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僕が経験したチープな出会いの話  作者: 遊月奈喩多
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中編 かわいいは正義だけどさ

こんばんは、声優カバー曲メドレーで気分を上げてから出勤することでおなじみ(?)遊月奈喩多です!

最近、小野D好きすぎるのです……!

ということで、今回は中編・「かわいいは正義だけどさ」です。

突然真夜中の墓地で1人の少女と出会った主人公、新崎 新。さぁ、彼は彼女に何をするのか……?

本編スタートです!

 長年連れ添った携帯電話を落として困りきっていた僕の前に、突如現れた幼女。僕こと新崎しんざき あらたが彼女をこの世のものではないと判断したのは、まず時間帯。

 いくら人間でも寝静まらない丑三つ時ではあるといえ、さすがに見た目5~6歳くらいの子どもが寝ないならまだしも、保護者もなしに出歩いているのは明らかに不自然だ。辺りを見回しても保護者らしき影は見えないし、もしかしたらネグレクトとかそういう可能性だってあるかも知れないけど、そこで第2以降の判断材料に証言してもらおう。

 僕の入り込んだ墓地は、敷き詰められた玉砂利のせいで、深夜に歩き回るのを躊躇するくらいに音がうるさい。もしかしたら彼女は、僕の立てる音があまりにうるさいので様子を見に来た近所のお子さんなのかも知れないとも一瞬思ったけど、それならば――眠っていただろう幼女を起こすくらいの音量ならば――彼女が僕の目の前に現れるまでの数歩……というのは僕の歩幅を基準にした目測なので、この幼女の滑らかで形の良い足で歩いた場合は恐らく17歩半くらい必要だろうか、その音に僕が全く気付かないなんてことは考えにくいのである。墓地の外から歩いてきたのでは、きっとないのではないだろうか。

 そして何より、彼女の外見だ。

 といっても、特に顔が鬱血していたり、血だらけだったり、額が割れていたり、脳髄が表面にはみ出ていたり、脳漿が垂れ流しになっていたり、腕が奇妙な方向に曲がっていたり、首から上が取れていたり、同たがミンチ状になっていたり、下半身がなかったり、脚が取れていたりとか、そういうあからさまな「幽霊」ではない。そもそも下半身がなかったら、きっと僕は地面を見ている時点で彼女と顔を合わせていただろう。まぁ、顔はかわいいけど、そんな対面の仕方は謹んで固辞したいものである。

 とはいえ、もしかしたらある意味あからさまと言ってもいいのかも知れない。


 懐中電灯で照らさないと足下も覚束ない夜闇の中、その幼女の姿は、まるでひと昔前の技術でお茶の間の失笑を誘ったチープな合成映像よろしく、背景たる夜闇の墓地から浮きに浮きまくっていたのである。少しお行儀の良い家庭で育ったのかもな……と思わせるシックな服装も、背中まで伸びている柔らかそうなふわふわの髪の毛も、幼いながらも少し利発そうな顔も、白い手も、スカートの裾から地面に向かってスラッ、とまでは行かなくても決して太過ぎず細過ぎず、まさに黄金比率的にちょうどいいとしか言えないバランスで伸びている白くて柔らかそうで、指で突っついたり頬ずりしたり手や舌で摩ったりなるような2本の脚も、全部が全部、くっきりとクリアな発色で見えたのである。

 白は白。肌色は肌色。そんな風に、はっきりとした色で見えたのだ。さすがにこれは、普通じゃない。

 辺りには少し前に述べたように、明かりになるようなものなどないのだから。


 そうして彼女を中心とした様々な状況を見たが故の、「君お化けなら、僕の電話探してくれない?」だったのである。

 別に僕はそういったいわゆるオカルト的存在に対して否定的なスタンスを持っているわけではないし、何だったら「生きている人間が居るのなら死んでいる人間だってこの世に居ても別におかしくはないんじゃない?」と小学校時代に言われてドン引きされたくらいの下地があることもあって、奇妙な要素だらけの少女が幽霊なのではないかという疑惑(?)は、わりとすんなり僕の中で納得できるものだった。

 そして、それに対してその幽霊少女も否定などせず、それどころか「うん、いいよ」と返してきたのである。

 しかも事も無げに「その代わり、おじさんから何かもらわなくちゃいけないんだけど……」と気弱そうに言ってのけたのである。

 まぁ、人知を超えた力を頼ろうというのなら、代償を払わなくてはならないというのは古今東西どこででも通用する普遍的なルールなのだろう。ならば僕もそれに従おうじゃないか。しかし、その前に確認事項が1つだけある。

「それってさ、先払い? 後払い?」

「さきばらい?」

「あぁ、僕が君に何かあげるんだろ? それってさ、君が僕の電話を見つけてくれた後に払えばいいのかな、それとも今ここで君に頼むときにあげた方がいいのかな? それをまず知っておきたいんだよ」

「ふーん……。えっとねぇ……」

 そう言いながら考え込む幽霊少女。彼女がどちらか決めるのをただ待っているのも何だか馬鹿みたいだから、僕はその間、彼女の綺麗な脚を見ておくことにした。僕だって現代人である、電脳空間にたゆたう数々の美脚を眺め続けているわけだけど、何せ生身の脚というものについては肉親のもの以外に見る機会がなくなっている。しかも母は何だか太めだし、姉は逆に意識が高すぎて細身なのでちょっと食指が伸びない。

 そんな中で、彼女の脚は、もちろん幼さゆえの若干しつこい肉感があるとはいえ、それでも十分に美しいと言っていいものだった。たぶん、もう少し僕の理性が脆かったら舐め回すか撫で回すかくらいは最低でもしていたことだろう。

 そんな至福の生殺しは、しかし案外早く終わってしまった。

「んっとね、今もらうんだって」

「そっか、じゃあ何払おうかな。今特に何も持ってないんだよなぁ……」

「おじさんが大事にしてるものをちょうだい?」

 大事なものか……。

 睦月いつかのブロマイド……は携帯ごときじゃ手放したくないし、使用期限の切れた金券なんて渡したら怒られそうだし、いつぞやの阿波踊りのポスターの渡すには惜しいし、数年前にイベント用に作った黄緑のハートが随所にあしらわれた吸血鬼コスチュームも、力作だしなぁ……。うりぃ。

 そうやって迷っている僕に痺れを切らしたのだろう。

「じゃあいいや、おじさんのお姉ちゃんちょうだい?」

「……は?」

「だっておじさん、お姉さんのこと好きみたいだし。だったら好きな人をちょうだい?」

 ほぉ、確かにこの子は幽霊少女のようだ。僕の内面をしっかりと見抜いている。もちろん恋愛感情的なものはもう持ち合わせてはいないが、結婚するのならこういう女性ひとがいいなぁくらいには今でも思っている対象、つまり僕の実姉。確かに、大事といえば大事だ。まさか人まで対象に含まれるとは思わなかったから候補には入れなかったが。

 そんな実姉に関して、この少女は何といった?

 うん、確かにね? 綺麗な脚してるし? かわいいは正義さ。かわいいは正義だけどさ……。それでも、僕にも譲れないものがある。

「ねぇ、幼女」

 だから、僕は徹底抗戦の構えに入った。

「何言ってんのか、もう1回説明してくれるかな? 幼女」

こんばんは! 脚フェチで何が悪い、遊月奈喩多です!!

中編・「かわいいは正義だけどさ」をお楽しみいただけたでしょうか? 私が脚フェチになったのは、忘れもしない幼稚園時代のことでした。

当時放送されていた戦隊ヒーローで、三枚目担当なメンバーが恋に落ちたお姉さんが敵の罠に囚われて磔にされているシーンだったのですが、当時の私は磔にされた女性というシチュエーションに興奮するよりも先にその脚を見て、フフ、下品な話ですが……勃起してしまいましてね(本当に下品なお話ですね)。

ということで、それから十数年私は脚フェチ街道をまっしぐらなわけですが、それとこのお話はきっと関係ありません(笑)。

ということで、また次回お会いしましょう。

ではではっ!

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