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吸いこまれて

作者: 夏生

吸いこまれて

夢の中

夢はちっとも

やさしくなくて

途方もないような

顔をして


海は黒くうねり

空は高笑い

飛行機が

とんでもない

角度で飛んでいた


会いたい人に

会えた

ほんの一瞬


あの日と

あの人と

あの場所が

不機嫌に

通りすぎた


心配するなと

心配の種が笑い

ふやけた喜びに

包まれた


喜びは

こんぐらかって

白けて

消えた


濁点を含んだ

音が

胸の奥で

あわ立った


鈍い痛みを

感じながら

吸い出されて

鼓動が

思い出したように

響いた


今日が

さあ!と

とぼけた明るさを

見せていた



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