第82話
ローレンとルフィナは食後に運ばれてきたパフェを目の前にしている。ルフィナは興味深そうな目で運ばれてきたパフェを見つめている。
彼女をよく見てみると、かなり可愛らしい顔つきをしているのがわかった。普段はフルフェイスのヘルムだったり、それを脱ぐのが基本的に夜だったりであまり顔を見れていなかった。
歳はおそらく20歳前後で身長は一般男性よりほんの少し低いくらいで体形はすらっとしている。
そんなルフィナを改めて見て一瞬だけドキッとしたローレンだったが、それよりも今は目の前のパフェだった。
「これがパフェだね。牛乳と何かを混ぜて冷やして固めたジェラートの層とスポンジの層、生クリームの層とかが段々になっている甘味、デザートだね。乗っている果物は...これはイチゴかな?」
「なるほど、冷たいのか...」
ルフィナは恐る恐るスプーンでパフェを掬って口へと運ぶ。
「...?!こ、これは!冷たくて甘い!だけど甘さにしつこさがない?...甘酸っぱい果物との相性もすごい!」
(そうだよね、いったい誰がこんなものを考え付いたんだろうか...)
ルフィナは夢中でパフェを食べ、ローレンも邪魔をしないように黙ってパフェを食べた。
「いやぁ...これは素晴らしい、今まで食べた料理の中で最上級のものだったよ」
「そうか、そう言ってもえると案内した価値があったなって思うよ」
「あ、ところでルフィナ。さっき帝国との戦闘って言ってたけど、連合王国ってどこかと戦争なんかしてたっけ?」
「なんだ、知らないのか?戦争しているわけではないんだが、国境紛争というか小競り合いが起こってるんだ。相手国は第八帝国さ」
第八帝国。連合王国の隣国の1つで大国に属する帝国主義国家。第八帝国は皇帝が代替わりするたびに国名が変わるという習慣を持っているため、数十年に1度のサイクルで国名が変わっている。始皇帝が国を興し160年、現在は第八皇帝が治める第八帝国となっているわけだ。
「そんな大国が連合王国に宣戦布告したらすぐに負けるんじゃ...?」
「そうだろうな、だが他の大国や中小国も帝国の拡大を防ぐためにいろいろと策を講じているわけだ」
「国家安全保障...?」
「?さぁ?どんな手を使っているのかは詳しくは知らないが、帝国が宣戦布告して他国を攻めれば周辺国の多くを敵に回すということだろうな」
「大義名分があれば戦争は可能じゃ?」
「確かに、周辺国が納得せざる負えない事由があれば可能だろうな」
「そのための国境紛争?」
「だろうな。それはおそらくお偉いさん方もわかっているだろうし、帝国も下手なことはしてこないはずだ」
(連合王国がぼろを出すのを待っているわけか)
「ローレン、そろそろ店を出よう。あまり長居しては迷惑だろう?」
「うん、そうだね」
2人は話を切り上げて店の外へと出る。時間は昼を過ぎて午後の鐘が鳴っている時間だ。
「そうだな、食後の運動を兼ねて町を案内してくれるか?」
「いいよ」
2人はどこ行く当てもなく歩き始める。傍から見れば仲の良い姉弟に見えなくもない、いやよく見れば全然似ていないのだが、顔を見なければ、もしかしたら、おそらく、そう見えるかもしれない。
やがて日が傾き始める。2人は町はずれの高台から町を眺めていた。町の向こう側に傾き始めた夕陽に気が付き、2人は町長宅へと夕刻には戻る予定だったことを思い出し、急ぎ足で町の中へと戻っていった。
「ほぉう、ローレンよ、お熱いところすまんかったの」
「おい、お前ぶっ飛ばすぞ」
町長宅に入ると、ローレンに置いて行かれた町長が嫌味をぶつけてくる。ローレンも遠慮なく殺気を振りまいて威圧する。
「ほっほっほ、そう怒るでない。いい男が台無しじゃぞ?」
「ほう?喧嘩売っているのか?ちなみに今は実弾しか持ってないけどいいかな?」
「いやはや、冗談を言っているわけではなかったのじゃがな...それよりも、ガーランド伯爵は今は客間で寝ていらっしゃる。どうやらそれなりにお疲れだったようでな」
「そ、そうか。声を荒げてすまなかった」
「それでのう、夕食なんじゃが...どうしたらいいかのう」
「どうしたらって言われてもね。俺に聞かないでくれよ、てか町長の家で食うんじゃないのか?」
「そ、それがのぅ、じ、実はわしの奥さんはメシマズでのぉ...」
町長は蚊の鳴くような声でローレンに耳打ちをする。
「うっわぁ、それマジ?」
「マジじゃ...ワシは今までずっと食ってきとるから全然問題ないんじゃが、さすがに伯爵には...」
「そ、そりゃそうだな」
「どうしたらいいかのぉ...ローレンや...」
「...町長権限でどこかの店を貸し切れ」
「ほぉ!その手があったか!ではさっそく行ってくるぞい!レナート!ワシと一緒に来てくr...」
町長は玄関でローレンの提案を受けると、さっそく重役たちの集まる部屋へと向かっていった。
「あ、てか父さんも来てるのか」
「町長夫人はメシマズなのね...」
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