米田参考人に対する意見聴取‐五
(乾委員)
自衛隊には生物化学兵器に対処する専門部隊があると聞き及んでいます。こういった部隊への出動については当初検討されませんでしたか。
(米田参考人)
おっしゃるのは中央特殊武器防護隊のことと思います。対生物化学兵器専門部隊でありますが、これはどちらかといいますと生物化学兵器をし使用した、単数又は少数によるテロ行為に対処するための部隊でありまして、たとえばこういった特殊部隊が、後に南相馬或いは六ヶ所村近郊で展開されるような大規模攻勢を部隊単独で実施できるような人員装備は持ちあわせていないわけであります。
ですので、中央特殊武器防護隊の出動に関しましては、こと「摩耗」の侵攻阻止という事態に対処するという観点からは当初から考慮の外でありました。
このような大規模な放射能汚染が懸念される状況でありましたから、まず私どもで準備いたしましたのは隊員の被爆を避ける、二時汚染を避けるための耐放射線防護でありました。福島の廃炉作業の現場等でいっときテレビなどでよく見られた、タイベックスーツやマスクなどの装備ですね。あれを大量に準備しなければならなかった。ですから、私はT4が集塵ポッドで採取した現場付近の放射線量に関して報告を受けた際に、これは大変なことになるなと。とにかく事前調査の終了から実際の出動命令まで相当のタイムラグがその準備のために生じるだろうな、という懸念はあったわけです。
本来でしたら、もっと早い段階で、「摩耗」が福島第一原発廃炉作業区を襲撃している段階においてこれに打撃を与えたいと考えていたわけですけれども、そういった隊員の被曝のことを考えれば、放射線防護の装備を疎かにできない、そのような状態で隊員を現場に投入するということはちょっと考えられませんでした。事案対処の即応性という観点からはお叱りをいただくかもしれませんけれども、隊員の命を預かる立場としては、安全配慮義務に従ってその判断に誤りはなかったと思います。
(乾委員)
たとえは、放射線防護の装備を準備している間、官邸から早急に出動するように促す動きというものはございましたか。
(米田参考人)
それは当然ございました。なにやってるんだというお叱りめいたお言葉も当時の佐竹総理より実際いただいたわけですけれども、「摩耗」に打撃を与えてこれを阻止したいという気持は私も同じでしたから、お叱りいただいたからといって干渉されて出動が遅れた、などということは私はなかったと思います。
また当時は防衛大臣の立場にございました廣瀬総理に対しても、私からそういった理由で隊員の派遣については相応の時間を要する、というふうなことは報告いたしました。佐竹総理はなにがなんでも早急に、というご意見でしたけれども、廣瀬大臣には安全配慮義務についてご理解いただき、そういった隊員の耐放射線装備をしっかり準備することができたわけであります。したがいまして、本格的に我々が「摩耗」に対処できる準備が整い、これに打撃を加えることができるようになったのが、結果的に南相馬近郊であった、ということであります。
(乾委員)
南相馬における第一次「摩耗」侵攻阻止作戦とでも申しましょうか、この南相馬市での作戦におきましてはニュース映像等も多数残されているわけでありますけれども、私ども素人目に見ますと、所謂戦車であるとかそういった、地上で運用する重砲火器というものが大変貧弱だったのではないかというふうに見受けました。この点いかがでしょう。




