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第七幕 「まずは、自己紹介といこうか」

一話短め、間隔広めの読みやすさ重視の作品になっておりますので、苦手な方はブラバ推奨です。

「さて、それでは微妙……は、誤解されても困るな。阿久人くんと呼んでも?」


「え、ええ……あの、ご自由に」


腕を組んで、その上に立派なものを乗せたままで迫ってくる吝部長に圧倒され後ずさりしながら、しかし、目はしっかりと部長の顔及び胸あたりという所謂バストショットの視界で彼女を捉えながら答える。


「あのー、お二人? 胸の何がそんなにいいのか分かりませんが、さっさと、入りませんか?」


潮時さんが、ものすごく冷たい目でこちらを見ている。

美少女の整った無表情はとてつもなく綺麗で恐ろしい。


俺は左上に視線を逃がす。


「はっはっは! まあ、そんなに怒らないでくれ。悪かったよ。さ、入り給え。動画部は、君を歓迎するよ」


「いや、まだ入ると決めたわけでは……!」


部長が奥に進んでいき、それを追うように入ってしまった俺が見たのは……途轍もない圧を放つ部室の空気だった。

あの頃と同じ空気。

中学時代天才達は手を抜くということがなかった。

常に本気だった。

常に本気でやりあうコミュニケーションは、真剣同士の斬りあいのような緊張感と高揚があった。

ここもそんな空気に満ちている。


いるんだ、ここにも天才が。


中には、三人の部員がいて、みんなこちらを見ていた。


「まずは、自己紹介といこうか。先ほども名乗ったが、三年(やぶさか)だ。動画部ではリーダー、まあ、監督的な立場を担っている。情報操作が得意なのでな、広報も担当している。気軽に苦無(くない)ちゃんと呼んでくれ☆」


情報操作が得意っていう学生初めて見たあ。


「次に、彼が三年、本願寺他力(ほんがんじ たりき)だ」


部長の視線の先に、スキンヘッドの厳つい男子生徒がいる。

ゆらりと立ち上がりこちらに目を細めながら視線を送ってくる。


「……ほ……ぁ ぃぁぃぃ……す。ょ……ぅ」


……うん、全然聞こえなかった!


「彼は、撮影から編集といった裏方を一手に引き受けてくれているんだが、極度の恥ずかしがり屋さんでな。ちゃんと目を見て話してくれるということは嫌われてはいない安心してくれ」


いや、安心できないんですけど、怖いんですけど。

なんか両手合わせてぶつぶつ呟いているんですけど。


「続いて、三年、吉賀王剣(きが おうけん)


王の剣という名が正直似合わないような分厚いメガネをかけた小柄な男子が立ち上がる。


「ちーっす! きがちゃんでーっす!気軽にきがちゃんって呼んでくれい! ……ぷふー! 『きが』るに『きが』ちゃん! はいここ笑うとこー!!」


声が、デカい……! 本願寺先輩の声からの差もあって、めちゃくちゃびっくりした!

あと、顔もデカい。態度も。めんどくさそう。

ただ、そのせいか、小柄なのと、そのトゥーンアニメから飛び出したようなコミカルな感じのキャラクターもあって、二頭身キャラみたいに見えてきた。

憎たらしいが、かわいい。


「吉賀は、うちの動画のメインキャラクターとして、出演してくれている。代表作は、『きがちゃんのいのちをだいじに』シリーズだな。大怪我をも恐れぬ勇者っぷりが大好評だ!」


なにその超絶こわいシリーズ。


「そして、紅一点、二年、七八十静(なしく しず)


金髪の前髪をきゅっと一つにまとめておでこを出しているギャルさんが座ったままこちらに手を振っている。


「きゃははは! クナイパイセンだって女なのに紅一点ウケる! おっす、いちねんせー! アチシは、七、八、十、で、九がないからナシク☆ よろしくね!」


きがちゃん先輩に劣らない声量アンド、きがちゃん先輩にはない超高音の笑いが耳に響く。

あと、あんま足バタバタしないでください。見えます、色々。


「彼女は、進行管理及び部費の管理等を行ってくれている。まれに、動画の華担当として出演もしてくれている。『いのちをだいじに』シリーズのぶっさしこちゃんとかな」


華担当は分かる。この人も美人だから。けれど、人は見た目によらないということか、一番しっかりしなければいけなさそうなポジションもやっているとは。

……っていうか、ぶっさしこちゃんてナニヨ!?


「もう一人、二年の圧巻というのがいるんだが、今日は別件で出ていてな。そして、潮時君、君も自己紹介を」


「あ! は、はい! 潮時信女です! 一生懸命頑張ります! よろしくお願いします!」


潮時さんが、思いっきり頭を下げて挨拶をする。サイドポニーが振り回されて、良い匂いがしてしまう……!


「そして、潮時君のサイドポニーの匂いを楽しむド変態君、自己紹介を」


俺は、何事もなかったかのように冷静に一礼する。

ここで動揺すれば思うつぼだ。

鼻を鳴らす苦無先輩の事は無視無視。


「一年三組、微妙阿久人です……役不足かもしれませんが頑張ります」


「…ぃ…ぃぁぅ」


「役不足!? おおー、おっけおっけ上等じゃない!」


「ウケるwww」


やった! ウケた! ……とはならないけど、二人ともテンション高く受け入れてくれたので悪くはないのだろう。本願寺先輩はなんて言ってるかわからん。


けど、なんだろうか。

この人たちからやっぱり厚みを感じる。

あの天才達と同じような才能と努力のハイブリットな、硬くて柔らかい自信が。

この部は……凄い部なのかも、


「新入生歓迎企画をはっじめまーす!」


「うん! なんか余韻とかないんですね! すげーな動画部!」

お読みいただきありがとうございます。


もう散々使ってるので、予想ついてる人も多いかと思いますので、一応、ツッコミ防止の為に。

『役不足』のツッコミは不要です汗

そして、動画部の面々の名前の由来も同じような扱いの言葉をヒントに作っています。

本来苗字にないものがいくつかありますが、スルーしてもらえるとありがたいです。

微妙の時点でスルーしていただけているとは思いますが汗


少しでも楽しんでいただければ何よりです。


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