米田参考人に対する意見聴取‐九
(乾委員)
大量、多数の人員装備を喪失した、ということですが、その具体的な損害について数字でお示し願いたい。
(米田参考人)
我が国の国防に関する重大事項でございますので、具体的数字は差し控えさせてもらいます。
(乾委員)
分かりました。質問を変えます。
F2戦闘機による航空攻撃につきましては、「摩耗」が南相馬を突破した後も、福島宮城県境に至るぎりぎりのラインまで実施されたと聞いております。同時に、「摩耗」が福島宮城間を越境することが確実視された午前九時三〇分に、出動類型が治安出動から災害派遣に切り替えられました。参考人は政治的意図を感じましたか。
(米田参考人)
お答えします。
おそらく委員は、政府側が治安出動の範囲拡大という重大な責任を伴う政治決定を免れるために出動類型を災害派遣に切り替えたというお考えのもとに質問されているものと推察しますが、先ほど説明させていただいたとおり、「摩耗」というものが他国の開発した侵攻兵器なんですよ、だから治安出動や防衛出動で対処するんですよ、といわれた方が、私ども面食らったと思います。
「摩耗」が、もともと外国からの着上陸侵攻を想定していた方面とは全く逆方向から出現したり、全く未把握の兵器をそういった潜在的、顕在的な敵国が開発し保有しているという情報は私どもは把握していなかったわけですから。
ですので、ここで災害派遣に切り替えられ、害獣駆除という名目ができたことで、六ヶ所村近郊における大規模作戦を実施するまでの間、航空機による散発的な侵攻阻止作戦を継続して実施できる状況になったわけです。政治的意図を感じるかどうか、という委員のご質問ですけれども、こと作戦の自由度が増した、そのための出動類型の切り替えだ、というならばそういった意味での政治的意図については感じました、というか当然そのようにすべきであろうと考えますけれども、たとえば政府側が責任逃れのために恣意的に出動類型を変更した、全責任を自衛隊に背負い込ませるためにそうした、とは考えておりません。
以上です。
(乾委員)
今、参考人から政府の責任逃れという言葉が出て参りましたですけれども、私ども含めてマス・メデァアでも盛んに取り上げられておりますのが、まさにその問題なんです。
参考人に質問します。災害派遣における近傍派遣の法的根拠と、近傍派遣の命令権者についてお答え下さい。
(米田参考人)
法的根拠は自衛隊法第八十三条第三項であります。近傍派遣の命令権者は部隊の長であって、内閣総理大臣、防衛大臣、或いは自治体の長による命令は必要ありません。
(乾委員)
ありがとうございます。そのとおりです。
つまり、本件核惨事の事例になぞらえますと、当初治安出動を下令されて、内閣総理大臣という文民の命令によって出動していた自衛隊が、福島宮城越境を境にして災害派遣を命じられ、部隊の長が武官としての裁量によって自治体管内に自衛隊員を派遣できるように変わったわけですよ。
六ヶ所村近郊に至るまでの間、継続的に「摩耗」に対する航空攻撃が実施されたわけですが、その間だって爆撃の余波による家屋やインフラに対する被害は発生したわけです。これは事実なんです。
今、問題視されておりますのは、文民統制を逸脱した、或いは逸脱させられた、いっても良いかもしれません、そういうもののコントロール下にない自衛隊が、航空攻撃によって国民の財産に損害を与えた、ということなんです。そして、それによって損害が生じた、その責任を免れることを意図して、政府が自衛隊の行動を災害派遣に切り替えたんじゃないか、ということなんです。あなた方は責任をなすりつけられたんじゃないか、と聞いてるんです。
その点、いかがお考えでしょう。
(米田参考人)
そのようには考えておりません。
以上です。
(西田委員長)
本件の質問に関しましては、衆議院予算委員会においても質疑がおこなわれておりますので、乾委員は質問を変えられてはいかがでしょう。




