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知ってたんだけど……婚約者の愛が重すぎる

作者: 美甘

初めて投稿です。

よろしくお願いします!

「おはよう。スノウ」

美しい微笑みとともに朝の挨拶をしてくれたのは、私の婚約者であるレイン様。


「おはよう。レイン様」

私も微笑みを浮かべて挨拶をする。


ここはサニーライト学園。国の中でも魔法に才のある者たちが集まる学園だ。その学園の中でもトップクラスの魔力があるレイン様と私は親同士の取り決めで婚約をした。


「わー!レイン様よ!」

「やっぱりかっこいいわね」

「しかも魔力が強くて、賢いのでしょう?」

「完璧すぎるー」


美形でトップクラスの魔力を持っている上に勉強までできてしまう私の婚約者様は、女子にとてつもなく人気がある。


普通こういう時、婚約者はクラスメイトからいじめられるのが恋愛小説の鉄板だと思うのだけれど……


「って、スノウ様と一緒にいらっしゃったのね」

「邪魔してはいけないわ」

「教室に行きましょう」

「そうね」


そんな小説のようなことはなかった。


「ねえ、聞いてる?スノウ」

「あ、ごめんなさい。聞いていなかったわ。もう一度言ってくださる?」


ついつい考えてたらレインの話を聞いていなかったみたい。


「うん。今日、私の家に来てくれる?

 ーー大事な話があるから」


「分かったわ」


珍しいわね……

学園で二人で過ごすことは多いけれど、あまりお互いの家へ行くことはないから、ちょっと楽しみ。

だけど、大事な話ってなんだろう?


♡♡♡


私の婚約者は可愛いすぎる。

今も私と向かい合わせで座って、テーブルの上のスイーツに目を輝かせている。


いつも、学園では一緒に過ごすことが多いが、少々男子生徒の目が気になる。

この前だって……




「ねえ、あそこにいるのって、スノウさんだよな?」

「ほんとだ。やっぱり美人だよな」

「しかも魔力が強い上に賢いんだろ。彼女にしたい」


男子生徒が庭園の花に水をやっている彼女を見ながらそんなことを言っていた。

その時、近くを歩いていた私は足を止め、彼女を見た。サラサラの白い髪を揺らし、花に水をやっている姿はとても美しかった。


うん。モテても仕方がない。だってスノウだから。何をしてもかわいいに決まっている。分かっている。

分かっているけど……


「スノウ」

「あら、レイン様。ごきげんよう」


私が近寄り、声をかけると彼女は花が開くように笑った。

私も微笑み、彼女の腰をひいて自分の方へ引き寄せた。


「レ、レイン様……?」


戸惑ったように、少し照れたように私を見る彼女。


かわいい……


スノウに見とれていた男たちに見せつけるように、私は彼女の頭を撫でた。


「いつも偉いね。お花たちもスノウに水を貰えて喜んでいるよ。」


そう言うと、彼女は嬉しそうにまた微笑む。


「そうでしょうか……。お花たちもレイン様に見に来てもらえて喜んでいると思います」


女神かと思うほどの美しい微笑みを見せられて、落ち着かない自分の心を落ち着かせるために、私はスノウを見つめた。


「私は、スノウを見に来たんだけどね?」

「ご冗談を。でも嬉しいわ」


からかったと思ったのだろう。本当のことなのだが……

まあいい。このやりとりを聞いていた男どもはよく分かっただろうから。


「本当だよ?もうちょっと一緒にいたいところだけど時間だから行かないと。理事長に呼ばれているんだ」

「まあ、お父様が。いってらっしゃい」

「ああ、行ってくるよ」


私はスノウの頭をもう一度撫でてから、理事長室へと歩きだした。


スノウが私を見送り、花へとまた視線を戻した時、さっきまでスノウに見とれていた男たちの側へ行って静かに耳打ちした。


「もう二度と、スノウを彼女にしたいなんてバカなこと言わないでね?ーー俺、罪人にはなりたくないんだ」


俺がそう言うとバカな奴らはガタガタ震えてうなづいた。


「いい判断だね?今日は物分かりのいいやつで良かったよ」


そう言い、理事長室へと向かった。




ほんと、私の婚約者って罪だよね。

今もどうやったら私とスノウだけの世界にならないかなって、必死に考えているのに。


大好きな彼女は、私が考えていることも知らずに美味しそうにケーキを食べている。


「ねえ。スノウ」

「何でしょう?」

「学園を卒業したら、結婚しよう?」


私がそう言うと彼女は笑った。


「もちろんいいわよ?」

「ほんとに?」

「ほんとよ。大事な話ってそのこと?」


本当、物分かりが良くて、でも鈍感なところも大好き。


「ああ。こんなに早く返事をもらえると思ってなかったから……嬉しい」

「好きなんだから、あたりまえよ」


もう、どうしてそう私が欲しい言葉がわかるのかな……


「私の方がきっと好きだよスノウ。大好き」

「ふふっ。何それ」

「本当だよ?」


私が何を言っても彼女だったら受け入れてくれるだろう。

きっと……ね……?


♡♡♡


学園を卒業したら結婚、か……

あと三か月で夫婦になるのね。レイン様と……

嬉しい。


婚約する前、私とレイン様は出会ったことがあった。

あれは、まだ学園に入学する前だったかな……




「あの方がレイナルド家のレイン様だよ。ちょうどスノウと同い年らしい」


もともと私の家・スノーフレル家とレイン様の家・レイナルド家はつながりがあった。

レイン様の10歳のお誕生日パーティーに私も招待され、参加した。


「そうなんだ」


お父様にそう教えてもらったけれど、その時、まだレイン様と話したこともなかったので、特に何も思っていなかった。


「レイン様!お誕生日おめでとうございます!」

「おめでとうございます!」


綺麗なお顔を持っているレイン様はモテていると有名で、その日も同い年の女の子がレイン様の所へ集まっていたけれど、その中にまじることも面倒だと思った私は、後で祝いの言葉を言おうと思い、庭に出た。


「わあ、綺麗なお花!」


レイン様のお屋敷の庭には私の大好きなスノードロップがたくさん咲いていて美しかった。


「そう言ってもらえてお花もきっと喜んでいるよ」


え……?


ふりかえると今日の主役であるレイン様がいた。


「お誕生日おめでとうございます。レイン様」

「ありがとう」


慌ててそう言うとレイン様はクスッと笑った。

私に近づいてきて手を差し出す。

その手にはスノードロップが握られていた。


「え……?」

「これあげる。好きそうに見てたから」

「ありがとうございます」


今日の主役の人にもらっても良いのだろうかと思ったが、ありがたくもらうことにした。


「初めて話すね。名前なんていうの?」


レイン様は優しい人だった。

自分の誕生日だというのに、パーティーに参加している人全員に話しかけていたらしい。


「そうなんだ。じゃあサニーライト学園に入学する予定なんだ」

「まあ、あと二年もありますけどね」

「私もそこにしようかなあ」


短い時間だったけど、レイン様と一緒に話をするのは楽しかった。


たぶんこの日、私はレイン様に恋をした。

次の日もその次の日も頭の中にはレイン様で埋め尽くされていて、初めての感覚に私は最初戸惑った。


後に、恋愛小説をよく読むようになり、これは恋というものなのかと知った。


私もそこにしようかなと言っていたレイン様の言葉を思い出し、正直まだ迷っていたサニーライト学園に入学することを決めた。




思い出すと懐かしいなあ。


学園でレイン様を見かけた時、嬉しくて嬉しくて。

会っていない間に好きが大きくなりすぎて。

お父様に頼み込んで学園で魔力がトップクラスだからという理由で婚約してもらったけ。


「私の方がきっと好きだよスノウ。大好き」

「ふふっ。何ですか、それ」

「本当だよ?」


ケーキを頬張りながら、優雅に紅茶を飲むレイン様を見つめ、私は思う。


レイン様、絶対私の方が好きですよ?

だって、レイン様の横に立つためなら私、なんでもできましたから。


レイン様なら、全部知っても受け入れてくれますよね……?


♡♡


数日後……



「レイン様、好きなんです。だから……っ」

「ごめんね。私、婚約者がいるんだ」


またか……

あの子はまあ、すぐ断られたし、何もしなくても問題ないかな。


私はレイン様が大好き。だから私はレイン様が私のことしか考えられないくらい私が好きになるように頑張った。


正直、大変だった。レイン様はモテモテだし、誰にでも優しいから。


「レイン様っ……おはようございます」


今日も告白されたレイン様に偶然を装って出会い、さりげなく腕を絡めた。


「今日もいい天気ですね」


よくある言葉だけれど、レイン様はこういうのが好き。


「そうだね。今日もかわいいよ?スノウは」


私の予想通り、私が一番欲しい言葉をくれるレイン様。


「っそんなこと……」


わざとらしいかもだけど、照れたように私は顔を赤くさせ、レイン様を見つめた。

もちろん上目遣いで。


「レイン様もかっこいいです」


でも、すぐに私は完璧な微笑みをつくる。

そうしたら、レイン様はもっと私の照れたところを見たくなるから。


「そう?スノウに言われるのが一番嬉しいな」


私の頬に手を置き、微笑んでくれるレイン様。


好き……


ああ。私だけの、私だけが大好きな婚約者様。

レイン様。分かっていますか?

もう私、あなたがいないと生きていけないの。


♡♡♡


「レイン様、好きなんです。だから……っ」

「ごめんね。私、婚約者がいるんだ」


いつものように言われる前に断ると、女子生徒は悲しそうにする。


あたりまえかもしれない。言う前に断られるなんて、と思うだろう。


でも私は、言われる前に断らなければいけない。

なぜって?

私は知っているからだ。

ーースノウが私のことを、私たちのやりとりを見ていることを。


スノウのことだから、私に告白した人、誰でも地獄を見せるだろう。

私が返事に迷ったら、なおさら。

スノウは私が大好きだから。


ーーまあ、そうなるように仕向けたのは、俺なんだけど。


「レイン様っ……おはようございます」


スノウは、女子生徒の側から離れてしばらく経った後、偶然出会ったように私を見つけ、さりげなく腕を絡めてきた。


「今日もいい天気ですね」


スノウは私の好みを知っているから、私の好む言葉をいつでも投げかけてくれる。


「そうだね。今日もかわいいよ?スノウは」


その分、私はスノウがもっと私から離れられなくなるように愛を囁く。


「っそんなこと……」


わざとらしいくらい照れたように顔を赤くさせ、上目遣いで私を見つめてくるスノウは、本当にかわいい。


「レイン様もかっこいいです」


でもすぐに完璧な微笑みをつくる彼女は策士者である。私がもっとスノウの照れたところを見たくなるように。もっとスノウを愛すように。


「そう?スノウに言われるのが一番嬉しいな」


でも、ごめんね?


私は彼女の頬を手でさらりと撫でる。


きっとこの愛情は、半分以上黒く染まっているだろう。スノウが大好きすぎる分、嫉妬心も大きいから。



男子生徒の目に触れないで欲しい。

学園で大勢の前に姿を現さないで欲しい。

そんなこと無理があるっていうのは分かっている。

でもね。

スノウは私だけを見ていたらいいんだ。

他は何も考えなくていい。


ああ。あと三か月でやっと。やっと私のものになる。

はやく私の形にして、スノウの全てを愛したい。



重いだろうけど、いいよね?

だってスノウは俺のこと、大好きだから。

俺がスノウを愛しているから。



♡♡♡



知ってるよ……?

私、全部知ってるの。


私に告白した男子生徒は全員、学園を退学させられているし、レイン様は私をずっと見てる。


普通なら重いって思うんだろうなあ。普通なら。

でも、私普通じゃないから。それが嬉しいの。

きっと私が計算して物事を進めているのも分かってるんでしょう?レイン様。

気づかないほど、私もバカじゃないんだ。


レイン様はきっと、私と結婚したら、この考えていることも全部、まるごと私を愛してくれる。


だからね。私大好きなんだ、レイン様が。


大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き。


だから。

これからも、私を愛してね?

大好きな私のレイン様。


最後まで読んでくださりありがとうございました。

よければ評価、リアクションをしていただけると、とても嬉しいです(^^)

感想もぜひぜひお待ちしています!

よろしくお願いします。



序盤の方、レインが男子生徒に

「もう二度と、スノウを彼女にしたいなんてバカなこと言わないでね?ーー俺、罪人にはなりたくないんだ」

と言いましたが、スノウはそれをバッチリ聞きいていて、レインが自分のために怒っていることに喜んでいます。もちろん、その事をレインは知っています。

……どっちも私は大好き♡


ところでスノードロップの花言葉は調べましたか?

怖い方を調べてみてください。

「永遠に一緒にいるために……」

この意味を知った時、このタイトルの本当の意味が分かると思います。


※これは物語です

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