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2節
次の日。
山城は、瑞穂を家に置いて行き、電気街へと向かった。
だが、途中で面倒な奴と出会ってしまった。
「ちょっ・・・あんた!待ちなさいよ!」
彼女は天神川若菜。近所のお嬢様学校に通う二つ下の女の子。
先月助けてからというもの、ずっとこんな調子だ。
「昨日のあの女の子はどうしたのよ?」
山城はうげぇ見られてたのか、と呟いてから、
「家に置いてきた」
と答えた。
「あんた・・・警察でも来たらどうすんのよ!」
「あいつcomloidだから大丈夫なんだよ」
山城は適当に話を流し、駅へ向かった。
が。
「いい訳無いでしょ!」
彼女は山城に向かって叫んだ。
「comloidと言っても小さな女の子なんでしょ!?それに、あんたが何時捕まるか判んないんでしょ?なら!」
だが、山城は、叫び過ぎて少々息が上がっていた彼女の頭を撫で、こう言った。
「んじゃ、瑞穂の事頼んだぞ」
山城は、彼女の頬がほんのり赤くなっている事に全く気付いていない。
天神川自身も、突然の事に驚いていたが、少し嬉しかったのは言うまでも無い。




