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摩耗核惨事  作者: pip-erekiban
第二章 衆議院予算委員会
38/77

和泉和子君の質疑-一

(大垣委員長)

 以上で加藤君の質問を終わります。続いて和泉和子君。


(和泉和子君登壇)

(社会自由党和泉和子委員)

 社会自由党の和泉和子でございます。加藤委員に引き続き、政府の復興政策について質問致します。

 改めて説明するまでもなく、本件核惨事における被災地域は非常に広範囲にわたり、一億三千万国民の実に半数以上が避難生活を強いられる現状がございます。総理は自衛隊の拡充による除染活動の進展により、空間線量が年間にして二〇ミリシーベルト以下に低下した地域から順次住民の帰還事業を実施する旨所信表明演説で明言されました。

 まず、帰還の目安である年間被曝線量二〇ミリシーベルト以下という数字について質問いたします。

 この数字は、福島第一原発事故の折に帰還事業を行うに際して、国際放射線防護委員会、いわゆるICRPが示した事故収束時における一般公衆の被曝限度を参考にしたわけでありますが、本件核惨事においてもこの数字を準用するにあたり、総理は年間被曝線量二〇ミリシーベルト以下という数字が、原子力基本法及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律、同施行令(せこうれい)並びに同施行細則が定める一般公衆の年間被曝限度一ミリシーベルト以下という数字に明確に違反していることにつきまして、どのようにお考えでしょうか。

 お答え下さい。


(磯辺厚生労働大臣)

 ただいまの和泉委員のご質問におこたえ致します。(和泉委員「総理、お願いします」と呼ぶ)

 年間被曝線量二〇ミリシーベルト以下という数字でございますが、これは委員ご指摘のとおり、ICRPが示した事故収束時において一般公衆に対し許容される被曝線量を年間数値に換算したものであります。政府と致しましては、福島第一原発事故の際に準用された当該数値を本件摩耗核惨事においても準用し、年間被曝線量二〇ミリシーベルト以下を達成した区域から順次住民の帰還事業を推進していく姿勢に変わりはありません。

 さて、この年間被曝線量二〇ミリシーベルト以下という数字が法を逸脱していることについてどう考えているのかという委員のご質問でありますが、委員が挙げられた原子力基本法といいますのは、昭和三十年、ちょうど我が国における原子力政策の黎明期れいめいきに、これを推進するために制定された法律であります。当時は広島、長崎に原子爆弾が投下されて十年後、東西冷戦の最中に両陣営の核保有国が大気圏内において核実験を盛んに行っている時代でありました。それまでは人工核種というものはこの地球上に存在しておりませんでしたが、東西冷戦が激化する中で不幸にして我が国のみならず人類全体が、今まで存在していなかった、人体に対して有害な物質の存在を意識せざるを得なくなったわけであります。

 原子力基本法という法律はまさにそのような時代に制定された法律でありまして、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律、同施行令、同施行細則の中で一般公衆の年間被曝線量について一ミリシーベルト以下を目指すと定められたわけでありますが、その後核保有五大国以外にもインド、パキスタン、北朝鮮などが核兵器を保有し大気圏内において核実験を行ったことにより、放射性物質は大気中にその後も、現在に至るまで放出され拡散され続けてきたわけであります。

 したがいまして、今から六十年以上前に定められた年間被曝線量と、現在目指すべき現実的な数字との間に多少の乖離かいりがあったとしても、それは環境の変化によるところが大きく、徒に法定数値を墨守することは現実的ではないと考えております。

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