中身は大人 その名は!
ドリアンの公爵家フィクス家では代替わりをし待望の第一子が先月誕生した 名づけられた名前はベリオス。
ベリオスは産まれたばかりで既に高い魔力を持っていた。
こちらの言う事がまるで分っているような態度でこの子は神童なのでは?と両親からも期待された。
話せはしなかったが アサミの義理の娘リサーナの件もある。ベリオスもまた神に認められるであろうと公爵家では大事にされた。
しかし、ベリオスは少し いや かなりおかしい行動を取っていた。
産みの親であるシルフィーネの胸を授乳以外の時にでも執拗に舐め回し 世話係のメイドにまるで中身がおっさんのようにセクハラをし辱める。そして 浮遊魔法を習得し 好き勝手に屋敷の中を飛び回りあらゆるメイドにスキンシップをする。
極めつけには更衣室や風呂場などを覗き うへうへと笑っている。これはまるで何かがベリオスを乗っ取っているようで気味が悪いと公爵夫妻も頭を抱えた。
初めは子供のする事だとメイドや母であるシルフィーネも笑っていたが 明確に女性ばかりを狙う様子を見ると この赤子は大人の意識をもっているのではないか?とメイドたちもドリアン王都のフィクス家から領地のフィクス家へと配置換えを懇願するのがほとんどの数になっていた。
これはまずい ベリオスの悪行が漏れでもしたらと思うと どうにか我慢してくれ。給料も倍を出すからとメイド達にもお願いしたが そこでシルフィーネがもう耐えられないと部屋に閉じこもってしまった。
アサミ達ルシフェルが地球でのベビー用品で粉ミルクなどを売りに出していたので母乳の代わりにベリオスに与えたのだが 明らかに 『それはいやだ おっぱいを吸わせろ』というようにメイドの胸をタッチする。シャツのボタンを器用に外そうというのだから こいつは絶対ただの赤子ではないと当主アリオンも考えた。
そこで 神であるルシフェル公爵アサミとの面会を希望し ベリオスに一体何が憑りついているのか呪われているのではないか?と相談をする事にするのだった。
そして 今日ルシフェル城の応接室にベリオスをつれたアリオンがアサミと顔を合わせていた。
身の回りの世話をするのにもう女性は若い者は辞退をしたので60歳ほどの世話係をつけるようにすると明らかに ガッカリしたような顔をして大人しくなった。その分 セクハラや覗きが増えたのでここ1週間ほどは鍵をかけて閉じ込めていたほどだ。
メイドに押されたベビーカーに座ったままのベリオスだが ベビーカーに拘束ベルトをつけられ浮遊魔法も使う事ができなく 『納得できない!』と言った表情を見せている。
メイドには内密な話なので別室に言ってもらい この部屋にはアサミとアリオン ベリオスのみだ。
「お久しぶりです。ペンドラゴン公爵」
「そうだね。フィクス公爵も元気そうでなによりだよ。それで 大体のお話は聞いたけど その子が問題のご子息?」
「ええ 息子のベリオスなのですが この子はおかしい 異常なのです 見てもらえないでしょうか?」
『えっ?!俺そんな理由でここに呼ばれたの?』と言いたそうな顔で驚愕するベリオス
「ふ~ん 間違いなくこの子は私達の会話を理解しているね?」
「やはりですか・・・」
『おっと バレてしまったか ふ 時代は俺を放っておかないようだ』と満足気な顔をする
「フィクス公爵も私が神だというのはもう知っていると思うんだけど 私の神の仕事には転生の仕事もある 転生ってわかるかな?」
「生まれ変わり ということでしょうか?」
「そうだね 死んだ人間の魂に新しい肉体で新たなる人生を送ってもらう。普通は生まれた時に記憶はリセットされ何も覚えていない だけれど私達神はたまに記憶を残したまま転生先の母体に宿すこともあるんだ そして生まれたら前世の記憶を保持したまま活動する事もある。」
「リサーナ嬢のようにですね?」
「そうだね 私の養子のリサーナが分かりやすい あの子はミュー様自ら転生させた子だね」
「では ベリオスも?」
「このベリオス君は私もミュー様も転生させていないんだ。すべての人間の誕生先をどうこうしているわけではない。例えば地球からの転生とかの場合だけ私やミュー様が面談してミューノアに住ませてもいいかを調べる。ミューノアの人間の転生は私はまださせていないし ミューノア人の転生の場合は私達神は関わっていない。死んだ人間の魂をリセットさせて新しい肉体を与えてるシステムがあると思えばいいね。」
「という事は?」
「まず 間違いなく記憶は持っているけど ミューノアの記憶保持者の人間の生まれ変わりだろうね。なぜ記憶を持って生まれて来たとかは詳しく調べないとだけど間違いなく記憶保持者だ」
「となると この子は過去にいたミューノア人の意識をもっていながら生まれて来たという事ですね 一体どんな人物なのでしょうか」
『あ やべ なんかガチで俺疑われてる!?』みたいな反応をするベリオス もう誤魔化せないと思いながら 『あ~う お父ちゃん何を言っているの?』みたいな反応で無邪気に笑う
「ふふ 今更ボクなにもわかりません みたいな反応しているけどもう遅いよ?鑑定」
鑑定
ベリオス・フィクス 0歳1カ月
スキル 浮遊
前世:ティグリス・ブラウン
「ふーん ティグリス・ブラウン」
『ビクっ!』と汗だらだら流し始めるベリオス
「ティグリス・ブラウンですって!!?」
「知ってるの?私こっちの有名人とか知らないから何した人かわかんないや」
「十年ほど前にドリアンに存在した侯爵家で 何十人の女を囲い変態な行為を繰り返していたようですね。そして王家の親戚などにも手を出しあちらこちらで婚約破棄騒動を起こさせた記録が残っていますね。 とんでもなく女癖が悪いドスケベな男で当時の貴族家を混乱させ処刑されたと聞きました」
『ちょ 言いすぎじゃね!?』とベリオスも怒っているようだ
「なるほど そのティグリスがベリオス君の前世って事だね」
「何という事なのだ・・・そんなクズ野郎が私の息子に転生していただなんて・・・」
「ミューノアの転生システム少し見直した方がいいかもしれないなー。そんな経歴の奴を生まれ変わりのチャンスを与えるとかないわー」
「仕事は出来たらしいので それでチャンスが来たのかもしれませんね」
「ふむ それで フィクス公爵はどうするのかな?このベリオス君がティグリスの転生した姿だとわかったのだけど 愛せるの?」
「わ わかりません・・・」
「ご夫人がお腹を痛めて産んだ子だし いくら中身がゴミ野郎でも殺すとかは難しいか」
「しかし このまま成長させてしまったら・・・私はどうしたらいいのだ・・・」
「あんた!なにやらかしてんの!一回しゃべれるようにしてあげるから!」
『お?お?』
「テレパシーの一種だよ あんたの思ってる事が私と公爵に聞こえるようにした。」
「なるほど ティグリス・ブラウン!私の息子の身体から出る事は出来ないのか!?」
『いや 父上 確かに俺はティグリス・ブラウンの意識を持っているが ベリオスでもあるのだよ』
「そうだね ティグリスがベリオス君の身体を乗っ取ったとかそういう類ではない。ティグリスの生まれ変わりがベリオス君だから 同一存在なんだ・・・」
『ふふ そこの小娘はわかっているではないか 左様 ティグリスでありベリオスであるのだ 今更どうしようもないではないか』
「あんまちょうしこくなよ?こっちはこの世界の神だからね?たかだか元侯爵家のゴミ野郎がいい気になんないでほしいな いつでも殺せるんだから」
『ち 父上 この小娘 俺を殺そうとしているぞ?いいのか?』
「貴様は死にたくなければ大人しくしていろ ペンドラゴン公爵を怒らせるとドリアンなど一瞬で滅びる 貴様が生きていた時代などもうすでに過去なのだ」
『い いや ありえないだろう?この何十年で何があったと言うのだ・・・』
「ペンドラゴン公爵はこの世界ミューノアの主神ミュー様に神と認められた現人神だ!魔王を倒した英雄でもある!貴様の生きていた時代の強者の最高レベルはいいとこ何千だろう?この方は何千億ともっている!その気になれば世界全てを敵に回したとしてもたった一人で滅ぼす事も出来るお方なのだぞ!!」
『ば バカな・・・ この数十年で何があったと言うのだ・・・』
「はいはい 確かに出来るけど今の私の拠点の星だからね そんな事はしないよ。で ティグリスあんたは異常な女癖の悪さでもう普通の赤ん坊と思ってもらえない。なんなの手当たり次第のメイドにセクハラするとかありえないでしょ」
『ひ 久しぶりに触れる女がいたものでな・・・ ついやってしまった』
「ついで フィクス家の全メイドを敵に回すなど 貴様は何をしたいのだ・・・!」
『ち 父上 たかがメイド よいではないか・・・』
「貴様の変態的な行動でメイドの退職願が山のように来ているのだぞ!!退職理由は貴様が気持ちが悪いというどーしよーもない理由なのだ・・・」
『し 仕方がないではないか・・・ 大人の意識を持っているのに手を出すななど生殺しだ!』
「うわ・・・ きも・・・」
『公爵家の息子の俺に気に入られるなどいい事ではないか』
「ほんとにこのクズは・・・」
「なんということなのだ・・・ 貴様は我がフィスク家に何の恨みがあるというのだ・・・」
『ふふ 父上 俺が今以上のフィクス家を作り上げてやろう 喜ぶがいい』
「あんたに何が出来るって言うのさ 今のところただのセクハラしてるクソガキじゃん!!」
『これだから小娘は・・・ 俺が成長したら王家の娘を口説き落としてやろう』
「いらぬわ!!!余計な事ばかり考えて!!」
『なっ 出世に興味がないだと・・・?』
「貴様を野放しにするとティグリスの再来になってしまう・・・!」
「女癖の悪さで処刑されたんでしょ?また同じ人生歩む気なのか・・・処分されても文句言えないよ?」
『な なんと それは困るな・・・ではどうしたらよいと言うのだ』
「アサミ様・・・ この男の意識を刈り取る事はできないでしょうか・・・」
『なっ 父上!そんな事をしたらベリオスとして生きるのすら難しくなるぞ?』
「そうだねー 普通の赤ん坊って何も考えてないからね 前世のティグリスの記憶を消してあげようか?」
『なっ!小娘!余計な事を!!クソっ 動けん!!』
「そうなるとどうなります?」
「知能やなんかは本当に何もなくなるし ティグリスだったことも忘れる 異常な行動もしなくなる まったくのただの子供になるね」
「なんと!!」
『や やめろ!!そんな事許されんぞ!!』
「ただ ティグリスの転生体という事は変わらないからねぇ あなたがそれを覚えていれば愛せなくなるかもしれないね」
「くっ・・・中身がこのクズだと思うと・・・」
『父上 それは言いすぎではないか?俺は優秀なのだぞ?』
「知るか!このクズが!!」
「わかった とりあえずこのティグリスの記憶を完全に消す そしたらただの子供になる これからの人格は教育次第だね」
「ありがとうございます・・・!しかし・・・私にベリオスを愛する事はもう・・・」
『小娘!!何を勝手な事を・・・!やめろ!!!!』
「黙りなさい!!リセット!!」
『あー あー うー?』
「ペンドラゴン公爵 記憶の方は・・・?」
『うー きゃっぱっあ』
「うん もう完全にティグリスの記憶はないね」
「では・・・ 公爵 私の記憶を消してください・・」
「いいんだね?」
「ええ そして このベリオスには悪霊がついていたとでも 記憶消去後の私に説明してくださればそれで納得して帰るでしょう」
「その方が・・・あなたにはいいかもしれないね・・・わかった 奇行は全部悪霊の仕業って事にしておくよ」
「ありがとうございます・・・!」
そしてアサミはアリオンの記憶をいじり ベリオスを除霊したと偽りの報告をするのだった・・・。




