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mission1 黒い悪魔

突然の天変地異によって地球は洗い流された。その年を生き残った人間は「空白の1年」と呼ぶ。

それから復興に膨大な時間を費やしたが科学はまた進歩を続けさまざまな物を開発する、科学の革新•第五次産業革命。

これにより人間の第六感の解明、さらには様々な怪事件の解明にも繋がるある研究結果が世界を湧かせた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

闇夜に馴染む黒刀を片手に外灯の光を気にもせず歩く少年がいた。

まるでそこに光なんてないかのように。

「ちょっと君! 子供が……、なんだその刀は?! 」

異変に気づいた警察官と思われる男性が少年に声をかけた。

「雑魚は醜い(みにくい)

少年の刀が無造作に振るわれる、それはなんの抵抗も感じさせない動きで声をかけて来た男性を切り裂いた。

-平和ボケしているやつらが恐怖に怯える姿が目に浮かぶ-

刀の柄を握りしめる、同時に刀から禍々しい何かが溢れ出した。

「この刀の完成も近いナ」

***

千影(ちかげ)ぇ、そっちは片付いたか?」

佐久夜(さくや)は両手の科学革新後の技術を駆使し改良に改良を重ねた5インチ10mm口径の自動拳銃を下ろす。

数時間の戦闘を勝ち抜き太陽は地平線に沈んだ。周囲にある草原の上にころがる様々な形をした黒い塊を見ながら背後に気を配る。

「あぁ、もちろん! ついでにお前みたいにバテてねぇ」

佐久夜(さくや)は千影の挑発的な癇に障る(かんにさわる)言葉を気にもせず周囲を観察する。

「場所変えっぞ」

「あぁ……」

千影は光を吸収するかのような漆黒の刀をしまい草原から住宅街を目指し歩き出す。

「なんなんだよ、あの黒い生き物」

千影がいらだちを抑えながら口を開いた。

「前回の仕事のせいとか? 警察(サツ)が回したやつとか」

「サツはこんな化けもんつかわねぇだろ……。 暇潰しの泥棒(いたずら)とはいえ殺されるのはごめんだ、ましてやまだ2回しか盗みやってねぇし。最初は母校の成績表、次に宝石店「コウセキ」の一押し商品。命狙われるのは早すぎじゃね?スリルあっていいけど」

「いや、3回だ。俺のこの銃、マニアから拝借してきた」

佐久夜が銃を誇らしげに掲げた。

「っにしてもおかしい。恨まれる記憶もないし」

「よく言うよ、あんだけ憎まれ口たたいときながら……」

不意に前方の家と家の間の暗闇から足音がきこえてきた、と次の瞬間周囲の建物が音を立てて崩れた。

「みぃつけた。真夜中ミッドナイトの所持者ならもう少し緊張感をもってほしいですですネ。殺しますよ?」

2人に近づく足音が大きくなるにつれそれが少年ということに気づく。

「誰だ!!」

千影が刀を握りしめ叫ぶ。

「僕の……。その刀は未完全だ、完全体には2つ

君には足りないものがあル」

「千影ぇ、意味分かんねぇよ」

「俺に何が足りないってんだよ」

「1つだけ教えてやる。第六感、これが開花しない限り無理ダ」

「は?」

玲也れいや、説明をどうゾ」

少年の後ろから別の少年が現れた。

「第六感、"空白の1年"前までは自殺または事故として処理されていた事件が科学革新によって第六感の存在が証明されてからはこれまでの事件のほとんどが第六感によるものだとわかった。」

「っ! 急にでてきてベラベラと」

「それで?」

千影が珍しく落ち着いた口調で問う。

「君の刀が欲しい」

「一応家宝なんだ、そう簡単には譲れない」

「だったら力ずくで奪ウ」

少年が地面を蹴る。闇に紛れていて気づかなかった黒刀が振るわれる。それを千影はなんとか受け流しバックステップで間合いをとる。そこで後方から佐久夜の銃から数発の銃弾が放たれる、が少年の身軽な動きによってかわされる。

「邪魔っ!」

少年の声と同時に手が突き出されその手の動きに合わせて佐久夜が地面に叩きつけられる。

「うぅぅ……」

「第六感、空歪(トウィスト)

玲也と呼ばれていた少年が囁いた。

「第六感……、反則だろ」

千影が恐怖に怯えているのが見て取れる。すると佐久夜が乱れた息を無理やり抑え声を発した。

「俺はこの世界が嫌いで、平和ばっかで。それでいろいろあってサツに追われてた。そんとき千影が一緒に逃げてくれた、すっげぇ嬉しかった! その後、暇潰しに盗みやって人助けしようって話になって……。人生めちゃくちゃだよ!! でも、そんな厄介事に飛び込んできた、バカでムカつく千影が羨ましい……。この世界、それと千影を苦しめるお前っ! 糞くらえ! 千影っ、逃げろ!」

目に涙を浮かべた千影は強がる素振りを見せる。

「一緒だ……」

かすれた声で呟く。

「えっ?」

「どうなったとしても一緒だバカヤロォ」

風が2人の心を撫でる。

「友情は終わった? 僕も舐められたもんだね。絶対に逃げれない……」

ガッッ

少年を後ろから何かが掴んだようだ

「っ! 薬の効果が切れたか。お前は僕の人形でいればいいんだよ!」

少年は身動きをとれずもがいている。

「お前っ。ありがとう、玲也!」

2人はなんとかその場を逃げることができた。

その後数分間走り、橋の下で休憩をとることにした。

「ハァハァ。なんで……。死にたくねぇよ」

「千影に弱音吐かれちゃ」

「ごめんな。今度は俺が……」

「これでおあいこだ、なっ?」

「おぅ」

「で、これからどうする?」

「仲間が欲しい、数人でいいから。技術者と戦えるやつ。あと、絶対に玲也を仲間にしてやる!」

「だな!まっ、今日はここで……。うぉ、雨だ。じゃあ決定な、今日はここで寝る」

「ありがとう……」

苦しみの後の雨は心に溶け込み和ませた。

『ありがとう』

***

「第六感……」

千影は昨日の事を思いだす。周りはまだ薄暗い、が寝ようにも興奮がおさまらなかったのだ。

先程からパトカーのサイレンが聞こえるが千影は「見つかったら逃げよう」と考え逃げようとはしなかった。

「なぁ……」

「佐久夜、起きてたのか」

微動だにせず口だけを動かし喋る。

「お前の独り言とサイレンで目が覚めた」

「あぁ、わりぃい」

「俺たちも第六感、開花したらすげーって思わね?」

「何もかも解決するよな、そうなったら」

「だからさっ、それには情報がいる。だったら貸してもらおうぜ、情報」

「盗みか……。俺、考えたんだわ。いつか盗みをちゃらにできるくらいのいい事をしたい」

「えっ……?」

「いいよ、やろ!」

「じゃあ、9時に科学博物館「ユメ」の正門に集合な」

そう言い終わると佐久夜はおもむろに立ち上がった。

「なにすんの?」

「後で教えてやるから、お前は独り言の続きでもしてな」

佐久夜はどこかに歩き去ってしまった。

パンッ パンッ パンッ

橋の上から突然、発砲音が聞こえた。佐久夜の銃だ

千影は一緒嫌な予感に身構えた、とポケットに違和感を感じ手を入れた。そこには一枚の紙切れが入っていてそれに佐久夜の字で「よろしく&頑張れ」と書いてあった。

「囮にされた……」

次第にサイレンの音が近づいてくる。

「おい、ここら辺から発砲音が聞こえなかったか?」

「あぁ、下だ! 下を探せ!」

『やっべぇ、もう来やがった』

千影は警察の降りてくる逆の方から橋に飛び上がり昨日の現場を背に全速力で走った。しかし一旦止んだサイレンが自分の方に近づいてくるのに気づく。住宅街の細い路地に駆け込みパトカーでの追跡を妨害する。

体を横にして路地を通り抜け階段を飛び降りる、壁を蹴り上に移動し屋根の上を走る。とにかく走る。足場が途切れ仕方なく地面に飛び降りる。そこは昨日のあの場所だった、どうやら知らない間に来てしまったようだ。

そこには大勢の警察官がいた。

「おっ、お前!」

「俺も少しは顔知られてるんだ」

だが、今回はそんなのんきな事は言っていられないようで数十人の警官は最新の電流を流した警棒を構えていた。犯罪歴と武器のせいだ、だが幸いにも銃は持っていないようなので悪くても即死はないだろう。

「嬉しくはないけどな……もっと楽しみたかったなぁ。佐久夜との待ち合わせ、ドタキャンか」

そこにはやけに落ち着いた自分がいた。

「黒神千影! 武器を置いておとなしく……」

言葉を言いきる終わることなく警官は前のめりに倒れた。

たいした外傷はない。

「えっ?!」

周囲からも同様の反応が見てとれる。

一同に緊張が走る、空気が生暖かい。気のせい? 何かの気配を感じる、その気配は俊敏に動き千影の感覚を混乱させる。

「誰だ!!」

叫んでみる、宛てはあいまいだ。

「ちょっと待て」

っ!! 返事が返ってきた?声は暖かく、そして落ち着いていた。

突然の出来事に理性が乱れる、がそのなかでも冷静な部分があることに気づく。

『警官が倒れてる……』

人間の海、また一人また一人と警官は倒れていき狭い道は倒れた警官で埋めつくされようとしていた。

「お待たせ」

「お前は……」

そこには身長は普通だが見るからに身軽そうな少年が警官を踏み台に立っていた。


お疲れ様です!!


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