ユラのお仕事、アンジェの初出勤
「……という訳で今日から一緒に働く事になったアンジェと言います、よろしくお願いします」
アンジェ様がペコリと頭を下げるとパチパチと拍手があがった。
アンジェは私のバイト先で一緒に働く事になった。
上司に相談したら大歓迎だった。
因みに私のバイト先というのは冒険者ギルド、仕事は事務員だ。
受付嬢だったら資格とか色々難しいんだけど基本冒険者とは絡まない裏方なので大丈夫かな、と。
それに多分、アンジェ様に向いている、と思う。
「それじゃあアンジェはユラについて研修をしてくれ」
「わかりました」
「アンジェさん、こちらに来て」
私は自分のデスクの隣の空いているデスクにアンジェ様を座らせた。
「私、ギルドなんて初めて来たわ」
「貴族は滅多に来ないからね、依頼するにも使いの人が来るから」
「ギルドて国の施設でしょ、特別な資格とか必要じゃないの?」
「普通の事務仕事だったら資格は必要無いよ、高難度の依頼が来たら資格は必要だけど」
そんな事を話しながら私はデスクに置いてある書類を1枚取った。
「これが依頼書なんだけど、私達の仕事は依頼書に不備が無いかを確認する事がメインになるの」
「不備?」
「冒険者のランクに寄って受けれる依頼があるの、それは法律で決まってるから、適切かどうかをチェックするの、それから依頼に対して報酬が正しいかもチェックする、違反していたら依頼は破棄されるの」
この国では冒険者達も冒険者ギルドも法律で守られている。
昔はかなり緩かったしギルドごとにルールが違っていたんだけど現在は統一されている。
というのも、ランク違いの依頼を受けて怪我したり命を落としたりする者が多かったからだ。
これを重く見た当時の王族が働きかけて『ギルド法』、『冒険者保護法』を作った。
まぁ、最初は冒険者達からは歓迎されなかったらしいけど今ではみんな徹底されている。
「法律があるのは知っていましたけどこうして実際に接してみないとわかりませんね」
「そういう事、でチェックがクリア出来たら掲示板に貼り出す事が出来る」
依頼書に承認済みのハンコを押して箱に入れる。
これが事務員の仕事である。