特異点
「おい起きろ。起きろって!!!!!」
なんだか身体を揺さぶられている感覚がある。
いや、そんなことはありえないだろう。ここは5年近く誰も来ていない俺だけの城だ。
なんだか声が聞こえるきもするが、アニメでもつけっぱなしで寝ていたのであろう。
せっかく酒のんで気持ちよく寝たのだ。そんなかんたんに起きてしまってはもったいない。
「アスカ!まずいんだって、早く起きろよ!」
自分の名前を呼ばれたことに驚いた俺は飛び起きてしまった。
せっかく気分が良かったが、まぁ想定外のことが起こってしまったのだから仕方がないだろう。
「エレキング? え?お前変わんねぇなぁ。どうしたんだ」
驚いた。驚天動地とはまさにこのことである。
中学時代の友人が、当時のままの姿で目の前にいるのだから。
部屋に鍵はかけていたはずなのだが、それ以上に当時の友人に会えたことに驚いた。
彼、橋本は特撮が好きで怪獣のあだ名を付けられていたな・・・ 懐かしい。
「何寝ぼけてんだ。さっきまで体育の授業してただろうが。そしたらまわりが真っ暗になって、俺も今気がついたんだが、俺達40人全員わけわからねぇ部屋に閉じ込められてるんだよ」
お前以外は全員起きたと言わんばかりに見渡すと、たしかに中学の同級生が全員いるようだった。
赤い絨毯、高そうな家具、これほど広いスペースはそんなにないだろう。
貸し会議室というよりホテルの会議スペースでも借りないと厳しいであろう大きさだ。
「いやちょっと待ってくれ、みんな若いな。成人式で会ったときより若い気がする」
「お前本当に大丈夫か。中学生が成人式とか言ってる場合じゃないんだって。変な妄想してないでお前も話し合いに参加してくれ」
中学生?わけがわからない・・・ そう思いながら現状がどこかもわからない。そんな状況で団体の和を乱すのも良くないだろう。
俺は話し合いをしている中心地へと足を向けるのだった