。
王太子、いや第一王子は嫌がっていたがほぼ強制的に馬車に放り込み辺境に送られた。
少しは人の心がわかる様になればもう一度王太子にさせる事も考えている。
(儂もまだまだだな、良かれと思った事が裏目に出ているんだからな)
人は完璧ではない、そんな事を国王は今回の件で学んだ。




