1節
2055年、大阪市内。
彼・・・山城新は、自分は平凡な高校生だ。何も起きる筈がない。
マンガやアニメの主人公じゃあるまいし、そんなわけない。
と思っていた。
が、その思い込みが間違っていた事を今更思い知らされた。
夏休み初日。彼は夏休みに見るアニメを借りに行こうと家を出た。すると。
家の裏で、女の子が眠っていたのだ。
一瞬見間違いかと思ったが、そうでは無かった。
「色白で、金髪碧眼の女の子・・・人形じゃ、ないよな・・・」
こんなセリフ吐いている時点でアニメの主人公に憧れてるんだなと思い首を左右に激しく振る。
「あっ・・・あのぉ・・・ここで寝ると危ないですよ?」
と、彼は彼女の肩を叩きながら話しかける。すると、
「・・・ん?ロリっこいたから近づいてきたロリコンさんです?」
助けようとした人になんて口の聞き方なんだと彼は思った。
「ほんとーはどういうひとなの?」
と彼女が聞いてきた。
「あーっ・・・只の平凡な高校生です。」
「ほんと?」
「当たり前だ!」
少々アニオタっ気が入った高校生ですよ、と付け加えて彼は彼女に話し掛けた。
「ところで・・・あなたはどこから来たんでしょうか?」
すると彼女は、
「・・・どこだろ」
「分からないと自分も警察に突き出しづら」
「んじゃとめて!」
「・・・・・・え?」
相手は女の子だ。こんなところ誰かに見られて未成年誘拐なんかで捕まったりしたらお話にならない。かといって路頭に迷った人を助けないなんてできない・・・
と彼は考えていた。
(とりあえず名前だけでも聞いて・・・)
「あのー・・・お名前、なんて言うのかな?」
「・・・みずほ」
あんな気持ち悪い聞き方で答えてくれたのが凄いな、と変に感心しつつ続けた。
「そっかー!瑞穂ちゃんかー!」
「うん!みずほ!」
そして彼らは家に直行した。
・・・別に如何わしい意味は一つもないぞ。




