表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空と大地の虹物語  作者: スズヨシ リュウ
序章 - 追われる少女**
2/20

第1章 キラと虹の力

 朝日が水平線から顔を覗かせる頃、空島セチエンの空は早くも七色に輝いていた。キラ・セチエンは工房の屋根に立ち、目を細めて空を見上げた。彼の足元には、自作の飛行具「カイト」が虹色の光を受けてきらめいている。


 「今日はいい風だな。」

 自信に満ちた声を漏らすと、キラは軽やかにカイトに飛び乗った。魔法と技術を融合させたその乗り物は、虹光の力を動力にして空を滑空する特別な装置だった。


 彼はカイトの操縦桿を握り、足元に備え付けられた虹光石を軽く叩く。「赤」の光が淡く輝き、装置が生み出した熱風がカイトをふわりと浮かせる。


 「よし、行くぞ!」

 風を切る音が響き、カイトは一気に空へと駆け上がった。


 空に浮かぶ虹の弧が近づくにつれ、キラは操縦桿を微調整しながら高度を保った。虹の中に入ると、周囲は鮮やかな七色の光に包まれ、空気が心地よく震える。


 キラは虹の力の流れを図るゴーグルをつけ、カイトの虹光収集装置を作動させ、ると、虹光を吸い込むように装置が輝き始めた。キラは慣れた手つきで操縦桿を操作しながら、周囲の虹光の流れを目で追う。


 「赤、確保。次は橙だな……」

 虹光を集める作業は単純ではない。色ごとに違う動き方をする光の粒子を見極め、適切なタイミングで装置に取り込む必要がある。


 「ほら、こっちだ!」

 キラは橙の光を追いかけるようにカイトを急旋回させた。虹の光が尾を引くように輝き、彼の視界に無限の色彩が広がる。その景色に、彼は思わず笑みをこぼした。


 光を一通り集め終わると、キラはカイトをゆっくりと旋回させながら空の広がりを見渡した。眼下には他の空島が小さな点のように浮かんでいる。雲の海が広がり、その上にぽっかりと浮かぶ空島群。その光景は、いつ見ても彼の胸を高鳴らせるものだった。


 「やっぱり、空はいいな……」

 キラは深呼吸して、吸い込む空気に微かに虹の香りを感じ取る。この世界がどれだけ広くても、やはり空にいると心が自由になる気がした。


 しかし、その自由の中で、彼の思考はいつも同じ場所へとたどり着く。


 「大地って、どんな場所なんだろう?」

 カイトを滑空させながら、彼は工房に置かれた父のノートのことを思い出していた。「七つの光が空と大地を繋ぐ鍵となる。」その言葉の意味を、彼はまだ完全に理解できていない。しかし、心の奥底では、その真実を確かめたいという衝動が燻っている。


 工房に戻ると、キラは収集した虹光を光石に加工する作業に取り掛かった。カイトの搭載装置が取り込んだ光を分離し、専用グローブから自分の力を流し込み、加工していく。七色の光石が次々と完成するたびに、彼の顔に満足げな笑みが浮かぶ。


 「これで今日の分は終わりだな。」

 光石を箱に詰め、ひと息ついたキラの視線が、工房の隅に置かれた古びた木箱に吸い寄せられる。


 箱には、父が遺した研究資料が収められていた。空島の人々にとっては謎に満ちた言葉――「大地」。キラはノートを開き、そこに描かれた広大な平野や山脈の絵を見つめる。


 「もし、本当にどこまでも続く場所があるなら……」

 彼は絵を見ながら、自分がその地に立つ姿を想像した。どこまでも広がる土地を駆ける風、足元の確かな感触。それを思い浮かべるだけで、胸が高鳴る。


 父が追い求めた「大地」の謎。それを解き明かすことが、自分に何をもたらすのかはわからない。それでも、キラにはその先に進むべき理由があると信じていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ