米田参考人に対する意見聴取‐七
(乾委員)
ありがとうございました。決して出し惜しみをしていたわけではない、ということでよろしいかと思います。それでは航空戦力の投入について質問いたします。
南相馬におきましては、航空戦力の活動も非常に低調であったと記憶しています。通常、航空機といいますと、高高度を飛行する必要から、コックピットというものは高い気密性を有していると考えられます。しかしながら実際の南相馬での戦闘に際して、その活動は低調だったと報道されております。その点について説明してください。
(米田参考人)
はい。ただいま委員よりご質問いただいた件ですけれども、航空戦力の投入も低調だったの何故か、ということであろうかと思います。
これにつきましては、あらかじめ申し上げておきますと、航空機とあうものは先ほど申し上げた戦闘車両とは異なりまして、確かに道路事情等に左右されることなく、空路を現場までほとんど直行できて、しかも速い。即応性に関していえば、戦闘車両よりも遙かに優れているわけです。また、運用できる誘導爆弾なども非常に強力で、これはもう、戦闘車両の主砲や特科の対戦車誘導弾などとは比較にならないほど強力な爆弾を運用できるわけなんです。委員ご指摘のとおり、高高度における運用を当初から考慮しておりますので、操縦座席の気密性も高い。それでは何故そのような有効な兵器が、南相馬において活動低調であったかについて説明します。
先ほども説明いたしましたように、南相馬におきましては即応可能な特科の対戦車部隊が現場に投入されておりました。この対戦車部隊に対しては至急準備いたしましたタイベックスーツとマスクを装備させていたわけですけれども、そういった装備というものは外部内部問わず完全に被爆を防ぐことができないそうであります。
既に事前調査により、「摩耗」が体内に福島原発由来の放射性物質を相当量取り込んでいることは明らかでありましたので、その漏出による隊員の被曝というものは非常に懸念される状況にありました。
結果的にみましたら、六ヶ所村近郊での作戦における戦闘車両や航空機の大量投入のより「摩耗」を撃破し得たわけですけれども、それも相当量の爆弾砲弾を消費してのことでありました。現在も六ヶ所村の再処理施設敷地内に「摩耗」の遺骸が近付くこともできず放置されているわけですけれども、「摩耗」撃破による放射性物質の漏出を考えると、タイベックスーツやマスクといった最低限度の装備で即応している対戦車部隊が現場にいる状況で、航空戦力を大々的に投入する選択肢は考えられませんでした。
先ほど尾形参考人は「生物を重砲火器で殺傷するような実験をおこなったことがない」とおっしゃいましたけれども、実は我々はそういった経験があるんです。今ではおこなわなくなりましたが、北海道でトドが大量に現れて漁場を荒らす、といった事態に際しまして、災害派遣という形で当時の航空自衛隊のF86戦闘機を現場に派遣しております。その際、同戦闘機に搭載していたブローニング十二・七ミリ機関銃でトドの群れを機銃掃射し駆逐する、というようなことを実際にやっておりました。我々は「トド撃ち」といっていたわけですけれども。
したがいまして、通常こういった火器による射撃に曝された生物がこれに耐えて生存し得るということは非常に考えづらいものがございました。南相馬におきましては、「摩耗」が非常に巨大であったことを考慮して、念のため対戦車部隊を投入したわけでありますけれども、これも場合によってはオーバーキルになるという懸念、大変なご批判を賜るのではないかという懸念を私ども持って対処に当たったわけであります。
実際には対戦車誘導弾による攻撃というものは「摩耗」に対して無力だったわけでありまして、福島宮城間の越境前になんとかその侵攻を阻止する必要を認めたことから、特科及び普通科の現場からの撤収を待って、三沢飛行場から第三飛行隊所属のF2戦闘機による航空攻撃を実施した次第です。




