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好きって言ってくれる人が好き♡ 〜夫には言えない妻の秘密〜

作者: ケイティBr

「ねぇ、好きって言ってよ」

「は? 言わなくても分かるだろ?」


 分かんないのっ。昔は、言われなくても分かってた気がするんだけれど。最近は、あなたの事が分からない。いや、分からないのはお互いかもしれない。


――――――――――――――――――――


 私は、カオル。小学校からの付き合いで、高校から付き合い始めた。幼馴染である隆二リュウジ君と結婚してこの間、子供が産まれた28歳で1児の母。


 彼は、私たちの子供が産まれた後、変わってしまった。


 子守をお願いしても、あまり積極的では無いし


『言葉が通じない相手の面倒を見るのは苦手だ』


 なんて、言い出した。前から理屈っぽくて、頑固で、すぐに怒るし。よく喧嘩はするけれど。


 それでも、私の事は女性として見てくれて、愛してくれた………筈だったんだけれど。


 どうやら、最近の彼は、わたしの事を女性として見てくれなくなったらしい。


 まぁ、出産する前に過食症気味になったり、吹き出物が出たりと、見た目が結構変わってしまって居たので、私が変わってしまったのが悪いのかも? と思い育児の合間に、出産で崩れてしまった体を綺麗にするためにスキンケヤや、ダイエットしたりしつつ、凄い頑張ってたんだ。だけれど、彼は私を見てくれない。


 どうやら、夫は最近ハマっている、ゲームだかなんだかのアプリを見ていてずっとニヤニヤしている。私の事はあまり見てくれないのに。


 なんで、こんな風になってしまったんだろう? 結婚して子供が産まれるって、もっと幸せな事だと思ってた。


 なんか、今は『お手伝いさんと主人』と言う感じだ。それに、子供と川の字で寝ている時に、子供が彼の顔を触った時に


「止めてくれっ! 顔を触るなっ!」


 と、叫んだ時は、本当にびっくりした。私は今まで知らなかったけれど、彼は顔を触られるのが嫌だったらしい。


 幼馴染なのに知らなかった事と、子供がやる事なんだから、そんな風に言わなくてもいいじゃない。そう思った。


 それに、私たちの子供であるりゅーくんが大きくなって来て、夜泣きも治まって来たから、そろそろまた彼とセックスがしたい。最近、心がすれ違ってる気がするから、体の繋がりを久々に持って、また前の様に仲良く出来ないかな。と考えている。


 これは、他のママ友にも聞いたのだけれど、男性は適度に発散出来ないと、イライラしたり、その、抜く必要があるから他の女性や動画やらを見て、致してしまうらしい。そう言えば、私と付き合う前はどうしてたんだろう? そう思って訪ねてみたんだけれど。


「なんで。そんな事を言わないとならないんだ。嫌だよ。それとも、カオルも教えてくれるのか? ………いや、良い。聞きたくない」


「……ねぇ、今も私の事好き?」


「は? 言わなくても分かるだろ? 結婚したんだから」


 そうは言うけれど、そうは思えない。なんか最近、すぐ喧嘩腰になる様に思う。だけれど、スマフォを見ている時はニヤニヤしている。まるで私よりもスマフォの方が好きな様にみえる。


 そして、私がスマフォに対して嫉妬心を抱いていたある日。見てしまった。


アイちゃん:この間はありがとう♪ また来てね♡


 と言うメッセージが通知で表示されていた事に。

は? 浮気? いや『また来てね♡』と言う事は飲み屋か何か? それとも風俗?


 なにがなんだか分からない。妻ならここに居るのに。どうして他の人が欲しくなるの? 男性ってそういうも物なの? 子供が出来てから今まで、シてあげられなかった私が悪いの?


 問いただしてやりたい。でも、何かの間違いかもしれない。そう思って様子を見る事にした。


 ある夜の日、寝静まっている時に、彼のスマフォを充電器から外して、彼が熟睡しているのを良い事に指を使って、指紋認証でロックを解除、そしてスマフォを開いた。


 そこで見た物は、彼が私以外の女に『愛している。好きだよ』と送っているメッセージだった。それは、所謂『推し活』と言うのだろうか、地下アイドルを応援している内容だった。浮気や不倫ではないかも知れないけれど、夫は私には『好き』と言わないのに他の女には言うのか、子供を産んだ女はもう用済みなのか。


 そう思うと寂しさと、やるせなさ、昔の彼との思い出が気持ち悪さと共に蘇って、吐き気がしてきた。


 そして気づいた。私って誰かに褒められたり、必要とされる時にちゃんと言葉にされる方が好きだったんだって。夫は、言葉で好意を伝えるのは、苦手だったけれど、体では『愛情』を示してくれていた気がする。でも、今はそれすらない。


 私は、愛に飢えてしまっていた。だから、たまたま見た広告の内容に惹かれてしまった。


 どうやら『女性向け風俗 』と言う、性的なマッサージと愛撫を受けられるサービスがあって、ここで恋人プレイが出来るらしい。


 どうやら、挿入、所謂本番行為は無いようなので、それなら一度やって見てもいいかな? と思って体験してみる事にした。


 どうやら『女性向け風俗 』と言う、性的なマッサージと愛撫を受けられるサービスがあって、ここで恋人プレイが出来るらしい。


――――――――――――――――――――


 初めての『女性向け風俗 』を体験する事を決めた私は準備をする事にした。

せっかくの初体験を適当な格好や気持ちで受けたくない。どうせなら、めいいっぱい楽しんでやろう。夫だって『推し活』を楽しんでるんだ。私だって疑似恋愛くらいは良い筈。


 なので、それから私はよりダイエットやスキンケアに気を使った。出来れば結婚前の状態に戻したかったけれど、大変だし。そんなに待っていられない。


 なので、期間を1ヶ月後と決めて、その日は『女友達と食事に行くから遅くなる』と夫に伝えて子供は、私の両親に預ける事にした。夫もちょうどその時に行きたい場所がある様で『ちょうど良かった。俺も行きたい所あってさ。そっちも楽しんで来てよ』


 と言っていた。こちらの気も知らないで呑気な奴だ。そう思いつつも『ありがとう。嬉しいっ』と自分史上最高の笑顔で言ってやった。


 そうしたら夫は何かを感じたようで、まるで高校生の時に私が告白した時の様な反応をしていた。なんか、ちょっと気分がスッキリしたが、その時には私の心は決まってしまった。


 そうして『女性向け風俗 』を頼む事にした当時、私は初めて、想い人に告白する様な。そんな感覚を覚えていた。ウェブサイトの電話番号を押してそこからコールするのがとても、とても緊張する。これを押してしまったら後戻りは出来ないんだ。そう思うと、指が震える。


 トゥルルルルルウ


 ……押してしまった……


「はい。カイカン男子です」


「あ、あの。私カオルって言いますっ」


「はい。カオル様ですね。当店のご利用は初めてですか?」


 本名を名乗ってしまった。でも、恋人プレイとは言え、他の女の名前でなんて呼ばれたくない。電話する前は旧姓にしようかとも迷ったけれど。つい下の名前を名乗ってしまった。


「は、初めてです………えっと、レイジさんってご都合いかがでしょうか?」


「レイジですね――彼なら空いてますよ。何時頃が宜しいでしょうか?」


「それじゃ、18時からデート付きコースでお願いします」


「承知しました。場所はどちらでしょう?」


「S駅周辺のレストランでお願いします。場所はXXXです」


「はい。ホテルはいかがしましょう? 事前に予約しますか?」


「はい。お願いします。でも場所が分かりません」


「場所は、当店提携の所をご紹介します。ご休憩は5000円になりますね。よろしければ、待ち合わせの1時間後にしておきます。もし、時間が変更になる場合は、レイジにお伝えください」


 緊張で、心臓が高鳴り。少し言葉が出づらい、


「――わかりました。それで問題ありません」


「承知しました。本日は当店をご利用いただき有難うございます。18時の待ち合わせ30分前にもう一度お電話頂けますと助かります」


「は、はい。わかりました。ありがとうございます」


「それでは、失礼いたします。本日はお楽しみくださいませ」


 そんなやりとりをして、電話を切った。なんだか頭がフワフワする。

 

 自分が自分でないかのようだ。今の時間はお昼を過ぎたあたりだから、これから準備して子供を親に預けないと。


 そう思って、鏡の前でお化粧をして準備をした。いつもよりも少し気合い入れた感じになってしまったかもしれない。そして夫に声をかけた。


「なんか、今日はいつもより気合い入ってるな」


「そうなの♪ 今日会う女友達もお洒落だから負けたくなくて♪」


「そんなもんなのか。まぁ言ってらっしゃい」


「じゃ、行きましょうね。りゅーくん」


 子供のりゅーくんを連れて、外に出た。これで最初の段階は超えた。

夫に嘘を付いて、出かけると言う行為に胸が高鳴って、ドキドキする。ちょっと顔が紅潮しているかもしれない。


 私は、両親の家に行き。子供を預けた。その際、母から『今日は随分とお洒落だね』と言われたが『うん。まぁね。稀にはね』と返した。


 その時にりゅーくんがグズりだしたけれど、母はりゅーくんが産まれたばかりの頃に手伝いに来てくれていたから、手慣れた物で、すぐにいい子になった。


 そして、今の私はS駅に居る。


 これから、まだあった事のない男性とデートしてそして、ホテルに行くんだ。

 そう思うと、足が震えて来た。本当にこんな事をして良いんだろうか?


 でも、もう予約してしまったし。キャンセルしても、一人でお洒落して食事する変な女になってしまう。もう行くしかないんだ。


 そう決心をして、お店に電話をして予定通りにお願いします。と伝えた。


 駅で待ち合わせをしてから、レストランに行く事になったので、今、待っている所なんだけれど、心が若返ったみたいに緊張する。


「こんばんは、カオルさんですか?」


 そう声をかけて来たのは、少し髪の毛を明るく染めた男性で昔、私が好きだったアイドルの面影を感じるレイジさんだった。


「こんばんは。カオルです。レイジさんですか?」


 私が返事をした事で、目の前の男性は安心した様な笑みを浮かべてくれた。


 その表情が余計に、好きだったアイドルグループで活躍していたボーカルの男性に似ていると感じた。気分が弾んで来てしまった。


「はい。レイジです。今日はよろしくお願いします。今日はとてもお綺麗ですね? もしかして僕の為ですか?」


「ちょっと気合い入れ過ぎちゃってましたか? こういうの初めてで……」


「とても、お似合いですよ。それに好きな雰囲気です」


「そ、そうですか?」


「えぇ、勿論。ここで立ち止まって居るのもなんですし。レストランへ行きましょうか?」


 そう言って、彼は手を差し出して来た。夫以外の男性と手を触れるなんて初めてで、躊躇してしまった。


「お嫌でしたら、後ほどにしますか?」


 そう彼は、言うがどこか不安そうな顔をしている。


 彼は仕事とは言え、初めての女性と向き合うのは緊張をするのかもしれない。そう思うと少し気が楽になった。


「いえ。大丈夫です」


 そう言いながら、手を差し出してしまった。彼の手の温もりがどこか心地よい。人肌ってこんなに安心するんだっけ。そう言えば、夫とは……と思ったが、今はレイジさんとデート中だった。こんな風に考えるのは失礼だと気づいた。


 レストランに向かう道中にレイジさんから


「カオルさんは、こう言った事は初めてですか?」


 

 こう問いかけられた。


「は、はい。初めてです。恥ずかしいですけれど」


「僕もですよ。いつも緊張してしまいます」


 そう言いながら、レイジさんは、少し照れたような笑顔をしている。


 私はこの様な、学生っぽい恋人気分を味わいたかったと、お店の受付でお願いしていたけれど。彼は、本心から言ってる様に感じてしまった。


 そして、予約していたレストランについたので、二人で食事をしている時にレイジさんの身の上話を聞いた。どうやら大学生で、今年上京したばかりらしい。私と何歳違いなんだろう。そう数えようとして、やめた。


「それじゃ、カオルさんはずっと東京なんですね」


「はい。そうです。修学旅行以外で、あまり他の所には行った事なくて」


「そうなんですか。行ってみたい所とかありますか?」


「この間テレビで観た。長崎のハウステンボスとか行ってみたいかも。でも遠くて」


「いいですね。僕、九州出身ですが、いい所ですよ。物価も安いですし。是非行ってみてください」


 そうレイジさんは、笑顔で言ってくれるけれど。今の私は独り身ではない。


「で、でも私には、おっ……」


 (しー)そう言いつつ、彼は人差し指を立てた。

「今日は僕だけをみて欲しいな? 折角、今日出会えたんですからね♪」


「そ、そうでした。すみません、なんか……」


「大丈夫です。それより食べましょう?」


 食事の手が止まってしまっていたので、再開する。これからの事を考えると緊張するので、久々にワインを飲んだ。レイジさんにも勧めたけれど『まだ未成年なので』と断られた。そう言えば、そうだった。酔いが回って来たのか、なんだか良く分からなくなってきた。


「レイジさん。私の事どう思いますか?」


「カオルさんはとてもお綺麗ですよ。僕なら放っておきません」


「本当に?」


「本当ですよ。今、一緒にいるじゃないですか」


「でも……最近、一緒に居ても、分からないの」


「――カオルさんは愛されたいんですね。だったら、今日は僕を愛してくれませんか?」


「え?」


「『人は愛されると、愛し返したくなるんですよ』僕はカオルさんに愛されたい。どうでしょう?」


「きょ、今日だけなら」


「えぇ。今日だけです………好きですよカオルさん」


「わ、私も…………さんが好きです」


「そうそうその調子です♪ 練習してきましょう♪」


 なんだか、こうやって会話していると。彼の方が年上みたいだ。少なくとも恋愛面では経験豊富なのかもしれない。私と夫は、互いに他人を経験しないまま結婚してしまったのだから。


 食事を終えて、ホテルに来てしまった。休憩と表示されている傍に時間と金額が書かれている看板があって、それが妙に艶かしい。どうしてもその後の行為を想像してしまう。


 今回は、挿入、いわゆる本番行為が無いとは言え、これから夫以外の人とそういう事をしてしまうんだ。と思うと身がすくんでしまうと、隣に居るレイジさんが暖かく手を握り返してくれた。


「大丈夫ですよ。心配しないで。カオルさんの嫌がる事はしません」


「は、はい……でも、そもそもラブホテルが初めてで………」


「そうなんですか。カオルさんの初めてを貰えるなんて光栄です」


「そんな大層な物じゃ……もうおばさんですし」


「そんな事ありませんよ。とても魅力的な人です」


 そう言いつつ、レイジさんは私の顔をしっかりと見つめてくれた。


 お酒の勢いも合ってか『今日は、いや"今だけ"はこの人の恋人になろう』そう思ってしまった。


「そんな事ありませんよ。とても魅力的な人です」


 そう言いつつ、レイジさんは私の顔をしっかりと見つめてくれた。

お酒の勢いも合ってか『今日は、いや"今だけ"はこの人の恋人で居よう』そう思ってしまった。


――――――――――――――――――――


 こうして私とレイジさんは、一緒にラブホテルへと入った。


 想像していたよりは綺麗な所で、少し安心した。受付は、彼が済ませてくれたので、お金の支払いを私がした。


 受付の人は何も言わないけれど。私がお金を払ったので、私が彼を買った事が伝わってしまったに違いない。途端に羞恥心を感じてしまうが、レイジさんが手を握ってくれて、少し落ち着いた。そう、今は彼が”恋人”なんだった。


 本当のカップルならどっちが払っても不思議じゃない。そう思い込もうとした。

けれど、やっぱり緊張する。そしてついに部屋の前に来たので、レイジさんが手慣れた感じで扉を開けた。"恋人"が手慣れて居ると言う事に、安心感と共に寂しさを感じる。


 そして、部屋に入り。荷物を置いた。といっても荷物はクラッチバッグ一つしかもってない。今日の午後の予定は、食事とこのホテルだけの予定だったから。


「カオルさん。申し訳ないですが、先にお代を頂けますか?」


 少し夢から覚めてしまった。


 今は”恋人”だなんて思い込もうとしたけれど、彼とはお金の関係なんでした。気分が落ち込んでしまいます。


 私は、財布からお金を取り出して、彼に渡した。


「はい。確かにあずかりました。少しお待ちくださいね」


 そうレイジさんは、言ってスマフォを取り出してから、どこかに連絡を取り出した。その行為が更に、私の気分を降下させる。だけれど仕方ない、これはそういう仕事なんだから。


「お待たせしました。すみません。僕としては、後でもいいんですけれど。先にしないとお店から連絡が来てしまうので………」


 そう言って、申し分けなさそうな顔をするレイジさん。

 

 この事については、もう考えるのは止めよう。折角ここまで来たんだから。


「いえ、大丈夫。大丈夫です」


 そう思って答えたんだけれど。やっぱり、気持ちの整理がついてなかったのか、涙声になってしまった。


「カオルさん、抱きしめていいですか?」


 私がうまく答えられず。頷くだけで居ると。彼は優しく抱きしめてくれた。


 そうすると少し心が楽になった気がした。私は、言葉でも体でも愛されたかったらしい。どうりで、今の夫とうまく行かない気がする訳だ。


「少し落ち着きました。大丈夫です」


「それじゃ、シャワーしましょうか。一緒に行きますか? それとも別にしますか?」


「えっ、えっと……」


 ど、どうしよう。どっちにしたら良いんだろう。こうなる事は分かって居た筈なのに、いざ問いかけられると困ってしまう。そんな私をレイジさんは、抱きしめながら待っていてくれた。


「僕としては、このままでも良いですけれど。どうしましょう? 先にキスをしますか?」


「え?」


 そう思って、彼の顔を見る。それに抱きしめられた感触の下半身が硬くなって居るのを感じた。どうやら私に対して、欲情してくれているらしい。それが目的ではあるんだけれど、目の前の男性から求められている事が、どこか嬉しくなった。


「そ、それじゃキスから……」


「カオルさん、いや、カオル楽にして」


「んっ♡」


 チュチュチュ


 と軽いキスをしてくれる彼。決して彼からは求めてこない。だけれど、下半身はさらに膨張していた。本当はもっと欲しいんだ。そう思うと、とても気分が高揚してきて、思わず口を少し開いてしまった。


 そうすると、彼の舌が私の唇を舐め始めた。あぁ、もっともっと絡み合いたい。そう思って、私から舌を差し出してしまった。


 それから、しばらく濃厚なキスを楽しんだ後、私たちはシャワー室に向かった。


 私の下着姿を見た彼からこう言われた。


「カオルさんとても綺麗ですよ。今すぐ食べたくなるくらいに」


「そ、そう? ちょっとお肉付いてない?」


「ちょうど良いですよ。とても好みです。このお尻とか」


 そう言いつつ、私のお尻を撫で始めた彼。最近なんだか大きくなってしまったと感じて居たお尻だけれど。彼が好きと言うなら。ちょうど良いのかもしれない。


「ねぇ、もう一回キスして」


「えぇ、もちろん」


 そう言いながら、レイジさんは服を全て脱いだ。ほどよく鍛えられた体に男性を感じてしまう。それに、下半身の彼もとても元気だ。こんなに興奮してくれるんだ。と感じるとともに、自分に自信が持てて来た。


「私のこと好き?」


「好きだよ。カオル」


「私も好き。レイジの事好きっ」


「それじゃ、お揃いだね♪」


「うん!」


 そして私達は、シャワーを浴びた。男の人に体を洗って貰うなんて初めてで、とても気持ち良かった。


 それに彼が、乳房や下の方を洗う手つきがとても丁寧で気遣いのある姿に愛おしさを感じてしまった。言葉でも体でも"愛"を感じあえるのが、こんなに素晴らしい事だった。と彼は思い出させてくれた。


 こんな時間がずっと続けばいいのに。そう思ってしまった。



 ――――――でも、その時間も、もう終わってしまう。


 私と、レイジさんはホテルで時間内、愛を囁きあってそして行為をした。


 勿論、最後までは致してはいない。だけれど、確かにあの時は愛し合っていた。そう感じてしまった。


「今日は、ご指名ありがとうございました。また会えますか?」


「そ、それは………」


「無理はしないでください。でも、心が辛い時は頼ってくださいね」


 そうは言うが、彼は連絡先を交換してくれない。当たり前だ、これは仕事なんだから。でも、そんな言い方は無いじゃない。逆に辛くなってしまう。だからつい口が動いてしまった。


「あ、あの……インスタとかやってる?」


「え? インスタ?」


「うん。インスタ」


「やってるけど?」


「良かった」


「???」


 インスタなら私もやってるから、ちょっと探してみようかな。と思った。別に本気で探すわけじゃないけれど。何か、そういう取っ掛かりを残して置きたかった。

なんだか、重い女みたい。それか、まだ"恋人"気分が抜けてないのかもしれない。


「それじゃ、これでお別れだね。最後にキスしていい?」


「うん」


 チュ、チュ、チュ


 軽いキスとハグをしてから、私たちは部屋を出た。そして、彼と別れてから、私は体がずっと疼いてるのを感じてしまった。


 今すぐ、今すぐ、欲しいっ。この疼きを解決したいっ。


 そう思って、スマフォを取り出して夫に電話をした。


「リュウジ君、こっちは終わったけれど。そっちはどう?」


『おう、ちょうど終わった所。いや、めっちゃ良かったわ! アイちゃんのライブ!!』


「そうなんだ? 好きなの?」


『ん? アイちゃん好きだぜ。推しなんだよ!』


「そんなに、好きなの?」


『なんだよ一体……好きだよ。――そのお前もな。今日は綺麗だったよ』


「今日だけ?」


『なんだよ。いいだろ。そんなに聞くなよ。もう切るぞ』


「ねぇ。今日、二人でデートしない? 今、そんな気分なの♪」


『は? 今から? じゃ、ファミレスかコメダくらいしかないぞ?』


「いいよ。それで♪」


『一体なんだよ。今日はそんなに良い事あったのか?』


「うん。女友達に色々、話したらスッキリした!」


『そりゃ良かったな。いつもその感じでいてくれ』


「そりゃ、リュウジ君次第だよ」


 ハァ………と、ため息をつかれて電話を切られた。


 だけれど、前よりずっと良い状態になった気がする。もともと、私からリュウジ君に告白してそれからの関係なんだから、私から"好き"って伝えないと"彼"は返してくれないんだ。


 それがすこし残念だけれど、納得してしまった。


おわり

――――――――――――――――――――

あとがき


セックスレスになった夫婦が、お互いに疑似恋愛をしてそして、また愛し合う。

ただし、その事は夫には言えない。

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