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白の王のアルカディア  作者: 海原緋色
2/2

シャルアの仲間たち

なんとか20時までには上げたいと思います。人生思い通りに行かないね(泣)。

サイド:アヤト


「お~い!こっちだこっち!」


遺跡群の入り口で、大剣を背負った赤髪の大男が手を振って僕らを呼んでいる。その近くには男が2人と女が3人いる。


「あの人たちが仲間?」

「ええ。そうよ」

「結構いっぱいいるね。そんなに危険なクエストだったの?」

「そこまで危険なクエストということでもないけど・・・・・・。今日は新メンバーの様子見ってところ」

「新メンバー?」

「私のこと。貴方を介抱したのもその一環。私は貴方のことなんか別にどうだっていいんだけど、彼らがやれって言うから」

「そ、そうなんだ・・・・・・」


どうでもいいって言われた。なんかちょっと凹む・・・・・・。そういえば第一声が「死にたいの?」だったっけ。これがツンデレだったらいいんだけど。どう考えても素だし。もうちょっと心配してくれてもいいんだけど・・・・・・。


「何1人でブツブツ言ってるの?早く行きましょう」


キモいと言われなかっただけマシか・・・・・・。


「ごめん。今行くよ」

「しっかりして。たとえ記憶喪失でも混乱しっぱなしだと生きていけないよ、この世界は」


この世界か・・・・・・。


僕は記憶はないが知識は残っていた。


ここは元いた世界とは別の世界だという。ただ、別の世界が実在するなんて話は僕の知識の中にない。ゲームやマンガの中にはそういう話があったけど。


馬鹿馬鹿しい話ではあるが、僕はこういう世界に行ってみたいと思っていたと体が覚えている。だから記憶もないのにワクワクしてしまうのだ。


そうやって考え事をしているうちに、5人組のところにたどり着いた。


「元気そうだな坊主!あの場所で寝るのは気持ちよかったか?」


大剣の大男がそう言ってきた。


「うん。日当たりもよくて最高だった」

「ぐっすりだったもんな!ガッハッハ!!」


随分豪快に笑う人だ。


「はぁ・・・・・・。お前たちはもう少し危機感をもったらどうだ。モンスターも普通に出るんだぞ。ここは」


杖を持った青髪の青年が言った。


確かに危機感がなさすぎるのも考え物だな。ジョークは程々にしよう。


「ンなことより早く街に戻ろうぜ?」


金髪の少年は退屈なようだ。


「おお!そうだな。街に戻るか」


僕は5人組に連れられて街へと向かって歩き始めた。


「それじゃあ、自己紹介といきましょうか。私はリディア。よろしくね!」


最初に自己紹介してきたのは、後ろを大きな三つ編みにした緑髪の少女。見た感じ歳は俺と同じくらい。明るく人懐っこそうなので好感を持てる。


「わ、私はメディアです。よ、よ、よろしくお願いしましゅ!!」


あ、噛んだ。


「はぅぅぅぅぅぅぅ……」


今、顔を真っ赤にして俯いているのはサイドテールの藍色の髪をした少女だ。身長は僕よりちょっと下ぐらい。随分と控えめな性格をしている。そして初対面の人と話すのは苦手なようだ。さっきまで伸びていたアホ毛がふにゃんと萎れている。うん、かわいい。


「実はね、私たち姉妹なの。双子の」

「へー・・・・・・え」


俺は固まった。いやそうなるでしょ。だって全然似てないじゃん。性格とか、髪の色とか。


「まぁ、性格とかは全然似てないけど。でもほら、よく見て。目元とか少し似てない?」

「言われてみれば・・・・・・・確かに?」

「でしょ!!」

「う、うん……」


お、押しが強い。


それにしても、こんな小さな共通点を挙げられても双子には思えない。それほど二人の印象が違いすぎる。


「お、お姉ちゃん。この人困ってるよ?」

「あ、ごめん。迷惑だった?」


今の会話は仲のいい姉妹に見えた。


「いや、姉妹の仲がいいなんて羨ましい限りじゃないか。僕は兄弟いないけど」

「そう?そう言ってもらえると嬉しいわ」

「そろそろ姉妹仲の話は終わりか?じゃあ次は俺の自己紹介といこう」


大剣の大男がそう切り出した。


「俺の名前はガリウスだ!よろしくな!がっはっは!!」


ガリウスは頼りがいのありそうな男だ。何より筋肉がすごい。パーティーのリーダーをやっているところをみるに脳筋ではないのだろう。ぜひ頼れる兄貴でいてほしい。


「俺の名はリト。神官をやっている。信仰神はイリスだ」


青髪の杖の人は神官だったらしい。眼鏡がよくお似合いだ。しかしぱっと見、神を厚く信仰しているようには見えない。イケメンではあるが、如何せん目つきが悪い。小さな子供が見たら号泣必至である。


「さぁ、ベリルも自己紹介」

「・・・・・・めんどくせーな」


ベリルと呼ばれた金髪の男は何故か僕をずっと睨みつけている。リディアさんが話しかけても目線だけは外さない。チャラそうな見た目も相まって結構怖い。


「なんか僕、恨みでも買ってるのかな。初対面のはずだけど」

「そういえばベリルさんはずっとあなたのことを助けるのを反対してました。結局ガリウスさんに言われて引き下がっていきましたけど。いつもは女の子をナンパばかりしているような人なんですけど、今日は雰囲気が違う感じがして・・・・・・ちょっと怖いです」

「あれ?メディアは普段のベリルだと緊張せずに話せるの?」

「無理。この子は初めて顔を合わせたときにナンパされて、それがトラウマなの」


ひそひそと僕とメディアが話していると、横からシャルアが入ってきた。


「やっぱり無理なんだ」

「はい・・・・・・その・・・・・・1年一緒のパーティーでやってきましたけど、やっぱり無理でした・・・・・・」

「そういえばさ、今気楽に話せてるってことは僕は大丈夫ってことか」

「あ・・・・・・そうですね。私、あなたはもう大丈夫みたいです」

「じゃあ、いつか僕のことも名前で呼んでもらいたいな」


みんなのこともさん付けだけど名前で呼んでるし。


「あの、すいません。・・・・・・名前分からないです」

「・・・・・・・・・・・・あ」


そういえば自己紹介してなかった。やっぱり起きたばかりで頭が回っていないのだろう。礼儀知らずにもほどがある。


「ごめん!そういえば自己紹介するの忘れてた。僕はアヤト。記憶喪失だけど辛うじて知識は残ってた。ただ、この世界の知識は知らないんだ。なんでも流れ人?っていうのかな。この世界とは別の世界から来たんだ。だからもし良ければ、この世界のことを教えてほしい」

「「「流れ人!?」」」


ステータスプレートを見せながらそう言うと、シャルアとベリル以外が同時に驚きの声を上げる。やっぱり珍しいのかな。


「・・・・・・流れ人って伝説の話じゃなかったでしたっけ?なんでこんなところにいるんですか?」

「ホントの話なのそれ?なんか厄介ごとに足を踏み入れてない?私たち」

「ステータスプレートに嘘は書けない。まず本物で間違いないだろう」

「大物じゃねぇか、アヤト!がっはっは!!」


ガイウスがバシバシ叩いてくる。あまりの強さに背中の骨が悲鳴を上げている。・・・・・・い、痛い。


「・・・・・・・・・・・・」


ベリルの視線がさらに鋭くなっている。というか殺意まで乗っている気がするんですけど。


「・・・・・・そんなにちやほやされたかったの?呆れた・・・・・・」

「別にちやほやされたくてステータスを見せたわけじゃないんだけど・・・・・・」


パーティーメンバーから様々な視線を受けながら僕は街へと歩いてゆく。


目の前に見えてきた街は、結構大きそうな街だった。


今はとにかく情報収集が必要だ。


僕はどうしてあの遺跡群にいたのか。どうして記憶をなくしたのか。分からないことだらけではあるが、それでもまずは、この世界で生きていかなければならない。そのためには少しでも情報が必要だ。


目の前に見える大きな街を見ながら、僕はこれからのことをいろいろ想像していった。











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