夢乃夢子の夢
楽しんでくださいね
私は夢乃夢子。
どこでもいる女子高生です。
勉強したり、友達と遊んだりする、ありきたりな生活を送っています。
一般人で特技などないんですが、ある夢を目指しています。
その夢が叶う日まで、毎日、歩き回って様々な人と出会うようにしています。
今日どんな人に会えるでしょうかね。
夏の日差しを浴びながら、家の近くで散歩している私はさっそく一人目に会えました。
「僕はヒーローになりたい!...でも、友達が無理とかばかばかしいとか言っている。僕はなれるのかな...」とある公園で叫び出した少年でした。
「バカのことなんてないですよ」と私は声をかけました。
「お姉さん...」
「人を助ける決心を保ちさえすれば、いつか君は最大のヒーローになれると、お姉さんは信じますよ」
「ほんとうに...?」
「本当、本当。さぁ、元気になって。人の笑顔を守る前に、ひとまず自分の笑顔を持って行きなさい。期待していますよ、ヒーローさん」
「わかった。僕、元気になる。そして、皆の笑顔を守る、最大のヒーローになって見せる。お姉さん、待っててね!」と宣言して、生き生きと去っていく。
「うん、待っていますよ」
本当に可愛い夢でしたわ。
よっし、この調子で進んでいきますよ!
機嫌がよく、鼻歌まじりで私はある高校を通りかかりました。
「はぁ...、人を楽しめるユーチューバーって、将来がないかな...」と溜息を吐き、学校のゲートからだらだらと出た、同僚の女子高生でした。
「あなたが望む、理想の仕事だとしたら、きっと大丈夫ですよ!」
「だれ、あなた?いや、それより大丈夫って本当かな...先生がダメだと言ったし」
「本当、本当。さぁ、本音に素直になって。将来があるかどうかより、今はやりたいかどうかでしょう?」
「...そうなのかな」
「そうです。そういうあなたを応援する人が沢山いると信じます」
「あなたは...みてくれる?」
「それは頑張るあなた次第かもね」
「...わかった。頑張ってみます。ありがとう」と頬をかすかな赤さに染めて、彼女は言いました。
「はい。頑張ってくださいね。それでは」
ユーチューバー希望の女子高生から、私は少しずつ遠ざかっていきました。
彼女の将来、お楽しみ!
次はどんな夢でしょうか。
「やっぱり、わしにはもう遅いじゃの...FPSゲームのプロって」と凹むお年寄りがいました。
あらあら、予想外の発言でしたわ。
予想外ですけれども、素敵な夢だと思います。
「私は遅いなんてと思いません。爺さんはFPSがきっとやれるんです」
「おや、町をよく回るお嬢ちゃんではないじゃ。最近、現代子向けのゲームってどんどん出ているじゃ?わしも若者たちに混じって、ゲームを楽しみたいのじゃが、昨日悪口されたさ。この小さな、わしの願望を叶えてくれないのか、神様よ」
「爺さんはきっと素晴らしいプロゲーマーになれると信じます。肉体が老いても、精神は老いません。やりたいことがあったら、最後まで追求すべきだと思います。ある偉大な人は言いました。『わが生涯に一片の悔いなし』って。私も、この人の言葉に従って、毎日楽しく生きています」
「ほー、いいこと言ったの、その人。わかった、わしは頑張る。わしの眩んだ目を開いてくれて、ありがとうな、お嬢ちゃん」
「いいえ、大げさです、そんなこと」
素敵な方でしたわ。
年齢をどんなに重ねても挑戦する姿勢を持つ人がいて、心強いですね。
よっし、前に進みましょう、私。
「待って!」
「あっ、ユーチューバー希望、さっきの女子高生。どうされましたか」
「私、もう一つあるの。したい事が」
「へえ、ぜひ聞きたいですわ」
「あの、...」
「うん?」
「あのね...」
「いつでもどうぞ」
「あなたのそばにいさせて!!!」
「はい...?」
その夜、彼女の願望にどう答えるべきか、私は寝られませんでした。
というわけで、画面の向こうにいるあなたよ。
心底に潜めている夢を言ってご覧なさい。私、聞いてあげます。
僕も定期的な投稿を頑張るわ