第2話 メイド服
お、続きを見てくれるとは!
「……」
「……」
リビングの机を挟んで俺たちはお互いの顔を見る。
「……お前が、俺の親父はねたのか?」
「な、なによっ、わ、悪い?」
「いや悪いだろ!」
「うっ、ごめんな、さい……」
「まあ別に俺もそんな気にしちゃいないんだけど……」
親父の怪我なんかよりも大事な話がある。俺は深呼吸をして本題を切り出した。
「今日からお前俺のメイドになるのか?」
「っ!!!」
佐々波は下を向き、恥ずかしそうにモジモジしながら答えた。
「そ、そうよ!」
「ほぉーー」
いつも自分をからかってくる女を従えることになるとは。こんなに嬉しいことはない。俺は引き続き質問をする。
「この家で暮らすのか?」
「う、うん」
「俺と二人きりでか?」
「そ、そういうことになるわね」
「じゃあ……」
「じゃ、じゃあ……?」
「俺の命令は何でもきいてくれるのか?」
「っ!!!」
一気に佐々波の顔が赤くなる。一体何を考えているのやら。
「陰キャのくせに生意気……」
「陰キャで結構。それより今日から一年間、お前をこき使ってやるよ」
「こ、こき使うって?」
「そうだな、とりあえずメイド服に着替えてくれ」
「はぁ!!!!!」
俺は床に置いていた紙袋を机にのせた。
「親父から届いたんだよ、メイド服。似合うんじゃないかってな」
「私がそんなの着るわけないでしょ変態!」
「変態は親父だ。それに命令は絶対だろ?」
「……もう、分かったわよ」
※※※
「き、着てやったわよ」
「遅い、30分も何して……!」
扉を開く音が聞こえ、後ろを振り返った俺は驚いた。
そう、とてもかわいいのだ。
「じっくり眺めないでくれる?」
「な、眺めてなんていませんけど?!」
マジか!想像以上にかわいい!俺は急いでニヤニヤした顔を腕で隠す。これで性格が良ければなあ。俺は急いでスマホを取り出しシャッターを切る。
「ちょっ、あんた何撮ってんのよ!」
「これは親父に送る用だ。って今何時だ?」
ふとスマホの時計を見ると5時半を過ぎている。
「しまった!佐々波、すぐに出かけるぞ!」
「えっ?どこに?」
「スーパーのマロンだよ!今日は野菜の特売日なんだ!」
「まさかこの格好で?!」
「じ、時間がない!」
「ちょっ、待ちなさいよ!」
俺と佐々波は急いで家を飛び出し、スーパーへと向かった。
お仕事お疲れ様です!
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