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拝啓、お日柄も良く、彼女麗し。

才色兼備な光がハマったのは夜の街でしか生きられない可愛い可愛い愛子ちゃん。蚊帳の外で見つめるしかない、自分、不甲斐ない。


初夏。何故か涼しい。

今日も凛とした表情で歩く彼女が目に留まる。平均的な身長にも関わらず存在感があるのは、彼女が平均よりもとんでもなく透明感溢れる白い肌を持っていることと、意思の強さを投影したような瞳を持っているからだろう。そのルックスを持ってしても、彼女は気取っておめかしするどころか、かえってそれを隠すようなボーイッシュなスタイルでいつも決めている。髪はミディアムで、白い肌と対象的に深い黒が際立つ。

また会いにいくのか、そう確信してため息をつく。自分は長いこと彼女に淡い恋心を抱いているが、残念ながらそれは彼女もであって、そして未だに彼女を振り向かせる方法を自分は見つけていない。

"いっそ女装でもしてみるか…"

などという阿呆の考えも幾度となく浮かんだが、それはうちの両親に顔向け出来ないのでやめておく。


彼女の向かう先は容易に想像出来た。

どうして彼女が1番最後の講義を取るのかも分かる。

彼女の後を追う。

ストーカーという言葉にまさか自分が縁があるとは思ってなかったが、とにかく、自分は彼女を追って電車へと乗り込むのが日課で、そして乗り込んだあとの彼女の行動が歯がゆい。

電車内で彼女はニット帽をリュックから取り出し深く被った。前髪だけだすそのスタイルは、どこからどう見ても美形の儚げな少年だった。

光は目を一瞬細めて、唇をギュッと噛み、窓の外を睨んだ。その睨む先は夜のネオンが派手な、夜にしか活気付かない街。

容易に想像出来た。

"こんな街から、あなたを解放させてあげるから、絶対に。"

そんなところだろう。


目的地に着くと光はすぐに電車から降りていつも以上の速歩きでとある店へと急ぐ。これが本当に速くて、はっきり言ってぜーはーする。一方彼女は涼しい、けれど何かを決心したようないい顔をして歩くのだった。綺麗だった。まるで生まれてから何も知らずに生きてきて、ただ一つ好きな女に全て捧げることを覚えたばかりのようないたいけな少年。


彼女は交差点を渡ると、あまり健全な児童にはよろしくない看板ばかりが立つ路地へ入っていく。柄の悪い三人組が小競り合いをしていたが彼女は全く気にしていないようだった。かという自分は、

「おい、てめぇ!何見てんだ殺られてぇーのか?!」

「…え、そんな、まさか、へへへ…」


尾行強制終了。


とにかく、自分しか今のところ把握していないこの三角関係に終わりは見えない。

光が好きだ。

光は愛子という人が好きだ。

愛子という人は、わからない。誰を好いているのか。(水商売をしている女の人の本気と遊びが自分には見分ける自信が全くない)




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