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ガンナー異世界冒険記  作者: Mobyus
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第85話

 飲食店の中の空気は凍り付いている。クラムの町の人間が脱税している、と領主が言ったのだ。


 グリシア鋼の精製はギルドが仕切っていたが、最終的にはクラムも販売の面で関わっていたのだ。そしてグリシア鋼の売却の際に商人から受け取った分の税を過少に報告した、ということだ。


「トビアス、何か言うことは」

「...申し訳ありません、事実ならばどうお詫びをすればいいか」


 町長はガーランド伯爵に睨まれて冷や汗をかいているようで、額から一筋の汗が流れている。

 その隣にいるローレンの父であるレナートも似たような表情だ。さらにそのレナートの隣にいる男は既に顔面全体から滝のような汗を流している、身体にも力が入っているようで握られている手がぶるぶると震えている。


「詫びて済む話かね」

「それは...えぇ、まずは首謀者を見つけ出して、脱税分の返還を...」

「そうだな。それだけか?」

「首謀者、及び脱税に関与した者の身柄を引き渡します...」

「ふむ、それで、いつまで君は震えているのかな?」

「ひっぅ?!え、えぇっと...」

「(自分から言ったほうが身のためだぞ。後から調べたらわかることなんだから)」


 レナートが隣の男に向けて、小声で呟く。


「わ、私がやりました...」

「他に関与した者は?」

「...いません」

「隠すとためにならぬぞ?」

「いえ、すべて私の独断です」


 男はきっぱりと伯爵へと返答する。男はクラムの町の財務を担当している人物で、徴税の管理、公共事業などを管理している。そういった面もあり、脱税を誰にも気が付かれずに行えたのだろう。


「被害額は金貨数十枚ほどで、大した額ではない。だが、民からすればかなりの額だ」

「...」

「少額だろうと脱税は脱税だ。身柄を拘束させてもらう、良いな?」

「...はい」

「閣下、どうか御寛大な処遇をお願い致します」

「トビアスよ...まあ、すぐに打ち首などということはない。脱税分を徴収したのち、数週間拘束し様々な取り調べを受ければすぐに釈放しよう。あまり地方の町から優秀な役人を減らしたくはないしな」

「ありがとうございます...」

「ただし3年間、クラムに監督官を付ける。構わないな?」

「はっ。私の管理が行き届いていないために、このような事態を...」

「もうよい。とにかく今は食べよう。冷めてしまってはかなわん」


 空気を呼んでいた店の従業員たちは、重い空気が晴れたのを見て料理を次々と運んでくる。

 脱税をした男も、最後の晩餐とばかりに料理を少しずつ味わって食べていた。もしくは食事が喉を通らないのかも知れないが。


 食後のデザートを食べながら、ガーランド伯爵が話し始める。


「そういえば、その新しく見つかったダンジョン、行ってみたいのだが」

「え?」

「ローレン、護衛の依頼の方を少し延長してもいいかね?」

「え、えぇ構いません(断れるわけないだろ...)」

「ふむ?それで、現在もグリシア鉱石の採掘を?」

「はい、ギルドの方で採掘と輸送の護衛を、精製と販売については町の者たちが行っております」

「では、明日はそのダンジョンに、そして戻ってから製錬の見学をさせてもらおう」

「ははっ、ローレン頼んだぞ」

「あ、あぁ」


 ローレンとしては、あまり長く護衛依頼を続けたくはなかったのだが、致し方無い状況だった。




 店を出た一行は、既に暗くなった夜道を町長の家へと歩いていた。


「あ、そういえば。ライナーちょっといい?」

「ん?なんだい?」

「明日の護衛のために必要なものを揃えたいんだけど、いいかな?」

「あぁ、わかった。団長に言っておくから、行ってくるといい」

「ありがとう」


 ローレンは町長の家へと向かう道から外れて、ダッソーの鍛冶場へと向って行く。

 既に陽が落ちてから数時間経っているが、ダッソーの鍛冶場には明かりが灯っていた。


「こんばんは」

「おう!ローレン!町の中で見掛けなかったからどうしたのかと思ってたぜ。ガーランド伯爵の護衛依頼を受けてたんだってな?」

「うん。まあね」

「そうだ!ちょうど良かった、たった今完成したんだよ、これがな」


 ダッソーは机の上に置いてあったライフルを持ち上げて、ローレンへと手渡す。ずっしりとした重厚感があるライフルを受け取り、ローレンは目を輝かせる。


「やっとできたんだね!弾は?」

「弾は30発作ってある。残りはあと2日待ってくれ」

「わかった。じゃあライフル持っていくから」

「あぁ、何かあったらすぐに相談しろよ?俺たちドワーフの最高傑作だから、そうそう不調が出るとは思わんがな」

「ありがとう、ダッソー」

「やめろ、いきなり気持ち悪い」

「照れてるの?」

「違う!そういえば、ライフルができたらまた頼みたいものがあるって言ってよな?」

「あぁ~、それはまた今度ね。弾取りに来る時に話すよ」

「わかったよ」

「じゃあ!」


 ローレンは新しい武器を手に入れ、夜道を歩いた。

 ローレンの肩に掛けられているライフルの銃身が月に照らされ、鈍い薄紫色の輝きを放っていた。

最近は評価数が増えてて嬉しいです。どんな採点でも構いませんので、評価していただけると幸いです。

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