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02〈女王のカガミ〉


と、とんでもない言葉がヘナールのトゥルントゥルンな唇から出たような…

いや……ただの異国語で、たまたま日本語の危ない言葉と発音が一緒とかか?

きっとそう…そうだと信じたい…!てかそうであってくれ!!



「は、はは…そうかァ…@、“自主規制”……ねェ」



オレの知る言葉と発音が一緒なだけとはいえ…

これで呼ぶのは流石に嫌すぎる。



「う〜ん…なんだかヘナールって呼びたい気分だなァ〜。それでも、いいかァ?」



違和感のないように…自然体に…!!



「マイセス様が…私の…名を……?」

「ホラやっぱり、名前のほうが親近感湧くだろ?主従関係ではあるけどさ!」

「…………」



「う…うれ……しいです……っ」



ヘナールは、瞳に涙をにじませ顔を真っ赤にしてはにかんでいた



「ヒュッッッッッッッ…………」



いや………は?


オレが名前を呼んだだけで、そんな顔する?


一体なにがそんなに嬉しい?このマイセスだぞ…!?


タン砂のサブストーリーで召使の辞職ラッシュイベントがあったくらい…


召使にとってはクソすぎた主人じゃないのかよ!?



「ヘ…ヘナール…」

「はい、何でしょう!?」



名前を呼びかけるたび、ヘナールはたいそう嬉しそうに返事をする

その姿はまるで…呼んだら尻尾をブン回して駆け寄ってくる犬のようだった



「オレは…酷い主人だっただろ?」

「……どうしたんですか?突然そんなこと…」

「いや…今までの自分を客観視してみた結果さ…」



タン砂のキャラに関してはカードの性能以外まともに記憶してないから、

物語上のマイセスがどれだけクソ男かは正直なところ分からない

だが悪役なわけだしイイヤツなわけがないのは確かだ



「あ、マイセス様。食欲はございますか?朝食をお持ち致しますが」

「食欲……ああ…貰おうかな」

「…かしこまりました!では少々お待ち下さいませ!」



ヘナールは上品にオレに一礼し、部屋を出ていった

……まったく、ほんとに不思議な男だよ。

にしてもヘナールのビジュアル…メインキャラでもおかしくないよなァ

攻略相手の男たちは際立つようにめちゃくちゃイケメンだったけど

ヘナールも全くあいつらの顔に劣ってない…

もしかして隠れ攻略相手だったりするのか〜〜??



ふとオレはもう一度鏡を見た

…マイセスもそこそこイケメンだよな。悪そうな顔ではあるが

誰もいない事をいいことに、カッコつけたポーズを取ってみる

うーん…やはり顔が良いと何をしても許されるってこういうことか

前世のオレの姿だったら自分でも吐き気を催すくらい許されたものじゃない



「この顔なら主人公の恋路なんか邪魔しなくったってそこらの女の子と遊び放題だろ。フフン」

「お待たせいたしま…」



とっておきのポーズをしたのち、……ヘナールに見られてしまった



「………オ゛ッ…」

「マイセス様…」

「いや違う、違う!決して自分の顔に見惚れてたとかじゃないぞヘナール!

目にゴミが入ってそれを見てただけで!!」



うっ…つい焦って言い訳してしまった…ッ!



「……フフ、ご安心ください。マイセス様ほどのお顔なら、自惚れない方がおかしいですよ。

あなた様のお顔が…世界で一番お美しいのですから」

「ヘァッッッ………」



爽やかな笑顔で、こっ恥ずかしいセリフを並べるヘナール…

なんなんだ、オマエは……白雪姫に出てくるあの鏡か!?



────To Be Continued…

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