王族の仕事はブラックらしい
キンコンカンコン、とお昼のチャイムが鳴った。
ん〜、と私は背伸びをして用意しておいたお弁当をデスクに置いた。
「はい、これアンジェさんの分ね」
「え、私の分も用意してくたのですか?」
「うん、家に帰ったら料理も教えるから」
「ありがとうございます、というか休憩時間があるんですね」
「そりゃあるよ、規則で決まってるからね」
「王宮でも王妃教育の一環で書類整理とか作成とかしていましたけど殆ど休憩時間なんてありませんでしたよ」
「え、ちょっと待って、朝から働いていた、て事?」
「えぇ、毎日ではありませんが部屋に籠もってやっていました」
「休憩時間とかは? 食事は取っていたでしょ?」
「殆ど無かったですね、食事も仕事しながら食べていました」
……いや、それおかしくない?
いくら王妃教育だから、てまだ婚約状態で正式に王族になってないのにそれだけ仕事させるのはおかしいでしょ?
王族とか大臣とか仕事してんの?
幸せそうにお弁当を食べるアンジェ様を見て私はちょっと同情してしまった。
(私達が思っているより貴族の生活って大変なんだなぁ)
改めてお母さんに着いていかなくて良かった、と思う。
いきなりそんな世界に放り込まれたらおかしくなる。
昼休憩後も仕事をして夕方になり終業時間になりアンジェと一緒に自宅に帰る途中で商店に寄り晩のおかずを購入。
「アンジェ様は苦手な食べ物とかある?」
「特にはありませんけど……、庶民の皆さんはこういう物を食べているんですね」
興味津々におかずを見ている。
お弁当も残さず食べていたしもしかしたら味覚とかは私達と変わらないかも。