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やくもあやかし物語・2  作者: 武者走走九郎or大橋むつお
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043『ヴォルフガング・フォン・ナザニエル卿・2』

やくもあやかし物語 2


043『ヴォルフガング・フォン・ナザニエル卿・2』 






 ナザニエルとナサニエル……どう違うんだろう?



 祖父と孫だから同じ一族だと思うんだけど『ザ』と『サ』が違う。


 もっと細かくいうと『‶』があるかないかだけの違い。


 祖父というんだから、血のつながりがあるわけで、それは、顔つきやエルフ独特の長い耳でも分かった。


 手紙を読んだ時のネルの驚きとうろたえぶりを見ると、すこしためらわれたけど、聞いておかなきゃと思った。



「日本語だと『‶』があるかないかだけだろうけど、横文字で書くと『Nathaniel 』と『NaZaniel 』、違うだろ」


 ネルは、メモ魔法で浴槽の湯気を文字に変えて示してくれる。


 あ、今はお風呂に入ってるんだよ。


 今日は福の湯の掃除当番にあたっていたし、しまい風呂に入って、浴槽以外を掃除してから湯船に浸かる。そうすると、ゆっくりお湯に浸かった後、ザザっと湯船の掃除だけで済むからね。


「どう違うの?」


「『NaZaniel 』の方が、本当の苗字なんだ」


 そう言うと、湯気の『NaZaniel 』が『Nathaniel』の三倍くらいに大きくなった。


「うちのお父さんは長男だったけど、お祖父ちゃんや一族の反対押し切って結婚しちまったから『NaZaniel 』は名乗れなかったんだ」


「それで『Nathaniel』なの?」


「うん、日本の将軍て『徳川』だろ?」


「あ、うん。他にも御三家とかが徳川だけどね」


「将軍から枝分かれしたのは『松平』って呼ばれるだろ」


「あ、うん」


 松平っていうのは徳川の旧姓で、徳川よりも一段低い。


「その『松平』に似てるかなぁ……でも、立場はもっと低い。お父さん死んでから、いっそうひどくなってさ……この学校に来たのも……まあ、そういうわけさ」


「あ、えと……でも、ちゃんと手紙とかくれたんでしょ?」


「ああ、あれなぁ……」


 ネルが湯気文字を消すと『親愛なる我が孫娘コーネリア・ナサニエルへ』という手紙が現れた。ネルが読むなりベッドに座ったまま飛び上がった、あの手紙だ。


「親愛なる我が孫娘って、なんだか優しいじゃない(^_^;)」


「それは、ただの慣用句。中身はこれだよ……」


 

――今度、そっちの学校に行く。顔を洗って待っていろ!――



「え……ええ!?」


 あんまりビックリして、湯船を掃除するのも忘れて部屋に戻ってしまったよ(-_-;)。


 



☆彡主な登場人物 


やくも        斎藤やくも ヤマセンブルグ王立民俗学校一年生

ネル         コーネリア・ナサニエル やくものルームメイト エルフ

ヨリコ王女      ヤマセンブルグ王立民俗学学校総裁

ソフィー       ソフィア・ヒギンズ 魔法学講師

メグ・キャリバーン  教頭先生

カーナボン卿     校長先生

酒井 詩       コトハ 聴講生

同級生たち      アーデルハイド メイソン・ヒル オリビア・トンプソン ロージー・エドワーズ

先生たち       マッコイ(言語学) ソミア(変換魔法)

あやかしたち     デラシネ 六条御息所 ティターニア オーベロン 三方 少彦名

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