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僕が経験したチープな出会いの話  作者: 遊月奈喩多
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前編・ベストショットだね!

こんばんは、ちょっとずつ冷えてきてすっかり秋らしくなりましたね。遊月奈喩多です!

今回は少しだけ明るい作風のお話です。しばらく投稿できていなかったので、投稿させていただきました。予定としては、前・中・後編の全3話を予定しています。

今回はその前編です。

私も主人公くんのような出会いをしてみたい……。

ということで、本編スタートです!

 昔からよく言われる、いわゆる草木も眠る丑三つ時。

 しかし実際に出歩いてみるとこのご時勢、草木どころか人間だってそうそう眠っていないものである。こうして出歩いている僕自身そうであるし、自宅の隣に数年前からできているコンビニには、深夜とは思えない――――といっても深夜のコンビニがどういうものかそこまで詳しくは知らないけれど――――客入りを誇っている。

 更にもう少し足を伸ばしてみれば、近いというだけでほとんど付き合いがないにも関わらず町会やら何やらで一括りにされる人々が何事かをして暮らしているであろう住宅街にも、かなりの割合で明かりが点いている。屋内から色々と音が聞こえてきてはいるが、何の音なのかは知ったことではない。そんなことに僕は興味ないし、きっと彼らも僕と同じ立場だった場合には僕と同じような関心の度合いであるに違いないと僕は思っている。

 24時間営業のネットカフェの駐車場には何台もの車が停まり、ネットカフェの方もかなり賑わっているようだ。といっても、僕が興味あるのはそんなことではないので、通りすがりの人から怪訝な表情を向けられることなんて覚悟の上で、僕は茂みをゴソゴソ探し回っていた。



 今年で自宅警備員2年目をつつがなく迎えた僕こと新崎しんざき あらたは、数年使い続けた携帯電話をどこかに落としてしまったらしいことに日付が変わった直後になって気付いて、心当たりの場所を探している真っ最中だった。どこにでもあるガラケーで、いやむしろ何で買い換えないのかと大学時代によく言われてしまっていたくらいにボロボロのガラケーだった。

 高校卒業を機に両親から買い与えられた物で、実のところ当時の僕自身は必要とはしていなかったのだが、いざ使い始めてみるとこれが存外便利なもので、携帯電話がなかった頃、どうやって生活していたのかわからなくなるくらいには依存していたのである。それは、家族と就活サイト以外に繋がる相手がなくなった今でも変わってはいない。朝は就活サイトからのメールをチェックするところから始まり、各々の事情で外に出ている家族とも少々気まずい思いをしながらやり取りし、適当に応募しようと決意する。そんな繰り返しの日々に、僕の愛機は欠かせない存在だ。

 目覚まし時計としても使っているし、何よりあれには僕の個人情報がわんさか入っている。

 そんなものを、迂闊にも僕は落としてしまったのである。しかも悪いことに、そのとき僕は音楽プレイヤーを耳につけて、アイドル歌手の睦月いつかの高速ボイスを大音量で流して、外界の音を遮断しながら意気揚々と走っているうちに、どこかに落としてしまっていたらしい。だから落とした時の音なんて気付かなかったのである。

 しかし、それならばただ家族の携帯を鳴らしたりしながら探せばいいだけの話である。いくらただの臑齧りで家族から白眼視されている僕とは言え、さすがに携帯が僕の生活に必要なことをわかってはくれていると思うので、誠心誠意頼めばきっと貸してくれる可能性はあっただろう。

 ところが、僕はその前に自宅の固定電話で鳴らしてみた時に気づいてしまったのだ。

 

『おかけになった電話は、電源か切れているか電波の届かない所に……』

 ……あ、充電切れてる。


 それで、今に至る。地道に探すしかないのが辛いところだ。

 午前1時半に営業を終えた銭湯から帰っていく客から冷めた視線を投げかけられ、何かの事情でうろついている若者からは同情と軽蔑が混ざった声がけをされたりと、何だか散々な気持ちになりながらも探しているのだが、なかなか見慣れた銀色のガラケーが見つからないのである。

 時間を戻す能力とか、近くに何か特別なものがあったら光らせることのできる呪文とか、そういう物を本気でほしくなりながら探しているうちに、僕は墓地に辿り着いた。

 普段ならこんな所に――自分の親類など誰も眠っておらず、ましてや不用意に踏み入るべきではないと教わってきた場所に――足を向けたりはしないだろう。しかしジョギング中の僕はこの墓地のすぐ脇を通っていたし、墓地には何だかんだ物が入り込みそうな溝が多い。だから僕は、墓地に入り込み、地面に両手をついて、じろじろと探し始めた。

 懐中電灯の白い光の中には、何の光も浮かび上がっては来ない。

 キラッ☆と反射してくれないものかなあ……そんなことを思いながら、僕は根気よく懐中電灯で辺りを照らしていた。と、そのとき。

「おじさん、何か探してるの?」

 そんな頭上からの幼い声に振り向くと、そこには僕好みの幼い少女が戸惑いの表情を浮かべて僕のことを見下ろしていた。うん、ナイスアングル。見えそうで見えないベストショットだね! 時計を見る。ついでにベストショット幼女の服装を見る。それで僕は、色々なことを判断して声がけをした。


「あのさ、君お化けなら僕の電話探してくれない?」

こんばんは、連載的な話をいくつか思いついている遊月奈喩多です!

『僕が経験したチープな出会いの話』前編、楽しんでいただきましたか? それなりにライトな作風にしてみたつもりです。えぇ、それなりに。

ぬぅ、最近は仕事が忙しくなってきたのです。

無論それで書く手を止めたりはしませんけどね! ということで、これからの遊月にご期待下さいっ!

……作風と同じく、後書きもライトにしてみました。


ではではっ!

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